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死ぬ気でゴマすりすべし
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俺の主人である、第一王子のレインは、燃えるような赤髪に、鋭い目付きに赤い瞳、長身で、筋肉質な体格の男だ。
『俺がいかにも、乙女ゲームの第一攻略対象だぞ!』という見た目をしている。
(こんなにかっこいいのに、なんでよりにもよってBL設定なんだ。女の子は選び放題だろうに、もったいない····)
転生前は、女子にモテたくて仕方がなかった俺は、この世界の美女が脇役で、イケメン同士が恋愛を繰り広げる不条理さに嘆きたくなるのだった。
初めこそ、レインは俺を警戒していた。しかし、俺は転生前の特技である、持ち前のゴマすりを発揮しレインに毎日毎日こびへつらっていた。
「レイン様、朝はお白湯にしますか、紅茶にしますか、それともゆずホットティーにしますか?」
「レイン様、お疲れじゃないですか?お体マッサージいたします。」
「レイン様、お湯加減はいかがですか?お背中お流しいたします。」
俺は、レインの世話をすることに命をかけていた。レインに追い出されれば、俺は再び破滅ルートを迎えるかもしれない。レインに気に入られるかどうかは、俺の生死に関わる問題だった。
ある日、俺はうつ伏せになったレインの上にまたがり、日課であるマッサージをしていた。レインは含み笑いをしながら聞いてきたことがある。
「お前、俺にこんなに尽くして何か企んでいるんじゃないんだろうな?」
「いえ!滅相もございません!私の生き甲斐は、レイン様のお役に立つことですから。こんなどうしようもない私を広い心で許してくださったのはレイン様です。レイン様にお仕えすることが、私の喜びなのです。」
レインは、何だコイツという顔で吹き出したが、まんざら嫌そうでもなかった。
俺の本心は、『死にたくないから死ぬ気で取り入っている』だったが、俺を救ってくれたのはレインに他ならない。感謝の気持ちは嘘ではなかった。
「そうか。お前といると、俺はダメ人間になりそうだな。」
レインがどこか嬉しそうに言うので、俺はレインの中での好感度が爆上がりしているのだと喜んだ。このまま、『世話焼き元悪役侍従』として平和に暮らしていきたいと願っていた。
そんなある日のことである。
レインは、今度の休みに俺と遠出をしたいから、行き先まで下見に行ってくると言いだした。
「この私を遠出に?どうぞ、お構い無く、私はレイン様がご不在の間、お部屋をピカピカに掃除してお待ちしておりますので、ご友人達と行ってらっしゃいませ。」
気を利かせて言ったつもりだが、レインは眉を寄せ不機嫌な顔をした。
「つべこべ言うな。俺も行ったことがない場所だから、念のため見ておきたいんだ。冴えない場所で、お前をがっかりさせたくない。」
俺を連れていく必要もないし、冴えない場所でがっかりできるほどの立場ではないのだが、レインがそうしたいのならば、俺も話に乗らねば機嫌を損ねるだろう。
「なんとありがたいお言葉でしょう。私はレイン様に気遣っていただけるなんて光栄です。お気を付けて行ってらっしゃいませ!」
俺が満面の笑みでそう言うと、レインは心底嬉しそうに俺の頭をポンポンと撫でた。
レインが外出してしばらく経ってから、一人の客人が屋敷を訪ねてきた。
なんと、このゲームのヒロイン、ソラだった。
屋敷内を歩き回っていた俺は、客間で心許なげに立っているソラと鉢合わせしてしまった。
俺達の間に気まずい沈黙が流れた。
『俺がいかにも、乙女ゲームの第一攻略対象だぞ!』という見た目をしている。
(こんなにかっこいいのに、なんでよりにもよってBL設定なんだ。女の子は選び放題だろうに、もったいない····)
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初めこそ、レインは俺を警戒していた。しかし、俺は転生前の特技である、持ち前のゴマすりを発揮しレインに毎日毎日こびへつらっていた。
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「レイン様、お疲れじゃないですか?お体マッサージいたします。」
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ある日、俺はうつ伏せになったレインの上にまたがり、日課であるマッサージをしていた。レインは含み笑いをしながら聞いてきたことがある。
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俺の本心は、『死にたくないから死ぬ気で取り入っている』だったが、俺を救ってくれたのはレインに他ならない。感謝の気持ちは嘘ではなかった。
「そうか。お前といると、俺はダメ人間になりそうだな。」
レインがどこか嬉しそうに言うので、俺はレインの中での好感度が爆上がりしているのだと喜んだ。このまま、『世話焼き元悪役侍従』として平和に暮らしていきたいと願っていた。
そんなある日のことである。
レインは、今度の休みに俺と遠出をしたいから、行き先まで下見に行ってくると言いだした。
「この私を遠出に?どうぞ、お構い無く、私はレイン様がご不在の間、お部屋をピカピカに掃除してお待ちしておりますので、ご友人達と行ってらっしゃいませ。」
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