記憶の中に僕は居ますか

遭綺

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週末は早く君に会いたい

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「お先に失礼します!」
華の金曜日の夕方。定時に上がれた一人の青年。
スーツ姿も似合うようになって来た。
事務所の入口にある打刻管理のチェッカーに首から下げている名札を翳すと、
機械音が お疲れ様でした と事務的に応えた。

とあるビルの12階にある職場からエレベーターで1階へ向かうべく、ボタンを押す。

珍しく一人でエレベーターが到着するのを待つ。
それからすぐにビジネスバックの奥に紛れていた携帯を取り出し画面を見てみた。
ふと、その中にメッセージアプリの連絡が入っている事に気が付いた。
急いで彼はその通知を確認する。

【今日は俺が夕食の買い出しに行くので、家の掃除担当、ヨロシク】

絵文字も何もない一文が目に飛び込んで来た。
(愛想がない文章だな。まぁ、良いけど)
すぐに返信をするため、画面を慣れた手つきで操作をする。

【了解。肉が食べたい】

一応、夕飯の要望を付け加えてみた。
それとほぼ同時に、可愛らしい鳥のキャラクターが了解と動く画像が返って来た。
(とりあえず、これでよしっと)

一通り携帯チェックを終えた頃に、エレベーターが到着し、扉が開いた。
上層階の人達が数人乗っている。週末という事もあり、皆疲れている様子である。
誰も何も話さないまま、エレベーターが下りていく。
それからまた携帯の通知の音が鳴ると共に、左腕に付けているスマートウォッチの画面が点灯した。

【何の肉が食いたいの?】

(細かいな…)
そんな事を思いつつ、ポケットにしまっていた携帯を取り出し、再度返信を行う。

【任せる】

その一言と同時に、今度は先程の鳥のキャラクターが頭を抱えた画像が返って来た。
そんなやり取りをしていると、エレベーターは無事に一階に到着し、慌ただしく皆が下りていく。
それからビルの自動ドアが開くと、少しひんやりとした風が吹き込んで来た。

10月という事もあり肌寒い。

(よし、運動を兼ねて駅まで少し走ってみるか)
ふとそう思い立ってバックを背負い直し、500メートル先の駅に向かって走り出したのだった。


スーツ姿のまま、駅につながるショッピングモールと街路樹の間を駆け抜けていくこの男。
名を 神塚 勇緋かみつか ゆうひ 。年齢は27歳。

南関東にある大手食品メーカーに勤め、本社で商品企画を担当している。
新卒から入社して今年で5年目。もう少しで主任になれるらしい。
身長は残念ながら170cmに届かず、自分の成長ホルモンの情けなさを恨んだし、
顔面力も中の下ぐらいの偏差値なので、鏡を見るたびに神様を恨んだ。
先日、上司から30歳になったらおっさんって部下に言われるようになるんだぞと
脅されたので、脱おっさん化を模索中。
この軽いランニングもその一環だ。
いつまでもカッコ良くありたい。
それは自分の為でもあるし、何より、アイツの為にも…。

あっと言う間に駅に到着し、呼吸を整える。
週末の駅の混雑はいつも以上である。
新幹線の改札口を、スマートウォッチを翳して華麗に通過していく。
構内のコンビニでは、自分より歳の離れたサラリーマン達が結構な確率でお酒を買っていた。
新幹線での一杯は格別なのだろう。
自分もお酒が好きなのだが、いつも我慢をしている。
(おっと。そろそろ新幹線が来るか)
勇緋はバックからワイヤレスイヤホンを取り出し、
スマホでお気に入りのバンドのプレイリストをまとめたアプリを立ち上げる。
一曲目からアップテンポのイントロが耳に降り注ぐ。

エスカレーターを登る時間と曲がサビへ向かう時間とリンクしている気がした。

勇緋の家の最寄り駅までは、職場がある駅から新幹線で二駅。
今日も自由席は混んでいたが、なんとか座る事が出来た。
すると、そのタイミングを見計らったかのように再び、アプリの通知が届く。

