必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「春風殿が主だった近臣や領主らに集まるよう呼び掛けておられるとか」
 東の地を治める領主の一人が茶器を持ちながらチラと客人らに視線を向ける。武衛にほど近いここに集まった彼らは旧知の間柄であり、同じ領主という立場をもつ仲間だった。
「実際のところは芳次公が招集しておるのだろうが、今は将軍の招集に応じぬ領主も多いだろう。それを考えれば、春風殿を動かすのは妥当だとは思う」
 萌黄の衣を纏った男が茶菓子に手を伸ばしながら言う。そう言う彼こそが、将軍に不信を抱いている側の者であることなど周知の事実だ。まだ攻撃的でないだけマシなのかもしれないが、春風の名が無ければ将軍の招集など無視を決め込んでいただろう。
「領主の中には春風殿に恩がある者も多いし、そうでなかったとしても彼らのためなら動こうとする者が大半でしょう。現に先日城下町を放火しようという動きも春風殿の動きでほとんどが未然に防がれたと聞きますが、その際にも多くの領主や商家たちが春風殿のためならばと動いたとか。今や将軍家の人望よりも春風家の人望の方が勝っていることでしょう」
 濃紺の着流しに眼鏡をかけた領主もまた茶を飲みながらしみじみと息をつく。彼の偽りなき言葉に、この屋敷の主である東の領主はツイと庭へ視線を向けた。
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