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二章 王都招集
No.46 VSニブルヘイム①
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──早朝。
王都から250マイル離れた草原にて。
「……」
「……」
辺りには暗雲が立ち込めている。
「あら。随分といやらしい雰囲気ねぇ♡?」
今回の意見には賛成だ。
普段やばい言葉しか使えないコイツをまだ救いようがあると思った瞬間である。
「全くだ。ホント……いい趣味してやがる」
「……どんな環境でも我々のやる事は変わらない。いいか皆の者!!今回の相手は魔獣腐龍だ!その口から放たれる咆哮を伴った息には気をつけろ!!そして今こそ!一騎当千と謳われた王都防衛騎士団の力を見せろ!!」
「「「「ウオォォォォォォォォォ!!!」」」」
アイダの鼓舞に兵士達が呼応し、各々の武器を掲げる。
「隊長……間もなくです」
「もう来たのか……」
すると、遥か上空に黒い影。
既に腐龍はこちらに気づいていたかのように、咆哮を伴った息を撃とうとする。
が。
『暴風刺突』
「「!?」」
「これは!?」
思わず、アイダの方を見ると、既に突きを終えていた。
つまり今の竜巻は彼女が撃ち込んだということになる。
……ミレーヌ戦では本気では無かったのだ。
あれこそが王都防衛騎士団団長の本来の実力。
「ギギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
この世のものとは思えない甲高い叫び声が鳴り響く。
アイダの突きは見事に命中したようだ。
これで少しは高度を降ろすだろう。
「高度が下がり次第、第一、第三小隊は攻撃!!第二小隊は回避に専念しろ!エースとアッシュ、ロマとドロイトは私と共に来い!」
「あのマスタードロイトってのか……似合わねぇな」
「ごめん!言ってなかったね!」
「──来るぞ!!」
影が濃くなって来たので、上空を見上げると、そこには全長50m以上はある茶色い巨竜。
「……あれが」
「腐龍……」
「でけぇ……!」
「あら大きい♡」
……最後の発言は色々とやばい想像をしかねないから辞めてくれ。
「第三小隊……てェー!!」
後方から轟音が響く。
堪らず耳を塞ぎ、後ろを見ると黒光りの砲弾が腐龍へ美しい弧を描きながら飛んでいく。
あれが魔術砲弾。
砲弾そのものに術式を仕込むことから魔術兵器と呼ばれる代物だ。
「ギリヤァァァァァァ!」
「当たった!」
砲弾は着弾と同時に爆発し、肉体を燃やす。
ズゥンという低い音と共に、その巨体が落下する。
「第二小隊……攻撃開始!」
「行くぞ!エース!」
アッシュが翼竜を走らせる。
「悪いわね♡先に行くわよ♡」
「わいがあの龍を倒すんじゃちょい待ちぃ!!」
ロマが翼竜に乗った状態で大鉈を抜き斬る。
狙いは翼。
上空にいる状態では、火力トップの第二小隊が攻撃できないので、このチャンスを逃すわけにはいかない。
「ほらほら♡今度は私よ!♡」
ドロイトが使うのは大槌。
翼竜から離脱し、その落下速度を利用して勢いよく振り下ろす。
こいつの場合、狙いは頭。
心臓部以外で最もダメージの高い部分だからだ。
攻撃をしたあと、すぐに自分の翼竜に乗り、離脱。
「負けてられないね!」
「待てって!ちょ……」
二人に負けじと、アッシュも翼竜から跳躍し。
『創具の加護』『魔弾の加護』
アッシュの手元に黒と銀の二丁拳銃が現れる。
「ハァ!?」
魔術兵器と呼ばれる代物があるとはいえ、明らかにあれはおかしい。
西洋風の拳銃ならばまだ分かるかもだが、アッシュが持つのはエースがいた世界の拳銃だ。
しかも加護?