【そろそろ新幹線に乗ったでしょ? 駅まで迎えに行く?】

エスパーかよと勇緋は心の中でツッコミを入れてしまった。
だが、バスに乗る手間が省ける事は正直嬉しい。

【助かるよ。いつもの東口で!】

すぐに返信を入れると 了解 と言う文字だけがすぐに帰って来た。
もうすぐ家に帰れる嬉しさとアイツに会える嬉しさで勇緋の顔が綻ぶ。
短時間ではあるが、新幹線に乗っている時間すら惜しいと感じた。


それから新幹線は、勇緋が住む北関東のターミナル駅に到着した。


少し小走りで改札を抜け、東口を目指す。
飲食店やお店が立ち並ぶ西口と違い、東口は少し静かであるが、待合の為の車が多い。
その中で、遠くからでも分かる位目立つ紫色の軽自動車が勇緋の目に飛び込んで来た。
思わず小走りがより早くなる。

エスカレーターを駆け下り、乗降口へと向かったのだった。

駆け寄る勇緋の姿を見つけたのか、紫色の軽自動車の運転席から人が出てきた。
スラリとした長身の男性。
ブランドのグレーのパーカーにダメージジーンズ、眩しい程サラサラで綺麗な茶髪に端正な顔つき。
パッと見、モデルのようなこの男こそ、先程のメッセージアプリの相手だ。

「おーい! 勇緋ぃ!」

大きく手を振りながら、馬鹿でかい声で名前を呼ぶな!
すれ違う人達が全員俺達を、いや、俺を見る。
スルスルと抜け出す様に、彼の元へと小走りで向かう。
恥ずかしい気持ちの中にも、奴に早く会えた事の嬉しさも交じって、不思議な気持ちになりながら。

「おかえり。今週もお疲れ様」
さっきの事を咎めてやろうかと思ったが、グッと我慢した。
「迎えに来てくれてありがとな、夬皇わこ。そっちも仕事帰りなのに」
「全然。帰り道だし! ほらほら、混んでるから、早く乗って!」
「あ、ああ」
すぐさま二人は軽自動車に乗り込み、駅を出発したのだった。


見た目が完璧な明るい性格のこの男。
名を 柊 夬皇ひいらぎ わこ 。勇緋と同じ27歳。

市内の大手アパレルで働いている。
身長も180cm近くあるし、顔面力も高いと、自分とは正反対に居る。
時々見せる天然さは職場でも発揮されており、関係各位を虜にしているらしい。
噂によると彼目当てに来るお客様も居るとか居ないとか。
全てを意のままにする恐ろしい奴だ。


駅から自宅までは車で10分くらいの距離なのだが、いつも帰る際は帰宅ラッシュの波に呑まれ、倍以上かかる時がある。今日もその波に掴まった。

「ホント、この渋滞なんとかならないのかな!」
そんな事をぼやきながらも、夬皇は車から流れる歌を口ずさむ。
彼は顔だけじゃなくて声も良い。
神様は夬皇に贔屓をし過ぎじゃないのかとたまに思う時がある。

先程勇緋が聴いていた音楽アプリのメロディーが車内を包む。
そして、二人が好きなバンドの一番盛り上がる曲のイントロが流れると、ハイテンションになって車が揺れた。
「やっぱ、この曲は外せないな!」
「ライブで初めて聞いた時、お前、興奮し過ぎて鼻血出てなかったっけ?」
「そんな事…。いや、あったわ」
懐かしい思い出が脳裏に浮かんだのか、夬皇は少しはにかんでいた。
「またライブやってくれないかなー」
ハンドルを握る夬皇の顔が綻ぶ。
「その時はチケット争奪戦に勝って、特等席で一緒にみよう」
そう言いながら勇緋は夬皇を見ようと振り向くと、彼の左手が自分の頭の上に置かれると、そのままグイッと身体を引き寄せられた。

(えっ…)

彼の脇腹辺りに頭があたる。
「ちょ! お前、運転中に何してるんだ!」
当の夬皇は片手で余裕のドライブを見せている。
勇緋がジタバタしても、左手で押さえ付けられてしまう。

