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学園入学編
67‐主人公アレン?
しおりを挟む「ルーク様…ですよね?初めまして!
僕アレンって言います!」
アレンがキラキラした顔で僕の前に手を差し出す。
「僕、王子様の婚約者のルーク様がずっと気になってて…話したくて…トイレに入るのが見えたので、来ちゃったんですけど、」
「……」
「僕と仲良くしてくれたらなって…」
な、何だこの生き物は…。
アニメのアレンも確かにこんな感じだったかもしれない。相手が誰であれ、臆することなく平等に話しかけ、平等に扱う。
そんな所がアーノルドの興味をひいてしまうのだけれど。
この手を、取るべきなのだろうか。
アニメにこんなシーンなかった。いやある訳ない。トイレで~とかそんなある訳ない。
いくらいじめると言ってもこんな初っ端からはやるの?僕なんかが?この手を払い除けてボコボコにすればいいの?
いや、無理だ。無理。まだ覚悟が足りない。まさかこんな所でアレンと話すことになるなんて思わなかった。
…手を取るくらい…大丈夫だよね…?
ギュッとアレンの手を握り、握手する。
「話しかけてくれてありがとう。俺はルーク・フォンルージュ。よろしくね」
そう言った瞬間、朗らかに笑っていたアレンの顔が一変して無表情になる。
金色の冷たい目が僕を射抜く。
ギュゥゥゥと何処からそんな力手をてくるんだと思うくらいの力で手を潰されかける。アレンの爪が手にくい込んで血が出そう。
「ッ…アレン痛い!離して!」
「はぁぁぁ…」
深いため息を吐くアレンは本当に別人みたいだ。何が起きてる。何でこんなイレギュラーな事が起きてる。
僕の頭はパニックになっていた。
「『痛いっ離してぇ!』だってさ。あははっ!あ~…笑えねぇ~…」
嘲笑を浮かべて金の瞳が僕を蔑む。
「ムカつく顔ばかりしやがって…お前…偽物だよなぁ?誰なんだお前」
掴まれてる痛みも忘れるくらい一気に背筋が凍る。
そのまま手を掴まれたままアレンの方に引っ張られ、奥から出てきたもう片方の手で首を掴まれる。
その衝撃で後ろの壁に追い詰められ、後頭部をガンッとぶつけてしまい、ヒリヒリと痛む。
「ッキュ…はッ…」
「フォンルージュの名を騙って生活するのは楽しかったか?アーノルドとあんなキスまでしちゃって…良いよなお前はさ。すべてを手に入れられて。
俺はすべてを失ったよ。地位も、名誉も、財力も、婚約者も、家族も」
な、なにを言ってるの…?それってどういう………
「俺の体返せよ。偽物」
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