不幸な少女の”日常”探し

〚アフターストーリー〛〜不幸な少女のその後〜

〚36〛「異世界でギルドマスターに呼ばれる」

　「ふあ…ぁ、ねみい…」
　
　ソファに座って、話を聞いている柚希の横であくびをする。
　
　ご飯を食べた後って眠くなるんだよな…。
　
　
　””
　
　
　「いやぁ……、勧誘じゃとは…」
　
　期待していたのと違ったのか俯き影を落とす柚希。
　
　「えぇー…たしか、揉め事が起きても後ろ盾になってくれるかわりにギルドマスター直属の冒険者になってほしい…だったか」
　
　「そうじゃなあ…、強い魔物が居るから倒してきてほしい…とかじゃったら良かったのじゃが…」
　
　何を言うか、…柚希お前吐きそうにしていたの忘れたのか？それにギルドマスター直々に頼まれるなんて、あのブラッドウルフよりかなり強くなりそうだが…。
　なんて考えると。
　
　「…確かにあの時は失態を見せてしまったが、次こそは行けると思ったじゃ！」
　
　なんて言い出した。
　どこからそんな自身が湧いてくるのかと肩をすくめる。
　
　
　””
　
　
　「なあ、一人じゃなくて良かったのか？」
　
　紅茶みたいな飲み物を弄りながらふと思ったことを言ってみる。
　今はカフェみたいなところで休憩をしているのだ。
　
　「んー…そうじゃのう、月那には悪いと思うのじゃが……本当は一人がいい……のじゃ。しかし月那がおらんと帰るタイミングとかいざというときとか…」
　
　「そんなことか、ならこれ」
　
　そう言って、指輪を渡す。
　これは一部が、僕のつけている指輪に繋がっていて念話のような役割もできるものだ。
　魔導ミスリルで作ったのだが、魔導ミスリル特有の高濃度の魔力は除いてあるので触れた部分が腐ることはない…と思う。
　
　「これは……あれだ、念話ができる指輪だ」
　
　なんかいい説明がなかったのでこれでいっか。
　
　「おおー！念話とな！？嬉しいのじゃ月那！」
　
　「お、おう」
　
　喜んでくれてなによりだ。
　
　「じゃあこれから一人で行くことになるが…まあ大丈夫だろ」
　
　「了解じゃ！」
　
　「取り敢えず死なないでくれよ…あれ、死んでも大丈夫か」
　
　「そ、それは儂がどうなってもいいという…」
　
　「違うから、生き返せるということだ……前みたいに幽霊にでもなってくれればな」
　
　「なれなかったら…」
　
　「…………まあ大丈夫、死ぬ前に助ける」
　
　「死んだらヤバいのう…」
　
　僕は立ち上がり、取り敢えず柚希が貰った布袋の中が一杯になるようにお金を転移させた。
　
　「お金がなくなったら言ってくれ、補充しとく」
　
　「お金の価値よ…」
　
　そのまま僕は店…異世界を後にした。