必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「影の者を表に呼び出すなど、何事だ」
 影の者は影に徹し、紫呉や弥生への報告以外で表に出ることなどない。それは雪也もわかっているはずで、だからこそ今まで弥生に何かを伝えなければならない時は紙片を月路の方へ投げて伝えるなどしていたというのに。
 眉間に皺を寄せながら厳しい顔をしている月路に苦笑しながら、雪也は薬草を摘むフリをしつつ努めて笑みを浮かべた。
「すべての話に正確性はありませんが、それでも急をようするでしょう。どうかご当主様と兄さまに伝えてください。武衛が火の海になり、衛府が砲撃される可能性があると」
「なに……?」
 雪也たちの安全を守る為、弥生の命令で武衛に残った月路であったが、そう近づいては姿を誰かに見られてしまう可能性が高くなる。雪也や湊が聞いたことも月路の耳には届かなかったのだろう。雪也は笑みを浮かべつつ周りに誰もいないことをもう一度確認してことさら声を小さくした。
「湊が蒼の店の前で聞いた噂だそうですが、近頃火薬や米蔵が狙われ、盗まれているようです。それから、先程の食事処で怪しげな会話をしている者がいました。近臣の屋敷に火をつけて、混乱に陥った衛府に砲撃をしかけると。〝あの方たちが味方になったおかげで大砲も使えるようになった〟と言っていましたが、あの方たちというのが誰かはわかりません」
 だが近臣の屋敷と衛府が関わっているとあれば、弥生もまた無関係ではない。雪也達からすればどうにもできない程度の情報であるが、月路が本気で調べればもう少し精密な情報を得ることができるだろう。
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