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天使のヒロイン
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「君は·········イアン──なぜここにいるんだ········?」
ソラは驚きを隠せない様子だった。それはそうだろう。レインに連れ出された俺は、悪事相応の罰を受けたと思っていたはずだ。
俺は勢いよく床に手をつき、ジャンピング土下座をした。
「ソラ!!!あの時は、本当にすみませんでした!僕が全て悪かったです。君にひどいことをして、後悔してます!許してくれとは言いませんが、どうか謝らせてください!」
日本人お得意のとりあえず土下座だ。土下座をされて、『いや、それでも許せない!!』となる奴はなかなかいないと思う。
「い、いや、頭を上げてイアン·····僕は君が心配だったんだ。僕とのゴタゴタのせいで、ひどいことをされたんじゃないかと───レインの屋敷で働いているなんて知らなかったよ。元気そうで良かった。」
さすがヒロイン、なんて心が清らかで、おおらかな奴なんだろうか。困りながらも優しく微笑むソラを、俺は神を崇めるような目で見上げた。
「レイン様が、僕に情けをかけてくれたんだ。ソラ、僕を許してくれてありがとう·····!本当は、君と友達になりたかったんだ。でも、僕のつまらない見栄やプライドが邪魔して、意地悪ばかりしてしまって····本当にごめんね。」
「────そうだったんだね!僕も君と友達になりたかったんだ。でも、嫌われていると思ってたから·······今すごくうれしいよ!」
ソラははにかんだように笑った。
あぁ、なんてかわいい奴なんだろうか。薄茶色のサラサラの髪も、透き通るようにきれいな肌も、ピンクの唇も全てが天使みたいだ。
BLにおけるヒロインキャラは、もはやその辺の女の子よりも『THE女の子』だ。
「ところで、レイン様に用事があったのでは?今日は少し出掛けてるんだけど····」
「え?そうなんだね!授業で出された課題を一緒にしようって話だったから来たんだけど····」
レインは何てやつだ。ヒロインとの約束をすっぽかすなんて第一攻略キャラの風上にも置けない。
「そっか。どうする?戻るまで待つか、日を改める?」
「────あの、今日はもう課題はやめにして、良かったらイアンとお話したいな。」
「え?」
「せっかく和解できたんだから、僕君と仲良くなりたい。お仕事中だから迷惑かな······?」
俺はない脳みそをフル回転させた。ヒロインと仲良くなっておけば、破滅ルートに戻る可能性は限りなく低くなるはずだ。このチャンスを逃すわけにはいかない。
「ううん!僕もソラと仲良くなりたい。ちょっと待ってて!」
侍従長に許可を貰い、菓子と美味しい紅茶を入れ、中庭のテラスに腰掛け二人で向かい合って話をした。
「ソラ、以前は町の方に住んでたんだよね?たまに帰ったりするの?」
「うん。市場においしい屋台があって、たまにどうしても食べたくなるんだ。貴族の人たちからしたらそんなもの食べるなんてって思われるかもしれないけど、僕は庶民的な舌だから。」
「へー!僕も食べてみたい。庶民的な屋台ってどういうのか気になるな。」
「イアン、気になる?じゃあ、今度案内するよ。実家にも寄っていって。母さんと、弟も友達を連れてきたら喜ぶと思う!!」
ソラとは会話のテンポも合うし、すごく話しやすかった。話題は尽きず、レインが帰宅するまで俺達は話し込んでしまっていた。
レインが帰ったと他の使用人から聞かされた時、俺はソラとの楽しい時間から現実に引き戻され顔を青くした。
後先のことを考えていなかったのだが、よくよく考えれば、俺とソラが話すなどレインからすれば言語道断だろう。
また俺がソラによからぬ企みをしていると誤解されるだろうし、ソラに近付くな!と間違いなく言われるに違いない。
時間も忘れて話し込んでしまった自分の馬鹿さ加減を呪いながら、俺は恐る恐るレインを出迎えた。
「レ、レイン様、お帰りなさいませ。」
「イアン今帰った。誰か来てるのか?」
訝しげな顔をしたレインの前に機嫌の良さそうなソラが走り寄ってきた。
「あっレイン!帰ったんだね。おかえり。」
「ソラ!?なんでここに····って、そうか。今日約束してたな。」
「もう~忘れてたんだね。でもいいよ。今日はイアンとたくさん話せて仲良くなれたから。じゃあ、また今度ねイアン。」
俺はソラになぜかハグされ、ソラは俺の気も知らずバイバイと手を振り颯爽と帰ってしまった。
