不幸な少女の”日常”探し

〚アフターストーリー〛〜不幸な少女のその後〜

〚38〛「ジュエリー•オルクス•オンラインⅡ」

　「お姉ちゃん…ついに来たね」
　
　「ああ…ついに」
　
　ギルド戦実装。99階層実装。グラフィック大幅向上。マップ拡大。基本システム向上。

　そして世界ランキング追加。

　ジュエリー•オルクス•オンラインIIは、Iの数十年後の世界が舞台となっていて、四季の追加、それに伴ったイベントなど色々な要素が拡張されている。
　
　アップデートでは出来なかったほどのグラフィックの向上がされていて、肌触りなど色々な感触がさらにリアルになっている。
　
　「お姉ちゃん最近オンラインになってないけど今日から忙しくなるね」
　
　「そうだな、鍛冶スキルも新しく出るらしいし何のスキルを重点的に上げるか少し迷うな」
　
　「そうだね…、ん～高い鍛冶スキルを持ってる人に頼むっていうのもありだね」
　
　「だな」
　
　そんな他愛のないゲーム話をしていると、いつの間にか家に着いていた。
　
　「……いつの間に」
　
　「…楽しみが多すぎる」
　
　玄関を開け、日向と別れる。
　
　「じゃあ、また引き継ぎ終わったら…飯作るかぁ」
　
　そういえば。朝食べずに出たんだ。
　もうじき昼だし。
　
　いや…、父親に作らせよう。よし、そうしよう。
　
　
　””
　
　
　昼ご飯は父親に任せて、僕達は、ジュエリー•オルクス•オンラインIIを起動した。
　
　本来はアップデートですべきだった追加要素が、グラフィックの大幅向上のせいでソフトごと変えなければいけないことに、運営は一応対策を作っていた。
　
　引き継ぎ要素の選択。
　
　ストーリーを楽しみたい人向けに、レベル１からのスタートをする事ができる。
　その選択をすると何やらストーリー内に特典がつくらしい。
　
　もちろん僕は特典とやらが気になるけど、レベル１からのスタートはする気は無い。
　それに特典はストーリーが増えたり変わったりするだけだろうし、僕のプレイスタイルとはあまり関係ない。
　なので全引き継ぎのままスタートした。
　視界が白く染まる。
　
　そしてマップに到着した瞬間、僕は目を見張った。
　
　…グラフィックがえげつない。
　岩のザラザラ感や草の手触りがリアル過ぎる。
　ていうか草が腰まで伸びてる。
　お、日向来たか。
　
　「お姉ちゃん…凄いよね。このグラフィック」
　
　「ああ、しかもこれ」
　
　そう言って目の前にとまった蝶を指差す。
　
　「虫…そういえば追加されるって書いてあったね」
　
　「ゴキブリがイメージ画像のやつか」
　
　「そうそれ、気持ち悪かったね！」
　
　さて、他愛もない話はここまでにして…。
　
　「…」
　
　「…」
　
　日向も分かっているようだ。
　二人してコンソールを開いた。
　
　「あったな」
　
　「うん」
　
　そして見つけ出したそれをタップした。
　ゲーム内でのウェブ閲覧＆動画視聴。それがこのゲームに追加された新機能だ。
　真っ先に攻略サイトを開き、第二層へ行く方法を探す。
　日向はギルド戦の順位状況を確認。
　
　「これでギルドの順位を確認しながら遊べる…！」
　
　「あったぞ、第二層への行き方」
　
　「「攻略開始だ！」」