死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

2-記憶障害⚠️

｢…頭に衝撃を受けたことによる記憶障害でしょうね。しばらく様子を見るしかないようですね｣


白衣…にしては装飾をジャラジャラ付けた白髪の老人医者がやってきて僕の頭の傷を見る。
どうやらルークは階段から転げ落ちてしまったらしい。


｢ルーク様、痛みなどありませんか？｣


｢…ありません｣


｢ご自分が誰か、わかりますか？｣


｢……分かりません｣


医者が眉を顰める。


｢承知しました。貴方のお父上に報告させて頂きますね。では、失礼致しました｣


医者が居なくなるのと同時にメイドが軽食を持って入ってくる。


｢ルーク様失礼致します。牛乳がゆでございます。まだ動くのがお辛いかと思いますが、何も食べないのは良くありませんので、どうか動ける時に口に入れてください｣


牛乳がゆをキャビネットの上に置き、メイドもいなくなった。

…ｸﾞｷﾞｭｩｩ…

この身体はどうやらお腹が空いてるようだ。取り敢えず、食べよう。
食べなきゃ死に方すら思いつきやしない。
本当に卑怯で貪欲で嫌になる。