俺は、笑顔でソラを見送りながらも、レインの反応が怖くて振り向くことができなかった。
ソラは驚きを隠せない様子だった。それはそうだろう。レインに連れ出された俺は、悪事相応の罰を受けたと思っていたはずだ。
俺は勢いよく床に手をつき、ジャンピング土下座をした。
「ソラ!!!あの時は、本当にすみませんでした!僕が全て悪かったです。君にひどいことをして、後悔してます!許してくれとは言いませんが、どうか謝らせてください!」
日本人お得意のとりあえず土下座だ。土下座をされて、『いや、それでも許せない!!』となる奴はなかなかいないと思う。
「い、いや、頭を上げてイアン·····僕は君が心配だったんだ。僕とのゴタゴタのせいで、ひどいことをされたんじゃないかと───レインの屋敷で働いているなんて知らなかったよ。元気そうで良かった。」
さすがヒロイン、なんて心が清らかで、おおらかな奴なんだろうか。困りながらも優しく微笑むソラを、俺は神を崇めるような目で見上げた。
「レイン様が、僕に情けをかけてくれたんだ。ソラ、僕を許してくれてありがとう·····!本当は、君と友達になりたかったんだ。でも、僕のつまらない見栄やプライドが邪魔して、意地悪ばかりしてしまって····本当にごめんね。」
「────そうだったんだね!僕も君と友達になりたかったんだ。でも、嫌われていると思ってたから·······今すごくうれしいよ!」
ソラははにかんだように笑った。
あぁ、なんてかわいい奴なんだろうか。薄茶色のサラサラの髪も、透き通るようにきれいな肌も、ピンクの唇も全てが天使みたいだ。
BLにおけるヒロインキャラは、もはやその辺の女の子よりも『THE女の子』だ。
「ところで、レイン様に用事があったのでは?今日は少し出掛けてるんだけど····」
「え?そうなんだね!授業で出された課題を一緒にしようって話だったから来たんだけど····」
レインは何てやつだ。ヒロインとの約束をすっぽかすなんて第一攻略キャラの風上にも置けない。
「そっか。どうする?戻るまで待つか、日を改める?」
「────あの、今日はもう課題はやめにして、良かったらイアンとお話したいな。」
「え?」
「せっかく和解できたんだから、僕君と仲良くなりたい。お仕事中だから迷惑かな······?」
俺はない脳みそをフル回転させた。ヒロインと仲良くなっておけば、破滅ルートに戻る可能性は限りなく低くなるはずだ。このチャンスを逃すわけにはいかない。
「ううん!僕もソラと仲良くなりたい。ちょっと待ってて!」
侍従長に許可を貰い、菓子と美味しい紅茶を入れ、中庭のテラスに腰掛け二人で向かい合って話をした。
「ソラ、以前は町の方に住んでたんだよね?たまに帰ったりするの?」
「うん。市場においしい屋台があって、たまにどうしても食べたくなるんだ。貴族の人たちからしたらそんなもの食べるなんてって思われるかもしれないけど、僕は庶民的な舌だから。」
「へー!僕も食べてみたい。庶民的な屋台ってどういうのか気になるな。」
「イアン、気になる?じゃあ、今度案内するよ。実家にも寄っていって。母さんと、弟も友達を連れてきたら喜ぶと思う!!」
ソラとは会話のテンポも合うし、すごく話しやすかった。話題は尽きず、レインが帰宅するまで俺達は話し込んでしまっていた。
レインが帰ったと他の使用人から聞かされた時、俺はソラとの楽しい時間から現実に引き戻され顔を青くした。
後先のことを考えていなかったのだが、よくよく考えれば、俺とソラが話すなどレインからすれば言語道断だろう。
また俺がソラによからぬ企みをしていると誤解されるだろうし、ソラに近付くな!と間違いなく言われるに違いない。
時間も忘れて話し込んでしまった自分の馬鹿さ加減を呪いながら、俺は恐る恐るレインを出迎えた。
「レ、レイン様、お帰りなさいませ。」
「イアン今帰った。誰か来てるのか?」
訝しげな顔をしたレインの前に機嫌の良さそうなソラが走り寄ってきた。
「あっレイン!帰ったんだね。おかえり。」
「ソラ!?なんでここに····って、そうか。今日約束してたな。」
「もう~忘れてたんだね。でもいいよ。今日はイアンとたくさん話せて仲良くなれたから。じゃあ、また今度ねイアン。」
俺はソラになぜかハグされ、ソラは俺の気も知らずバイバイと手を振り颯爽と帰ってしまった。
俺は、笑顔でソラを見送りながらも、レインの反応が怖くて振り向くことができなかった。
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