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25話 診断結果 ジョエルside
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神官のウスタシュ殿は魔法で強制的にアナイスを眠らせてベッドに寝かせると、ドレスの上から手のひらを腹部にあてて診察を始めた。
少し前までニヤつきながらオレを揶揄っていたのが嘘みたいに、診察をするウスタシュ殿はまるで別人のようだ。
今は専門家の顔でアナイスの健康状態を魔法で診ながら、次々と診断を下してゆく。
「このお嬢さんの叔父とやらは、とんでもなく暴力的な男らしい。 …ドレスの下は痣だらけだ」
ウスタシュ殿がポツポツと診断結果をつぶやいた。
「痣だらけ…?」
そこまで激しい虐待を受けているのか?! 基礎的な防御魔法ぐらいならアナイスにも使えるはずだが… なぜ使わなかった? 使えない理由があるのか?
「殴られた後の腫れやうっ血が残っている… コレはだいたい4,5日ぐらい前にできたモノだ。 んん? …それと今は完治しているが、あばらが折れた形跡もあるな……」
「バカな! あばらを折られたのか?!」
「間違いない。 恐らく… 硬い床に倒れたお嬢さんの上に体重をかけて乗ったか… あるいは強く踏みつけたか… そんな感じだな」
「アナイス… 君はこんな状態になるまで黙っているなんて… あの時、オレが冷静さを失って手を振り払ってしまったから……」
両親が病気で亡くなっているから、助けを求められる人間が誰もいなかったのだろう。 アナイスを助けられるとしたら… オレしかいないのに。
秘密裏に連絡を取り合う方法をアナイスと決めておけば… こんな虐待なんて避けられたかもしれない。
アナイスの腹部に手をあてたまま、ウスタシュ殿はオレの顔を見て厳しい表情を浮かべた。
「まだ若いからケガの治りが早いが… 暴力を受けた痕跡以外にも、お嬢さんの身体は栄養不足が続いているみたいだ。 …ジョエル卿、このままだと危ないぞ」
「栄養不足? 満足に食事もあたえられなかったということか… 流行り病で身体が病弱になり痩せ細っているのだと思っていた」
意識があった時はオレに怒っていたから、ずっと頬が赤く染まっていて気づかなかったけれど… 今は青ざめていて本当に体調が悪そうだ。
「我慢強いお嬢さんだよ」
「…オレがもっと注意していたら」
自分の感情に振りまわされて… 肝心なことが見えていなかった! これではオレがアナイスにすてられて当然だ。
「そう、自分を責めるなジョエル卿。 今はこのお嬢さんにとって1番必要なことを考えてやらないと」
「…ええ」
「かわいそうに… 痛かっただろうね、お嬢さん。 すぐ楽にしてあげよう」
丁寧に身体の状態を見てから、ウスタシュ殿はゆっくりと治癒魔法をかけてゆく。
傷だらけだったアナイスの小さな手も傷痕を残さず綺麗に皮膚が再生され、オレはホッ… とため息をついた。
「ふぅ~… やれやれ… 若い令嬢の身体に傷痕を1つも残さず、丁寧に治癒魔法をかけるのは意外と苦労するんだ」
あらっぽい騎士相手の治療よりも繊細な作業が必要で負担が大きかったらしい。 ウスタシュ殿は額に浮かんだ汗を手でぬぐう。
「感謝します。 治療費はオレ個人に請求して下さい」
「ハハハッ! そんなケチ臭いことはしないさ。 女神の子らへの奉仕こそ、神官が課せられた本来の仕事なんだよ。 寄付金を積まれなければ治療しない、強欲な奴らと同じにしないでくれ」
カラカラと笑いながら報酬を断られ、思わずオレは苦笑いを浮かべた。
…そう言えばウスタシュ殿はヒマさえあれば、貧民街で奉仕活動をしていると聞いたことがある。
「これは失礼した。 ウスタシュ殿には侮辱だったな…」
「ジョエル卿がどうしても報酬を払いたいなら、ジルエット地区の孤児院に寄付すると良い」
「なるほど… わかった、そうしよう」
ニヤリと笑ってウスタシュ殿は満足そうにうなずいた。
「まぁ… ジョエル卿がオロオロと動揺する珍しい姿を、先払いで拝ませてもらっただけで、報酬はじゅうぶんさ」
「……ウスタシュ殿!」
自分でもどうかしていると思うほど動揺していたから、揶揄われて何も言い返せないのが悔しい。
顔がカッ… と熱い。 きっと赤くなっているはずだ。
こうして人を揶揄う悪いクセさえ無ければ、ウスタシュ殿は信頼できる有能な神官なのだが… これでもオレは騎士団では、若さに似合わず冷静沈着な男で通っているのに。
「さてと、治療は終ったけど… お嬢さんはもう少しここで眠らせておこう」
「いえ、アナイスを起こしてやってください。 副団長に休憩が終わる前にアナイスを試験会場にもどす約束で、医療室に連れて来ることを許可してもらったので」
「それなら仕方ないね」
ベッドで眠るアナイスの額に手を当て、ウスタシュ殿はゆっくりと魔力をながし覚醒をうながした。
少し前までニヤつきながらオレを揶揄っていたのが嘘みたいに、診察をするウスタシュ殿はまるで別人のようだ。
今は専門家の顔でアナイスの健康状態を魔法で診ながら、次々と診断を下してゆく。
「このお嬢さんの叔父とやらは、とんでもなく暴力的な男らしい。 …ドレスの下は痣だらけだ」
ウスタシュ殿がポツポツと診断結果をつぶやいた。
「痣だらけ…?」
そこまで激しい虐待を受けているのか?! 基礎的な防御魔法ぐらいならアナイスにも使えるはずだが… なぜ使わなかった? 使えない理由があるのか?
