記憶の中に僕は居ますか

遭綺

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身体と想いを重ね合って

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勇緋は無言のまま、車を彼らの家に走らせる。
急な事で夬皇も戸惑っているが、勇緋の力強い目を見ていると、何故だか不安はなかった。

キュッというタイヤの止まる音と共に、愛車は華麗にアパートの駐車場に停まった。
勇緋は何も言わずに車を降りると、すぐに助手席側に駆けて行きドアを開けながら手を差し出す。
「夬皇!」
真剣な顔で自分の名を呼ばれたので、思わず彼はその手を握る。

そのまま勇緋は何を思ったのか、自分の部屋に向かって駆け出したのだ。
思わぬ事に夬皇も焦るが、握られた手が離れないようにするように何とか付いて行く。
エレベーターで5階に上がる間も、ずっと二人の手は繋がれたままだった。
そして、5階に到着するや否や、彼らの聖域までの通路を駆けて行くと、慌ただしく玄関を開け、そこへ飛び込んで行ったのだ。

玄関の扉が閉まると共に、勇緋は全身の力で夬皇の身体を扉に押し付け、その唇を激しく奪った。
顔を逸らして逃げようとする夬皇を、勇緋は無言のまま顔を押さえて逃さない。
呼吸が苦しくなる。
抵抗すればするほど、きつく縛られていく。
まるで蜘蛛の巣にかかった蝶のように、藻掻く程深く絡み付いて行く。
唇が一旦離れると、二人は荒い呼吸のまま見つめ合った。
「かみつか、君…」
夬皇は涙目のまま震える声でそう呟く。
「夬皇。言ったろ、俺の本音を教えるって。俺はお前の事が好きなんだよ。記憶が無くっても、夬皇は夬皇。お前が離れないように。消えて無くならないように。俺の気持ち、教えてやるよ」
勇緋は力強くそう言うと、再び夬皇の身体を押さえ付けながらキスをする。
仮令、引かれてしまったとしても構わない。
自分の想いをぶちまけるだけだ。
そんな中でも、二人の手は決して離れない。
離れたくないと思っているのだ。
だんだんと夬皇自身も、心の奥底から温かい何かが湧いてくるような感覚に陥った。

慌ただしく靴を脱ぎ捨て、二人はまるで輪舞ロンドを踊るように、身体を合わせながら客室へ向かう。

もう勇緋のリミットを抑えるものは何もない。
本心のまま、夬皇に喰らいつく。
乱暴にベッドに夬皇を押し倒し、覆いかぶさるようにして、勇緋は彼の顔を見つめる。
いつ見ても飽きない整った顔。
事故のせいで、顔に傷が目立つが、それでも彼は綺麗だった。
獣と化した勇緋の姿に震える夬皇を見下ろしながら、そんな彼の首筋に口づけする。
久し振りに聞く、小さく悶える彼の声。
そのまま勇緋は彼の首や耳に唇を這わせる。
「あっ。かみ、つか、君」
必死に声を出さないようにしている健気な夬皇を見て、勇緋の心は激しく燃え上がっていく。
「夬皇、俺の事、名前で呼んで」
その言葉に、夬皇はハッとした。
「な、名前?」
こんな事をされているのに、名前で呼ぶってどう言う事だ。
一瞬、理解が追い付かなかったが、すぐに、何度もノートに書き記した忘れたくないその名を思い出す。
「ゆうひ、君…」
「そう。もっと呼んで。もう二度と忘れないように」
「ゆうひ、君!」
夬皇の声に、勇緋もその目に涙を浮かべていた。
自分の今の行動が少なからず夬皇を傷つけていると分かってしまって罪悪感に苛まれると共に、自分が
本能のまま彼を求めてしまっているからだ。

