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彼の焼きもち
彼の焼きもち
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「ごめんなさい」
なんで謝っているんだろう。
やましいことは一切していないのに。
「あの、和真さん」
顔を見るのが正直怖かったけど、ちゃんと目を見て、謝りたかったから、おっかなびっくり、そろりそろりと顔を上げた。
その時、ぱっと部屋の明かりがついた。
「まずは落ち着け」
副島さんが彼の肩をぽんぽんと軽く叩いた。でも彼は、
「……」
面白くなさそうに口を真一文字に結び、これでもかと頬っぺを膨らませた。
これには副島さんも苦笑いするしかなくて。
「なぁ四季。岩水はな、和真に……」
「その話し、ここで話す必要はないだろう。思い出すだけでも腸が煮えくり返る。忌々しい」
彼が不満を露にした。
「和真、一時間くらい一宮さんの部屋に行って頭を冷やしてこい」
「は?」
「は、じゃない。今のお前は冷静さを失っている。我を忘れている。ほら、ぼさっとするな」
副島さんが彼の首根っこをむんずと掴むと、有無をいわさず引っ張っていった。
たもくんとの仲を誤解されたまま、彼に嫌われたくない。
それならいっそ、着信拒否にし、たもくんのアドレスを削除してしまおう。
意を決し、操作しようとしたら、
「ちょっと待て!早まるな!」
副島さんが戻ってきた。
「こんな夜中に何度も掛けてくるということは、もしかしたら緊急かも知れない。岩水の同棲中の女性……えっと……」
「きよちゃんです」
「彼女の身に何か起きたんじゃないのか?」
「そんな……」
「長谷川さんのこともある。あり得ないとは言い切れない」
副島さんが右手を差し出した。
「スマホを貸せ。当たり障りのないようにショートメッセージを送信する」
「僕、和真さんに嫌われたくない。だから、副島さん、このままこのスマホを預かって下さい」
「……分かった」
短く答えると、慣れた手付きでスマホを操作しはじめた。
「さっきの話しだが、聞きたいか?」
「えっと……」
どう答えていいか分からず視線が宙をさまよった。
なんで謝っているんだろう。
やましいことは一切していないのに。
「あの、和真さん」
顔を見るのが正直怖かったけど、ちゃんと目を見て、謝りたかったから、おっかなびっくり、そろりそろりと顔を上げた。
その時、ぱっと部屋の明かりがついた。
「まずは落ち着け」
副島さんが彼の肩をぽんぽんと軽く叩いた。でも彼は、
「……」
面白くなさそうに口を真一文字に結び、これでもかと頬っぺを膨らませた。
これには副島さんも苦笑いするしかなくて。
「なぁ四季。岩水はな、和真に……」
「その話し、ここで話す必要はないだろう。思い出すだけでも腸が煮えくり返る。忌々しい」
彼が不満を露にした。
「和真、一時間くらい一宮さんの部屋に行って頭を冷やしてこい」
「は?」
「は、じゃない。今のお前は冷静さを失っている。我を忘れている。ほら、ぼさっとするな」
副島さんが彼の首根っこをむんずと掴むと、有無をいわさず引っ張っていった。
たもくんとの仲を誤解されたまま、彼に嫌われたくない。
それならいっそ、着信拒否にし、たもくんのアドレスを削除してしまおう。
意を決し、操作しようとしたら、
「ちょっと待て!早まるな!」
副島さんが戻ってきた。
「こんな夜中に何度も掛けてくるということは、もしかしたら緊急かも知れない。岩水の同棲中の女性……えっと……」
「きよちゃんです」
「彼女の身に何か起きたんじゃないのか?」
「そんな……」
「長谷川さんのこともある。あり得ないとは言い切れない」
副島さんが右手を差し出した。
「スマホを貸せ。当たり障りのないようにショートメッセージを送信する」
「僕、和真さんに嫌われたくない。だから、副島さん、このままこのスマホを預かって下さい」
「……分かった」
短く答えると、慣れた手付きでスマホを操作しはじめた。
「さっきの話しだが、聞きたいか?」
「えっと……」
どう答えていいか分からず視線が宙をさまよった。
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