死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

7-活路

そう言えば、先週婚約をしたとあのお父上様は言っていた。

アーノルド王子、恐らくアニメのストーリーのヒーロー。
金色の髪に水色の瞳のいかにも西洋のイケメンですという容姿のキャラクター。

性格は確か、次の国王候補らしく社交辞令が得意な腹黒王子だったはずだ。

ルークとの婚約は親同士の取り決めであり、アーノルドの意思ではない。政略結婚と言うやつだ。

物語でルークを断罪し、婚約破棄する時、散々婚約に対して文句を言っていた気がする。

まあ、破棄する時でもなければ言えるはずないよね。そういう立場だものね。
ルークもアーノルド王子も。


最後アーノルド王子はルークをギロチンにかける。王子自身がギロチンの手網を握り、手を離す。よってルークはアーノルドに殺され物語は万々歳。

アーノルドは主人公と無事婚約し、ハッピーエンド。そんな話だったかな。


ん…？ギロチン…？


｢っ…あぁぁー!?こ、これだぁー!!｣


身体に先程とは別の電流が走り、思わず大声を上げてしまう。

だだっ広い部屋に少しこだまする。


これだ！これしかない！自分で死ねない以上、僕は自分じゃない誰かに殺してもらうしかない！

そしてこの世界はあのアニメの世界。

僕は悪役令息。

僕はルークさえ演じれば断罪され殺される…！僕にとってのハッピーエンド!!


これで僕は消えることが出来る。そう思うと笑みが止まらなかった。