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第二章

ローガンの苦悩 その2

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、、、、あの、匂いがする

あの匂いを嗅ぐと冷静でいられなくなる。
獣のようにまぐわってしまう。
深く 奥に、奥に、、、
この快楽を 
止め度もなく 繰り返し 繰り返し放出してしまう快楽を、
赤い色を忘れるように。

ハッと、目が覚めた。
また、あの匂いだ。
入学前に、マリアベルから <まじない> を掛けてもらってから気付き始めた。
あの、こびり付くような甘く苦い匂い

初めはアイラのお気に入りの香かと思っていた。

初め?いつが初めなのだ???

コーネリアがいた頃は、スズランやスミレ、優しいユリの香が漂っていたはず。

セバスチャンも あの忌まわしい匂いには 気が付いていた、と言う。

では、昨日もアイラと交わっていたのか?

あ、あ、頭が痛い
モヤがかかって考える事を放棄したくなる。

アイラ達は本館にセバスチャンが来るのを嫌がる。
実家の子爵から連れてきた使用人しか置かない。

今日はアイラ達が観劇で留守にしているのでこちらに来てもらった。
匂いの元を探してもらうためだ。
「寝室が特に酷いですね。
カーテンのヒダに匂いが残っていますね。
ベッドの木枠には匂いがこびり付いております。これは酷い、
壁紙が曇っていますね、煙かも•••」

お前はいつから気が付いていた??

アイラ様が、いらして直ぐでしたね。
おかしな匂いがするなぁ?と訝しく思っておりました。
でも、アイラ様の香水だとばかり思っておりました。

コーネリア様の死後 全く眠らず 食さず の毎日で心配していたところ、眠るようになって下さり•••
あの時は アイラ様のおかげだと思いました。

しかし、糸の切れた操り人形の様になられ、そのうちだんだんと癇性になられ、
会話すらも億劫になられ、、、

「そうか、迷惑かけたな。」
「迷惑など、そんな、最近の旦那様は昔に戻った様で安堵しておりました。」

この香は思考を無くす類の物か?
一体なんの目的で私を狙っているのか?

「私の推測ですが、クロスリー子爵の クラレンス侯爵家の乗っ取りと伯爵に対する怨恨ではなかろうかと、」

ローガン様には クロスリー子爵家からアイラ様のお相手にと何回も打診されておりました。
それは大変高飛車なお手紙でして•••
やれ、爵位を買ってやる
やれ、子爵家の事業を譲ってやる
やれ、伯爵家に多額の支援をする

あの時は大旦那様は
「子爵家はうちを家柄だけの<棚ぼた伯爵>と見て取り 御しやすいと思っておるのあろう」
とおっしゃっておりました。

そうか••••私は、
10年以上もの間も香で操られていたのか。

セバスチャン。
ローガンのうつけが直ったと
そして今後の相談をしたいと、父上に連絡をせねばならんな。

まずは証拠の香の入手をせねば。
夏にはマリアベルも帰省するであろう。
あれの<まじない>、あれは強い味方になる。

セバスチャンと策を練る事にした。




—————————
セバスチャンの考え

私は以前からアイラ様を探っていた。
ローガン様の異常な振る舞い
日の半分は寝ているか、残りは絶えず苛々とた態度。

週に2.3回 夜更けと 明け方まだ日が登る前、旦那様の寝室の窓を開けるアイラ様の筆頭侍女をジミーが確認している。
なぜ、そんな時間に筆頭侍女が夫婦の寝室にいるのだ?

庭師のジミーは我が手の者
こちらに来る前にコッソリと庭師として連れてきたのだ。
決まって、窓が開くと、あの甘い匂いがするとの事。

あの、筆頭侍女
真っ赤な口紅を引き、髪を片耳だけ下ろしている。
出入業者の若い男と逢引きをしているのをよく目撃する。
あの女の雰囲気は淑女に付き添わせる感じのものではない。まるで場末の娼婦のように下品だ。
とにかく怪しい。

マリアベル様が学園に上られて
大旦那様がら、おおっぴらに捜査をしても、良いとお許しが出た。

全く、我が伯爵家も、舐められたものです。
そろそろ本気でお返しいたしましょうかね!
———————————







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