「殴られた後の腫れやうっ血が残っている… コレはだいたい4,5日ぐらい前にできたモノだ。 んん? …それと今は完治しているが、あばらが折れた形跡もあるな……」
「バカな! あばらを折られたのか?!」
「間違いない。 恐らく… 硬い床に倒れたお嬢さんの上に体重をかけて乗ったか… あるいは強く踏みつけたか… そんな感じだな」
「アナイス… 君はこんな状態になるまで黙っているなんて… あの時、オレが冷静さを失って手を振り払ってしまったから……」
両親が病気で亡くなっているから、助けを求められる人間が誰もいなかったのだろう。 アナイスを助けられるとしたら… オレしかいないのに。
秘密裏に連絡を取り合う方法をアナイスと決めておけば… こんな虐待なんて避けられたかもしれない。
アナイスの腹部に手をあてたまま、ウスタシュ殿はオレの顔を見て厳しい表情を浮かべた。
「まだ若いからケガの治りが早いが… 暴力を受けた痕跡以外にも、お嬢さんの身体は栄養不足が続いているみたいだ。 …ジョエル卿、このままだと危ないぞ」
「栄養不足? 満足に食事もあたえられなかったということか… 流行り病で身体が病弱になり痩せ細っているのだと思っていた」
意識があった時はオレに怒っていたから、ずっと頬が赤く染まっていて気づかなかったけれど… 今は青ざめていて本当に体調が悪そうだ。
「我慢強いお嬢さんだよ」
「…オレがもっと注意していたら」
自分の感情に振りまわされて… 肝心なことが見えていなかった! これではオレがアナイスにすてられて当然だ。
「そう、自分を責めるなジョエル卿。 今はこのお嬢さんにとって1番必要なことを考えてやらないと」
「…ええ」
「かわいそうに… 痛かっただろうね、お嬢さん。 すぐ楽にしてあげよう」
丁寧に身体の状態を見てから、ウスタシュ殿はゆっくりと治癒魔法をかけてゆく。
傷だらけだったアナイスの小さな手も傷痕を残さず綺麗に皮膚が再生され、オレはホッ… とため息をついた。
「ふぅ~… やれやれ… 若い令嬢の身体に傷痕を1つも残さず、丁寧に治癒魔法をかけるのは意外と苦労するんだ」
あらっぽい騎士相手の治療よりも繊細な作業が必要で負担が大きかったらしい。 ウスタシュ殿は額に浮かんだ汗を手でぬぐう。
「感謝します。 治療費はオレ個人に請求して下さい」
「ハハハッ! そんなケチ臭いことはしないさ。 女神の子らへの奉仕こそ、神官が課せられた本来の仕事なんだよ。 寄付金を積まれなければ治療しない、強欲な奴らと同じにしないでくれ」
カラカラと笑いながら報酬を断られ、思わずオレは苦笑いを浮かべた。
…そう言えばウスタシュ殿はヒマさえあれば、貧民街で奉仕活動をしていると聞いたことがある。
「これは失礼した。 ウスタシュ殿には侮辱だったな…」
「ジョエル卿がどうしても報酬を払いたいなら、ジルエット地区の孤児院に寄付すると良い」
「なるほど… わかった、そうしよう」
ニヤリと笑ってウスタシュ殿は満足そうにうなずいた。
「まぁ… ジョエル卿がオロオロと動揺する珍しい姿を、先払いで拝ませてもらっただけで、報酬はじゅうぶんさ」
「……ウスタシュ殿!」
自分でもどうかしていると思うほど動揺していたから、揶揄われて何も言い返せないのが悔しい。
顔がカッ… と熱い。 きっと赤くなっているはずだ。
こうして人を揶揄う悪いクセさえ無ければ、ウスタシュ殿は信頼できる有能な神官なのだが… これでもオレは騎士団では、若さに似合わず冷静沈着な男で通っているのに。
「さてと、治療は終ったけど… お嬢さんはもう少しここで眠らせておこう」
「いえ、アナイスを起こしてやってください。 副団長に休憩が終わる前にアナイスを試験会場にもどす約束で、医療室に連れて来ることを許可してもらったので」
「それなら仕方ないね」
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