死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

6-死ねない呪い⚠️

｢その腕輪はお前が死のうとすれば激しい電撃が流れるように魔法をかけたものだ。変な事をしようものならすぐにお前の場所も分かるようになっている｣


何してくれてんのこの人ジジイ！？


僕は咄嗟に左腕に付いた腕輪を外そうと試みる。だが、腕輪は手首にピッタリと張り付き、ビクともしない。


｢外そうとしても無駄だ。私が外そうと思わない限り外れることは無い｣


｢っ…！｣


くっそ、じゃあ僕はこのまま生きるしかないのか…！？せっかく、せっかく楽になれたはずだったのに…！


父の次に今度は僕が青い顔して腕輪は何とかしようとしていると、父がしたり顔でこう言い放った。


｢勝手なことはさせぬ。精々私の役に立ってくれよ。我が愛しの馬鹿息子よ｣





ーーー


僕は部屋に戻り、ベッドに引きこもっていた。


この腕輪のせいで僕は簡単に死ねなくなった。



あのクソ親父父上との話が終わり、部屋に戻った直後、僕はまたシーツでロープを作り、さっきやったように死のうと輪っかに頭を通し、椅子を蹴り飛ばそうとした。その時だった。


｢グッがァァッ!!｣


左腕についてる腕輪から信じられないくらい強い痛みが全身に走る。その衝撃のおかげで椅子から滑り落ち、輪っかも首から抜け、見事未遂に終わってしまった。


思ってた5倍くらい痛い…痛すぎて動けない…。


そこから何とか体を引きずり、ベッドにあがり毛布にくるまり今に至る。


あの痛みじゃ、少しも慣れれる気がしない。あれを乗り越えて死ぬことはきっと無理だ。死ぬ前に気絶しそうだ。


どうすれば、どうすればいい。


あの父の言いなりになってこの家の為に生きるなんて嫌だ。それに僕はルークであってルークじゃない。

前世の名前は思い出せないが、僕は僕。
齢25で前世を去った卑怯で卑屈で臆病で貪欲な自分勝手な人間。


それが僕なんだ。