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【 第一章 】未熟な王子と暫定騎士
赤りんご⑤
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実が少し残ったこりんごを芯ごとレオンにあげ、マティアスは馬上から後ろを向いてウィルバートに声を張り上げ言った。
「アルホの丘まで行くぞ」
そしてウィルバートの返事を待たずレオンを走らせる。
「マティアス様、お待ちくださいっ」
ウィルバートはすぐに反応しグラードで追い掛けマティアスを咎めてくる。
「城の周りだけって言ってたじゃないですか」
「アルホくらい近所の内だろ。それに高台から見たら果樹園の先もよく見える」
「まったく……マティアス様は相変わらずだ」
ウィルバートは呆れた表情を浮かべ盛大に溜め息をついた。
二頭の馬を走らせ緩やかな山道を登り、やがて高台に着いた。アルホの丘と呼ばれる高台は頂上に小さな湖がある。その辺の木にレオンとグラードを繋ぎ休ませてやった。
二頭が休憩している間に、マティアスとウィルバートは湖のすぐ近くの展望台に移動し農園を眺めた。手前の傾斜地にはりんご畑が広がり、その先の平地は麦畑だ。
「麦はもう収穫したのだな」
「そのようですね。大体八月頭には終わってますねからね」
秋らしい風がマティアスの長い髪を撫でていく。丘の木々は少し紅葉が始まりかけているようだ。空は美しい青がどこまでも広がっていた。
ウィルバートと二人でこうして景色を眺めているだけでマティアスは幸せを感じた。時折喧嘩のような言い争いもあるが、ウィルバートは決して見放さずいつも寄り添ってくれてる。四年間会えず、変わってしまった部分もあった気がしていただが、こうして二人で過ごすとやはりは気にし過ぎだったように思えた。
――そう思ったのだが、
「マティアス様……お話しておきたいことがあるのですか」
ウィルバートが何やら改まっている。
マティアスは不思議に思いウィルバートを見た。
「何だ?」
ウィルバートはマティアスから目を逸らし、景色を見ながら続けた。
「その、縁談をいただきまして……」
「は? 誰に?」
マティアスは一瞬理解できずに聞き返した。
「えっと……陛下直々にご紹介頂いたお話でして、リンデロート伯爵のお嬢様だそうです」
「……だから誰への縁談なのだ?」
胸の奥にザラリとした不安感が立ち込める。
(まさか、まさか、そんなわけ……)
「私に、の話です……」
「お前が……結婚すると言うのか……」
自分の口でそう言ってみて、その言葉に衝撃を受けた。
「アルホの丘まで行くぞ」
そしてウィルバートの返事を待たずレオンを走らせる。
「マティアス様、お待ちくださいっ」
ウィルバートはすぐに反応しグラードで追い掛けマティアスを咎めてくる。
「城の周りだけって言ってたじゃないですか」
「アルホくらい近所の内だろ。それに高台から見たら果樹園の先もよく見える」
「まったく……マティアス様は相変わらずだ」
ウィルバートは呆れた表情を浮かべ盛大に溜め息をついた。
二頭の馬を走らせ緩やかな山道を登り、やがて高台に着いた。アルホの丘と呼ばれる高台は頂上に小さな湖がある。その辺の木にレオンとグラードを繋ぎ休ませてやった。
二頭が休憩している間に、マティアスとウィルバートは湖のすぐ近くの展望台に移動し農園を眺めた。手前の傾斜地にはりんご畑が広がり、その先の平地は麦畑だ。
「麦はもう収穫したのだな」
「そのようですね。大体八月頭には終わってますねからね」
秋らしい風がマティアスの長い髪を撫でていく。丘の木々は少し紅葉が始まりかけているようだ。空は美しい青がどこまでも広がっていた。
ウィルバートと二人でこうして景色を眺めているだけでマティアスは幸せを感じた。時折喧嘩のような言い争いもあるが、ウィルバートは決して見放さずいつも寄り添ってくれてる。四年間会えず、変わってしまった部分もあった気がしていただが、こうして二人で過ごすとやはりは気にし過ぎだったように思えた。
――そう思ったのだが、
「マティアス様……お話しておきたいことがあるのですか」
ウィルバートが何やら改まっている。
マティアスは不思議に思いウィルバートを見た。
「何だ?」
ウィルバートはマティアスから目を逸らし、景色を見ながら続けた。
「その、縁談をいただきまして……」
「は? 誰に?」
マティアスは一瞬理解できずに聞き返した。
「えっと……陛下直々にご紹介頂いたお話でして、リンデロート伯爵のお嬢様だそうです」
「……だから誰への縁談なのだ?」
胸の奥にザラリとした不安感が立ち込める。
(まさか、まさか、そんなわけ……)
「私に、の話です……」
「お前が……結婚すると言うのか……」
自分の口でそう言ってみて、その言葉に衝撃を受けた。
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