やがて光りの王となり

雉村由壱

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【 番外編 】

Homunculus [11]

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 逃げるようにロビーへ出て、壁を背にし辺りを見渡す。先ほどよりだいぶ人は減ってはいるがそれでも人目が気になる。

(本当、勘弁してくれよ……)

 ウィルバートは深く溜め息をつき、頭を掻いた。
 こんなことなら城でクラウスに声など掛けなければ良かった。そもそもウィルバートはクラウスの家臣でも護衛でも無いのだ。

「ウィルバート様、演目はお気に召しませんでしたか」

 突然名を呼ばれて、ふと横を見ると女が一人立っていた。落ち着いた雰囲気で柔らか笑みを湛えた黒髪の女。どう見ても娼婦だ。先ほど対応していた店員の男にウィルバートとクラウスのこと聞いたのだろう。

「私はクラウス殿下の付き添いで入っただけですから。殿下が出てくるまでこちらで待たせていただきます」

「でも、こんな所でお待ちになるのも……よろしければお部屋をご用意いたしますわ」

 女が店の奥へ誘うがウィルバートはきっぱりと断った。

「いえ、ここで結構です」

 確かに人目は気になる。今ここにいる男がマティアスの婚約者であると気付く客もいそうだ。しかし、娼婦と別室に入ったとなれば、それこそ言い訳も出来ない。

(クソっ! こんな状況をマティアスに知られたら……)

 娼館はマティアスにとって憎むべき場所だ。
 記憶を失いカイとしてフォルシュランドで暮らしていた時の娼館通いがマティアスにバレた時もマティアスは大泣きして責めてきた。『なぜ愛してもいない人を抱けるんだっ?!』と。
 嫉妬されるのは正直嬉しい。だが相違相愛となった今、マティアスをあんなに泣かせるようなことはしたくないし、するつもりもない。

 もうほとほと嫌になってきた。もう一人で急ぎ城へ帰ってクラウスの迎えを頼めばいいのではないか。

(そもそも、マティアスが部屋に帰った時、俺がいなかったら心配する)

 そしてウィルバートの行方を心配したマティアスがとる行動はきっと……。

 その時だった。
 目の前に金色に光り輝く何かが現れ、その光はどんどん大きくなっていった。

「な、何?!」

 黒髪の娼婦は驚き後退る。
 ウィルバートは前にも見たことがあるその光を見つめて思った。

(ああ、マズイ……!)

 金色の光はやがて人の形へと変わり、光は霧のように宙へ消え、黒衣を纏った金髪の人物が現れた。
 ウィルバートはこの世で一番愛しいが今は一番会いたくなかった人の名を呟いた。

「マティアス……」
「ウィル!」

 ウィルバートと視線を合わせたマティアスはほっとしたように微笑み駆け寄ってきた。

「帰ってこないから何かあったのかと心配したぞ! ……ん? ここは?」

 ウィルバートのすぐそばまで来てマティアスはふと辺りを見回した。そして綺羅びやかな衣装を纏った黒髪の女に目を向け完全に笑みを消した
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