死にたがり(愛されたがり)の悪役令息

たまも。

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学園入学編

72‐不審な双子ウェイン・バレリアーノ

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ーラルクsideー



兄上と違うクラスになってしまった。
こんなのおかしい。どうかしている。
担任となる大人に抗議してもダメだった。
学園は身分関係なく能力を分配させるためにあくまで公平な割付をしているから…と。

何が公平だ。完全な不公平だ。

唯一良かったのはアーノルドと兄上がバラバラになった事だ。今頃えぐい顔をして周りを怖がらせているのだろう。ざまぁみろ。


昨日も俺より早く授業が終わったのか、部屋に引きこもってたから、顔を見れていない。なんで個室なんだ。あの家にいた時はずっと一緒に寝ていたからか、1人は落ち着かない。


今のところ不満しかない学園生活のおかげか、常に落ち着かない。

今日から魔法についての授業が始まったが、まあ、そんなのどうだっていい。


早く、早く兄上に会いたい。


「お隣座っていい?」


「ああ、勝手にしろ」


昼休みになったら兄上のクラスに行こう。アーノルドも会いに行くかもしれないし、気が気じゃない。

そういえばアーノルドの奴、朝変なやつと一緒にいたな。社交会のトイレですれ違った金色の目をしたあいつ。

…兄上は結局教えてくれなかった、だが確実に何かはされている。

噂によれば光魔法を使える特待生らしい。


そんな奴がなぜアーノルドと?

兄上と何があったんだ?


「ねぇ、キミってルーク様の弟クン??」


「あ?」


隣がうるさい。なんだ人が考えてる時に。


「どーも、こんちは」


褐色肌にブラウンのくせ毛をたゆらせながら頬杖をつきこちらを覗いている男がニヤニヤと笑っていた。腕と首にはジャラジャラとアクセサリーを付けている。


「誰だお前」


「そーんな怖い顔しないでよ。ボクはウェイン。ウェイン・バレリアーノ。

よろしくねぇ、ラルク・フォンルージュくん」


バレリアーノ、確か伯爵にそんな名前のやつがいた。黒い話が絶えない、国の裏を担っていると噂の一族だ。

何処かで会っただろうか。いや、聞いたことはあっても見たことは無い。
そもそも人が名乗る前に相手の名前を出してくる奴はろくな奴ではない。


「何か話したいことでも?」


「つれないなぁ。ただの自己紹介さ。

キミたち兄弟と仲良くしたくてね。

ボクの双子の兄もキミのお兄さんと同じクラスなんだよ。

弟同士、兄弟同士仲良くしようよ」


兄上とこいつの兄弟が同じクラス?冗談じゃない。

ウェインの目をじっと見つめる。光の差し込まない目は何を考えているか分からない。


「…何を企んでいるかは知らないが、兄上に手を出してみろ。ただじゃおかないからな」


「そんなことしないよぉ」


今は。



そう言っている気がしてならない。


「じゃあね、よろしく~」


席を立ったウェインが手をヒラヒラさせながら奥の席へと歩いて去っていった。


宣戦布告というわけか。


I組の特待生といい、バレリアーノ兄弟といい、気味の悪い奴らばかりだ。

前は兄上に守ってもらった。無理をさせてしまった。


次は俺が守る番だ。


誰であろうと兄上を傷つける奴は許さない。
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