この異世界には水が少ない ~砂漠化した世界で成り上がりサバイバル~

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第一章 伝説の水魔法使い

44 ゴリラ司祭を力で黙らせ、そして仲間に引きずり込む

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「お前が水魔法使い?」

 筋肉ダルマが俺のことをジロジロと見る。

 目の前にいるゴリラが、この教会の司祭と言うが、信じられん。山賊の頭みたいない奴だ。手に持ってるロングソードも、磨きに磨かれて、刃こぼれ一つない。

「プル。騙されてるぞ。こいつら、ただの盗賊だ。現にそこの二人は銃を抜いて俺を殺そうとしてる」

 リザとライドは、臨戦態勢だ。ここでつかまるわけにはいかないからな。

「違うの! よく分かんないけど、アオ君はお金が必要で、水が必要なんだって!」

 興奮しているのか、プルウィアが支離滅裂なことを言っている。少し落ち着け、事態をより悪化させてるぞ。

 ゴリラ司祭は、プルウィアが言い訳しているのを気にも留めず、俺たちを見る。

「小僧。そしてお前ら。何しに来た。ここには金目の物なんかないぞ」

 ゴリラ司祭は俺たちを見て、そう問いかけてくるが、俺は無視した。もう、こういう展開はめんどくさい。プルウィアで十分やった。ここは強引に行かせてもらう。

「ライド。水を大量に売れるか?」

「なんだ急に? 今はそんな場合じゃ……」

「いいから! 売れるのか!? 高値で、しかも大量にだぞ!」

「まぁ、やろうと思えばできる」

「ならばよし。あとは、リザとクー。俺の命を守れるか?」

「「守れる」」

 三人の同意を得た。これで計画は実行できる。

「おい! 俺の質問に答えろ。何を勝手に喋ってる」

 ゴリラ司祭が俺に剣を向けてくる。リザ、ライド、クーは、今にもとびかかりそうな勢いだ。俺は三人を制止し、再び水魔法を発動。

 ゴリラ司祭に俺の力を見せつけてやる。

 悪いが、プルウィアとあんたは違う。力で黙らせる。

 ウォーターカッター発動。

 水を極限まで圧縮し、指先からレーザーのように放つ。

 ピュンッ。

 刹那、風を斬る音と共に、ゴリラ司祭のロングソードを真っ二つに切り裂く。

 鋼鉄の剣を、いともたやすく水の力で切り裂いた。

 水に撃ち抜かれて半分になった剣の刃は、カランッと、倉庫の床に落ちる。

「えっ?」

 みんな、呆気にとられている。俺がこんな殺傷力の高い魔法を使えるとは思わなかったんだろう。多分、この状況で戦闘になれば、三秒かからずゴリラをバラバラにできる。俺にはその力があった。

「お、俺の剣が、斬られた? い、今のは?」

 ゴリラが驚いている。リザ達も、驚いている。そして俺自身も、驚いてる。

 水の力で、おっさんの手から剣を弾き飛ばせれば御の字と思っていた。強力な水鉄砲を撃つくらいに考えていたが、それ以上の威力を出してしまった。鋼鉄の剣を切り裂いたんだからな。

「お、俺の剣が? 嘘だろ?」

「おいあんた。これを見ろ」

 俺は手から水を出して、空中に浮かせて見せる。村を出たころよりも、ずっと魔力操作が上手くなってる。俺は大量の水を操作し、おっさんにぶっかけた。頭から、大量の水をぶっかけてやった。

「うわ! 冷めて!!」

「俺は通りすがりの水魔法使い、アオ。少しだけ、この教会にある水魔石、借り受ける」

 俺はそう言って、おっさんに壊れた水魔石を放り投げた。おっさんは、投げられた水魔石を慌てて受け取る。

「おい、お前はいったい……」

 おっさんは未だに呆けているが、説明なんてもう面倒だ。

 めちゃくちゃに強引だが、このおっさんにも手伝ってもらう。


★★★


 あれから俺たちは宿に戻ってきた。

 子供の俺は疲れ果ててすぐに眠ってしまったが、二時間後にたたき起こされ、リザに説明を求められた。

 俺が一体どういう風にして金を稼ぎ、水の価格を暴落させるのか。その全容を教えろと言われた。

 俺は眠い目をこすりながら、計画を教えた。細かいところまで詰めていないので何とも言えないが、成功する確率は高い。

 俺の計画を聞いたリザとライドが、眉間にしわを寄せて考えている。

「アオ。俺は金を継続的に、安全に稼ぎたいんだよ。お前の計画は危険がありすぎるぞ」

「確かに難しいが、私は賛成だ。ちまちま売っていても、大金持ちはなれない。それに、もしも計画が成功して水を売れたら、金は莫大なものになるはずだ。逆に聞くが、ライドはどれだけ金が必要なんだ? お前こそ、何を考えてる」

「リザにそれを言う必要はない」

「あぁそうか。そう言うと思ったぞ。だからお前は嫌いだ。仲間を裏切るような気がする」

「お前に言われたくはないな。国を捨ててオアシスとやらを探している糞女にはな」

「なんだと!!」

 二人はいがみ合って、喧嘩を始めた。朝からうるさい奴らだ。

 それとクーだが、彼女はゴリラ司祭がおかしな行動をとらないか、見張ってもらうことにした。俺たちのことを国に告発するようなら、すぐに連絡をしてもらうためだ。危険な役だが、足が速い彼女が適任だった。最悪オーガと言うことが市民にばれても、彼女一人なら逃げ切れる可能性が高い。

「ふぅ。まぁいいや。ライドも俺が水魔石を復活できるのかどうかわかれば、納得するだろ?」

「たしかにそうだな。あんな石ころが水魔石になるのか? 聞いたことも無いけどな。まぁ、お前たちが伝説の聖水を持っていたから、ここまで手伝ったわけだが……」

「だったら、荷物をまとめて宿を出るぞ」

「アオ君! 教会に行くのは良いが、聖騎士が探し回っているぞ。あそこにとどまるのは危険じゃないか? 私はあの司祭のことをよく知らないし、すでに裏切って教会本部に連絡しているかもしれん」

「そうなったら、逃げるだけだ。一応、水魔石は三個かっぱらってきてる。最悪、この三つでどうにかする」

「え? もってきてたのか?」

「当たり前だろ? なぁライド」

「ふん。そんな石ころが水魔石などと、未だに信じられないがな」

 ムスッとしながらも、ライドは答えた。

 あの時、ライドにいくつか盗ませておいた。どさくさに紛れて、水魔石を盗んでおいた。手癖だけは悪いからな、俺たちは。

「じゃぁ、行くぞ」





   









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