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その後…
「じゃあ、まずメシだな」
ニヤリ!と笑うアオさん。
促され、手元の椀に目を落とす。
因みにピョン太は、ぬいぐるみだから、食べなくて良いらしい(チェッ!
ズルイな!!)。
椀の中では、大根の実と葉っぱが味噌で煮つめられ、湯気を立てていた。
しかしボクの目には、どう見ても美味しそうには見えない。
『大根の葉っぱって本当に食べられるの?だって、スーパーで売ってないジャン!!』
ジトッと見上げ抗議するボクを諭すように、アオさんの講義が始まった。
「冬っていったら、やっぱ【大根】だろ。
【葉っぱ】は、さっき言ったように色々良いみてーだし、乾燥させとけ
ば日もちする。
【実】のほうも、何かと腹にいーから、調子の悪りぃときゃ大助かりだ。埋めときゃ春まで食えるし、煮ても焼いてもイケる。味だって、味噌
でも、醤油でもドンとこい!だ」
「でもにがいことには変わらないよ!」
「だから味噌味にしたんだ。味噌は、苦味を緩和してくれるからな」
それでも疑惑の目を向けるボクに
「食ってみりゃわかる」とどめの一撃。
しぶしぶお椀に向き直ると
「ちゃんと食う前に【いただぎます】するんだぞ」注意された。
「そんなのわかってるよー」間髪入れず言い返す。
「じゃあ、ちゃんと意味もわかってるよな!?」
あらためて尋ねられ、頭の中が、はてなマークで埋めつくされる。
毎日ご飯を作ってくれるお母さんに感謝しろってこと?だと思ったボクは
「感謝しろってこと…母さんに?」
そのまんまストレートに言葉にする。
「やっぱりな……」ボソリと悲しげに呟いたアオさんは、
「人間ってのは、短命なんだから、きちんと伝授しなきゃいけねーだろ!
!」
憤慨したように叫んだ。
それを目にしたピョン太が、慌ててボクの傍に身を寄せる。
アオさんは、怒りを抑えるようにはぁー―――と、深く息を吐くと
「生き物ってのは、全てに命があるんだ」
静かに説明し始めた。
「牛や豚などの動物はもちろん、蝶や蜂なんかの昆虫類、杉やタンポポ
などの草木にも生命は宿ってる。でも生きるためには無慈悲にも、それらを食さなければならない。そこで考えられたのが【いただきます】って言葉だ。所詮、人間の勝手な自己満足だけどな」
アオさんは、一気にそこまで言うと、薄く笑った。
「自分が生き延びるため、他者の命をもらい受ける。へりくだって言うと、いただく訳だな。だから、食事の前には感謝の気持ちを込めて【いただきます】って言わなきゃいけねぇ」
「知らなかったー」
「オレっちも知らん、かった!!」
話を聞き終え、交互に感嘆の息をつく。
「アオさんってもの知りだね!」
感心するボクに
「そりゃー年の功って奴だ。だてに年くってねぇーからな」ポリポリと
頭を掻く。
「それより早く食え。冷めちまうぞ!」
照れくさそうにさりげなく、話題をそらした。
..*+☆.**+☆+*..
その後、なんとか食事を終えたボクに【ごほうび】と、称して風呂を沸かしてくれた。
「えっ!?毎日入らないのー?」驚く
ボクに
「風呂入るにゃ、川の水、くんでこなきゃなんねーからな。毎日だと面倒でいけねー!」
ポリポリ頭を掻く。(どうやら、癖らしい)
それでも、入り方のわからないボク
のためにレクチャーしてくれた。
因みにピョン太は、お風呂に入らなかった。
「濡れるのは、嫌だ」って言ってた
クセに、ぼくがお風呂に入っている間、そばから離れようとしない。(なんだかんだ、いってイイヤツだよなーコイツ!)
お風呂から上がると
「湯冷めしないように、サッサと寝ろ!」
アオさんの声が掛かる。
「因みに明日の朝ははえー(早い)からなー」
言うなり、サッサと自ら床に寝ころんだ。
「あれ?お布団は?」尋ねたボクに
「一組しかねーんだ。悪いけど、二人で使ってくれ」の返事。
「だってアオさんは?」
「そうだよ!いくら鬼でも、寒さは感じるんじゃないのか?」
「そうだよ!昼間だってコードとマフラーしてたじゃん!!」
ピョン太の言葉に便乗するボクに
「じゃあ三人で寝るか?ほとんどオレが取っちまってオメーらの場所ねー(無い)けどなー」
ニヤリと意地
悪く笑うアオさん。
わずかに青ざめたボク達を見て、満足したのか?
「ってのは冗談だ。オレはコッチで平気だ!」
そう言って、再び床に寝ころんだ。
体の上にコートを掛け
「オメーらも早く寝ろよ!」言い残し、ボクらを急きたてる。
そのわずか後、いびきをかき始め、その早業にボク達は顔を見合わせ苦笑した。
「じゃあ、まずメシだな」
ニヤリ!と笑うアオさん。
促され、手元の椀に目を落とす。
因みにピョン太は、ぬいぐるみだから、食べなくて良いらしい(チェッ!