「ちょっとこうしたくなっただけ。別に良いでしょ?」

少しトーンを落とした彼の声を聴いた瞬間、心の奥がドクンと脈を打った。
「…ま、まぁ。いいけどさ」

何度もその大きな手で頭をポンポンと触られる度に、勇緋は言い知れぬ温かさに包まれた。
それに、夬皇の体温と匂いが近くに感じられるからまあ良しとしよう。


ふんわりとした雰囲気を乗せた車がようやく家に着いた。


「運転ご苦労様」
「全然。それよりも、後部座席にある荷物。持つの、手伝って」
エンジンを止めて車内のライトが付き、勇緋がそこをみてみると、大きなビニール袋が3つもあった。
「夬皇…お前、合宿でもするの?」
「今日は特売日だったから、一週間分買っただけだって!」
「まあ、来週はお互い忙しいからな。丁度良かったよ」
勇緋の言葉に、夬皇は二ッと笑って見せた。
やっぱり絵になるなと思った。
「さ、行こ!」
二人はそれぞれ荷物をいっぱいに持って部屋へと向かう。


五階建てマンションの最上階・504号室・3LDK。ここが彼らの住まう場所。


二人それぞれの部屋と客室が一つ。オールフローリング。対面キッチン付き。
リビングは基本的に生活のほとんどを過ごす場所となっている。
家賃はそれなりにするが、妥協はしたくなかった。
日当たりも良いので即決した。

ドタバタと玄関になだれ込み、廊下を抜けて荷物を投げ出す。
「やっと着いた! 重かったぁ」
「とりあえず、俺が料理するから、勇緋は予定通り掃除。今日は風呂場!」
「えっ?」
抑揚のない口調で彼がそう言ったので、思わず固まった。
こういう時の夬皇は仕事と同じでドライだ。
結果しか求めない上司に見える。
「食材とかは、テーブルに置いておいて。はい、あとはよろしくー」
手を洗いながらテキパキとノールックで指示をする様はまさしく現場の責任者。職業病だ。
料理モードに入るとこちらの意見は利かないので、勇緋は上着を脱ぎ捨て、黙って風呂場へ向かった。

華の金曜日の風呂場掃除は体に堪えるが、文句も言わずに勇緋は労働に勤しむ。
お湯の設定まで終わらせたが、少し服が濡れたので、部屋に戻って部屋着に着替えた。
人をダメにするスウェットコーデ。
もう外出はしたくない。
満身創痍でリビングへ戻ると、そこには豪勢な食事が並べられていた。

最早レストラン。
趣味=料理の人間のハイスペックさにただただ脱帽。

「相変わらず、凄いな…」
と言うか、いつの間にそっちも部屋着に着替えたんだ?
「今日の料理は、結構自信作」
色違いの同じスウェットコーデだが、夬皇の方が何処となく高級ブランド感があるのは何故だろう。
服は着る人を選ぶらしい。
「冷めないうちに食べちゃおう」
「そうだな。あ、そうそう。この前貰ったアレ、吞んでみるか?」
「あー、忘れてた! ずっと冷蔵庫に入れっぱ」
勇緋はそのままキッチンへ向かい、冷蔵庫から頂き物のワインを取り出し、棚にあるグラスを二つ手に取る。
「結構有名なワインなんだよな、コレ」
「スパークリングの白と言う事しかわからん! 俺は酒に詳しくないし」
「まあ、せっかくお前の上司がプレゼントしてくれたんだ。有難く呑もう」
「急に貰ったから、あの時は別の支店に飛ばされるかとヒヤヒヤしたよ」
その時を思い出したのか、夬皇は苦い顔をしている。
「飛ばされたらどうするんだ?」
「えっ? 仕事変えるに決まってるよね。今の生活を犠牲にする意味が分からない」
そんな中、勇緋はグラスにワインをそれぞれ注ぐ。
「あー、ごめん。愚問だったわ」

そう言ってワインをテーブルにトンと置く。

「それじゃあ、乾杯」 
「今週もお疲れ様、勇緋」

グラスがぶつかる音が心地よく響く。


まるでドラマのワンシーンのような二人の生活。
他愛もない話をしながら、お酒を嗜み、食事をする。
当たり前だけど、愛おしい時間。
ずっとこのまま歳を取らずにこうしていたい。

そう願うのは、神様だって許してくれるはずだ。
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