エースが神と呼ばれる存在から会得した『特異の加護』は転生者が本来使えない魔術を身体の部分的に使える文字通り特異なもの。
アッシュのは名前からして道具を創り出すものと魔弾を撃ち出す加護なのだろう。
「片方の魔弾装弾数は4発!」
『竜魔弾』
放たれた金色の弾丸が、腐龍の肉体を抉る。
すると。
「イギ……ギギギ……ゴギゴ」
「もうお目覚めか……早いな。一旦離脱するよ!エース!」
大股三歩で跳躍し、翼竜に飛び乗り、後方に向けて駆け出す。
「ウボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
今度は鈍い声をあげ、起き上がりながらの尻尾回転攻撃。
地鳴りとも思えるその声に耳を塞ぎながら振り返ると、何人かが、そのしなる尾の餌食になっていた。
「第一小隊!」
『火炎砲』
複数人による炎のレーザーが腐龍目掛けて飛んでいく。
「皆まだまだ行くぞぉ!!」
そう言い青の旗を掲げたのはミレーヌの父、アヴァ・サイリア。
「仕方ないねえ……愛する妹の為だもの……」
その隣にいるのはジャック・サイリア。
ミレーヌの兄にして生粋の光魔術使い。
「我等サイリア家の意地を今こそここに!」
ジャックの後ろにはまだたくさんの魔術師がいる。
『死すら帰す剥離の祖』
それら全員がありったけの魔力を込めて産み出したのは……
「ギギ!?」
「これは!?」
「やべぇ逃げろ!!」
降り注ぐ星々だった。
王都から250マイル離れた草原にて。
「……」
「……」
辺りには暗雲が立ち込めている。
「あら。随分といやらしい雰囲気ねぇ♡?」
今回の意見には賛成だ。
普段やばい言葉しか使えないコイツをまだ救いようがあると思った瞬間である。
「全くだ。ホント……いい趣味してやがる」
「……どんな環境でも我々のやる事は変わらない。いいか皆の者!!今回の相手は魔獣腐龍だ!その口から放たれる咆哮を伴った息には気をつけろ!!そして今こそ!一騎当千と謳われた王都防衛騎士団の力を見せろ!!」
「「「「ウオォォォォォォォォォ!!!」」」」
アイダの鼓舞に兵士達が呼応し、各々の武器を掲げる。
「隊長……間もなくです」
「もう来たのか……」
すると、遥か上空に黒い影。
既に腐龍はこちらに気づいていたかのように、咆哮を伴った息を撃とうとする。
が。
『暴風刺突』
「「!?」」
「これは!?」
思わず、アイダの方を見ると、既に突きを終えていた。
つまり今の竜巻は彼女が撃ち込んだということになる。
……ミレーヌ戦では本気では無かったのだ。
あれこそが王都防衛騎士団団長の本来の実力。
「ギギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
この世のものとは思えない甲高い叫び声が鳴り響く。
アイダの突きは見事に命中したようだ。
これで少しは高度を降ろすだろう。
「高度が下がり次第、第一、第三小隊は攻撃!!第二小隊は回避に専念しろ!エースとアッシュ、ロマとドロイトは私と共に来い!」
「あのマスタードロイトってのか……似合わねぇな」
「ごめん!言ってなかったね!」
「──来るぞ!!」
影が濃くなって来たので、上空を見上げると、そこには全長50m以上はある茶色い巨竜。
「……あれが」
「腐龍……」
「でけぇ……!」
「あら大きい♡」
……最後の発言は色々とやばい想像をしかねないから辞めてくれ。
「第三小隊……てェー!!」
後方から轟音が響く。
堪らず耳を塞ぎ、後ろを見ると黒光りの砲弾が腐龍へ美しい弧を描きながら飛んでいく。
あれが魔術砲弾。
砲弾そのものに術式を仕込むことから魔術兵器と呼ばれる代物だ。
「ギリヤァァァァァァ!」
「当たった!」
砲弾は着弾と同時に爆発し、肉体を燃やす。
ズゥンという低い音と共に、その巨体が落下する。
「第二小隊……攻撃開始!」
「行くぞ!エース!」
アッシュが翼竜を走らせる。
「悪いわね♡先に行くわよ♡」
「わいがあの龍を倒すんじゃちょい待ちぃ!!」
ロマが翼竜に乗った状態で大鉈を抜き斬る。
狙いは翼。
上空にいる状態では、火力トップの第二小隊が攻撃できないので、このチャンスを逃すわけにはいかない。
「ほらほら♡今度は私よ!♡」
ドロイトが使うのは大槌。
翼竜から離脱し、その落下速度を利用して勢いよく振り下ろす。
こいつの場合、狙いは頭。
心臓部以外で最もダメージの高い部分だからだ。
攻撃をしたあと、すぐに自分の翼竜に乗り、離脱。
「負けてられないね!」
「待てって!ちょ……」
二人に負けじと、アッシュも翼竜から跳躍し。
『創具の加護』『魔弾の加護』
アッシュの手元に黒と銀の二丁拳銃が現れる。
「ハァ!?」
魔術兵器と呼ばれる代物があるとはいえ、明らかにあれはおかしい。
西洋風の拳銃ならばまだ分かるかもだが、アッシュが持つのはエースがいた世界の拳銃だ。
しかも加護?
エースが神と呼ばれる存在から会得した『特異の加護』は転生者が本来使えない魔術を身体の部分的に使える文字通り特異なもの。
アッシュのは名前からして道具を創り出すものと魔弾を撃ち出す加護なのだろう。
「片方の魔弾装弾数は4発!」
『竜魔弾』
放たれた金色の弾丸が、腐龍の肉体を抉る。
すると。
「イギ……ギギギ……ゴギゴ」
「もうお目覚めか……早いな。一旦離脱するよ!エース!」
大股三歩で跳躍し、翼竜に飛び乗り、後方に向けて駆け出す。
「ウボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」
今度は鈍い声をあげ、起き上がりながらの尻尾回転攻撃。
地鳴りとも思えるその声に耳を塞ぎながら振り返ると、何人かが、そのしなる尾の餌食になっていた。
「第一小隊!」
『火炎砲』
複数人による炎のレーザーが腐龍目掛けて飛んでいく。
「皆まだまだ行くぞぉ!!」
そう言い青の旗を掲げたのはミレーヌの父、アヴァ・サイリア。
「仕方ないねえ……愛する妹の為だもの……」
その隣にいるのはジャック・サイリア。
ミレーヌの兄にして生粋の光魔術使い。
「我等サイリア家の意地を今こそここに!」
ジャックの後ろにはまだたくさんの魔術師がいる。
『死すら帰す剥離の祖』
それら全員がありったけの魔力を込めて産み出したのは……
「ギギ!?」
「これは!?」
「やべぇ逃げろ!!」
降り注ぐ星々だった。
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