本当は嫌われてしまうのが怖いのに、身体が、心が、全然止まらない。

何度もキスを交わしてから、勇緋は夬皇の上着をたくし上げて服を剥ぎ取る。
夬皇は恥じらうあまり、顔を再び背けてしまう。
現れた彼の引き締まった上半身に勇緋は目を奪われた。
この光景を一体、どれだけ待ち望んでいたのかと。
なおも勇緋は続ける。
そのまま彼の胸に顔を埋め、厭らしくその先端をしっとりと攻める。
「ああっ…」
忘れていた刺激に身体が驚いてしまったのか、彼の声が漏れる。
「夬皇、お前の身体をこんな風にして良いのは、俺だけだ。忘れるなよ」
勇緋はなおも攻めを緩めない。
そのまま自らも上着を脱ぎ捨て、赤みを帯びていく彼の身体に挑んでいく。
そしてついに、勇緋は彼の下腹部に手を伸ばす。
「あ、駄目…だよ」
思わぬ事に、夬皇は身体を捻り、立ち上がろうとする。
「逃げないで、夬皇!」
夬皇のそこは張り詰めていた。その恥ずかしさから全身を赤らめている。
「ちゃんと俺に全てを見せて?」
「だって、恥ずかしい…」
だが、その言葉とは裏腹に身体は次なる刺激を求めているようだった。
いつから自分はこんな淫乱になってしまったのか。
夬皇はそんな知らない自分に驚いてしまっていた。
そのまま立ち上がれず、なす術もなく再び倒されてしまう。
「大丈夫。お前は綺麗だよ。どんな姿でも俺はお前の事が好きだよ」
勇緋はそのまま彼のズボンに手をかけ、一気に下ろしてしまった。
張り詰める陰部を、勇緋はその手でつかむと、優しくしごいてみせたのだ。
「あっ、うっ」
知らない刺激だが、身体は喜んでしまっているようだ。
そしてそのまま勇緋は彼の張り詰めたモノを口に咥えてしまったのだ。
刺激を与えられる度に、夬皇は身体を捩り、今まで以上に悶えた。
大好きなヒトが目の前で愛欲に溺れていく姿は何処か危険で脆い。
勇緋は久し振りの感覚と充足感に満たされていく。
すると、
「ゆうひ、君も…」
夬皇は何を思ったのか、徐にその手を伸ばし、勇緋のズボンに手を入れ、彼の起立したそこを弄り始めたのだ。
「うっ。えっ、わ、夬皇?」
「俺ばっかりじゃなくて、ゆうひ君も、気持ち良くなって、欲しい」
彼は呼吸を荒くしながら、たどたどしくそう言って見せたのだ。

それから二人は示し合わせたように、服を全て脱ぎ捨てた。

互いにベッドの上で座り込み、向かい合いながら、身体を合わせる。
何度もキスをする度に頭の奥が痺れるし、陰部を攻められる度に身体が跳ねる。
二人はそれぞれの名を呼び、相手の怒張を扱く。
「夬皇、大好きだよ」
「ゆうひ君、俺も」
だんだんと意識が朦朧としてきた。
そして二人は何を思ったのか、身体を寄せ合い、互いの起立したモノを重ね合わせると共に、二人で
それらを握り合ったのだ。
二人は無言のまま頷き、視線をぶつける。
それから、彼らのその手が激しく動く度に、二人は人目を憚らず声を荒げた。

そしてそのまま二人は同時に弾けると、互いの身体に白い大輪を咲かせ合ったのだった。

穢れた身体をベッドに預けて、二人は同じ天井を眺める。

「夬皇、俺の本音。分かってくれたか」
「…うん」
「俺の事、怖いと思ったか?」
「…ううん」
夬皇の声を聴いた勇緋は、そのまま彼に身を寄せる。
「俺は今でも幸せなんだよ。お前の隣にこうして居られる事がさ」
こんなにも自分の事を想ってくれる人が隣に居る事実に、夬皇はまだどのようにすれば良いかわからずにいた。
だが、スッと自分の手で伸ばし、彼の頭を優しく撫でるのだった。
夬皇の顔はまるで美しい花のような笑顔だった。
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