ズルイな!!)。
椀の中では、大根の実と葉っぱが味噌で煮つめられ、湯気を立てていた。
しかしボクの目には、どう見ても美味しそうには見えない。
『大根の葉っぱって本当に食べられるの?だって、スーパーで売ってないジャン!!』
ジトッと見上げ抗議するボクを諭すように、アオさんの講義が始まった。
「冬っていったら、やっぱ【大根】だろ。
【葉っぱ】は、さっき言ったように色々良いみてーだし、乾燥させとけ
ば日もちする。
【実】のほうも、何かと腹にいーから、調子の悪りぃときゃ大助かりだ。埋めときゃ春まで食えるし、煮ても焼いてもイケる。味だって、味噌
でも、醤油でもドンとこい!だ」
「でもにがいことには変わらないよ!」
「だから味噌味にしたんだ。味噌は、苦味を緩和してくれるからな」
それでも疑惑の目を向けるボクに
「食ってみりゃわかる」とどめの一撃。
しぶしぶお椀に向き直ると
「ちゃんと食う前に【いただぎます】するんだぞ」注意された。
「そんなのわかってるよー」間髪入れず言い返す。
「じゃあ、ちゃんと意味もわかってるよな!?」
あらためて尋ねられ、頭の中が、はてなマークで埋めつくされる。
毎日ご飯を作ってくれるお母さんに感謝しろってこと?だと思ったボクは
「感謝しろってこと…母さんに?」
そのまんまストレートに言葉にする。
「やっぱりな……」ボソリと悲しげに呟いたアオさんは、
「人間ってのは、短命なんだから、きちんと伝授しなきゃいけねーだろ!
!」
憤慨したように叫んだ。
それを目にしたピョン太が、慌ててボクの傍に身を寄せる。
アオさんは、怒りを抑えるようにはぁー―――と、深く息を吐くと
「生き物ってのは、全てに命があるんだ」
静かに説明し始めた。
「牛や豚などの動物はもちろん、蝶や蜂なんかの昆虫類、杉やタンポポ
などの草木にも生命は宿ってる。でも生きるためには無慈悲にも、それらを食さなければならない。そこで考えられたのが【いただきます】って言葉だ。所詮、人間の勝手な自己満足だけどな」
アオさんは、一気にそこまで言うと、薄く笑った。
「自分が生き延びるため、他者の命をもらい受ける。へりくだって言うと、いただく訳だな。だから、食事の前には感謝の気持ちを込めて【いただきます】って言わなきゃいけねぇ」
「知らなかったー」
「オレっちも知らん、かった!!」
話を聞き終え、交互に感嘆の息をつく。
「アオさんってもの知りだね!」
感心するボクに
「そりゃー年の功って奴だ。だてに年くってねぇーからな」ポリポリと
頭を掻く。
「それより早く食え。冷めちまうぞ!」
照れくさそうにさりげなく、話題をそらした。
..*+☆.**+☆+*..
その後、なんとか食事を終えたボクに【ごほうび】と、称して風呂を沸かしてくれた。
「えっ!?毎日入らないのー?」驚く
ボクに
「風呂入るにゃ、川の水、くんでこなきゃなんねーからな。毎日だと面倒でいけねー!」
ポリポリ頭を掻く。(どうやら、癖らしい)
それでも、入り方のわからないボク
のためにレクチャーしてくれた。
因みにピョン太は、お風呂に入らなかった。
「濡れるのは、嫌だ」って言ってた
クセに、ぼくがお風呂に入っている間、そばから離れようとしない。(なんだかんだ、いってイイヤツだよなーコイツ!)
お風呂から上がると
「湯冷めしないように、サッサと寝ろ!」
アオさんの声が掛かる。
「因みに明日の朝ははえー(早い)からなー」
言うなり、サッサと自ら床に寝ころんだ。
「あれ?お布団は?」尋ねたボクに
「一組しかねーんだ。悪いけど、二人で使ってくれ」の返事。
「だってアオさんは?」
「そうだよ!いくら鬼でも、寒さは感じるんじゃないのか?」
「そうだよ!昼間だってコードとマフラーしてたじゃん!!」
ピョン太の言葉に便乗するボクに
「じゃあ三人で寝るか?ほとんどオレが取っちまってオメーらの場所ねー(無い)けどなー」
ニヤリと意地
悪く笑うアオさん。
わずかに青ざめたボク達を見て、満足したのか?
「ってのは冗談だ。オレはコッチで平気だ!」
そう言って、再び床に寝ころんだ。
体の上にコートを掛け
「オメーらも早く寝ろよ!」言い残し、ボクらを急きたてる。
そのわずか後、いびきをかき始め、その早業にボク達は顔を見合わせ苦笑した。
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