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Part2 Rasidensy Days of the Southern Hospital
Chapter_10.ずっこけダブルデート(4)A&W (エーアンドダブリュー)でのひとこま
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At Urasoe City, Okinawa; 12:00PM JST, December 16, 1999.
The narrator of this story is Tsutomu Uema.
「あれで、良かったわけ?」
僕は彼女の車を運転しながら尋ねた。
「ありがとう。助かりました」
声にいつもの元気がない。見ると、助手席でぐったりしている。僕らは国道三三〇号線を北上していた。大平インターを抜け、車を左側の車線に移動する。
「ほら、もうすぐA&Wだよ」
安波茶向けに坂を下っていき、国道五八号線へ出る直前で右折する。
「ドライブインでいい? あたし、注文してすぐトイレ行きたい」
「あれ、さっき、行ったんじゃなかったの?」
「ううん、高級すぎて入るのがこわかったから」
何じゃそりゃ? 意味わからんやっさー。
「……はい、そこ、停めるよ?」
僕は車をドライブインで停め、トランシーバーのボタンを押した。ザーッというトランシーバー特有の電波音に混じって、女性店員の声が響き渡る。
「こんにちは、ようこそA&Wへ。ご注文お決まりでしたら、どうぞ」
「ベーコンチーズバーガー、単品ね」
「あたしも」
「ベーコンチーズバーガーが、単品でお二つですね。お飲み物は?」
「ホットコーヒー。多恵子は?」
「すみません、おひや下さい」
「ご注文の確認をいたします。ベーコンチーズバーガーがお二つ、ホットコーヒーがお一つ、そして、お水ですね。氷はお入れしますか?」
「お願いします」
「ご注文承りました。しばらくお待ちください」
「あたし、トイレ行ってくる。五百円渡しとくから。足りなかったら後でね」
多恵子はそういって五百円玉をダッシュボードに置くと、車のドアを開け全速力で出て行った。
よっぽど、我慢してたんだな。それより、顔色悪かったけど、大丈夫か? 空腹で車乗ったから、ひどくなったのかな? 食べたら治るかな?
五分くらい経って店員が注文の品を持ってきたので、僕が払っておいた。
多恵子が戻ってきた。
「もう来てるぞ。食べようぜ」
「うん」
頷くより早くバーガーを手に取っている。
「ご馳走さびら」
彼女はそう言って包装紙を開いた。
「あのおうちにいたら、ハンバーガーもナイフとフォークで食べるんだはずね? ああもう!」
そう叫ぶと、なんと大口を開けてバーガーにがぶりついた。
多恵子、汝やあんっし飢がりてぃ居たんなー?
呆れる僕の横でうっとりと目を閉じて口を動かし、のみ込んで一言。
「うーん、幸せ!」
あまりに満ち足りた様子に、僕は爆笑してしまった。
「多恵子、お前、嫁に行けんぞ!」
いやこれ、ホント、ビデオでも回したいよ。美ら恰好した年頃の女性が、目の色変えてハンバーガーにがぶりつき、幸せそうに目を細めている図。CMで流したら全沖縄中大ウケだろう。
「いいよ、ハンバーガー食べてもいい人探すから」
彼女は再び大口を開けてハンバーガーにかじりついている。
本当に、うまそうに食うよな? 大丈夫。君はそのままで十分、キュートだよ。
僕が二口目を食べている隣で、多恵子はさっさと食べ終わってしまった。
「ご馳走さびたん。はあ、落ち着いた」
「早いなー」
多恵子は自分のショルダーバックから薬を取り出している。
「薬、飲みたかったわけよ。どぅく頭ぬ痛でぃ」
そういって、薬を口に放り込み、水で流し込んだ。
「お前、大丈夫か?」
「あんまり、大丈夫じゃない」
彼女は紙袋に手早くごみを片付けながら言った。
「勉、この辺にスーパーあった?」
「あったと思うけど」
確か二、三軒あったな。大通りに出ればショッピングセンターもあるし。
「あとで、一回降ろしてね?」
「いいよ」 ((5)へつづく)
The narrator of this story is Tsutomu Uema.
「あれで、良かったわけ?」
僕は彼女の車を運転しながら尋ねた。
「ありがとう。助かりました」
声にいつもの元気がない。見ると、助手席でぐったりしている。僕らは国道三三〇号線を北上していた。大平インターを抜け、車を左側の車線に移動する。
「ほら、もうすぐA&Wだよ」
安波茶向けに坂を下っていき、国道五八号線へ出る直前で右折する。
「ドライブインでいい? あたし、注文してすぐトイレ行きたい」
「あれ、さっき、行ったんじゃなかったの?」
「ううん、高級すぎて入るのがこわかったから」
何じゃそりゃ? 意味わからんやっさー。
「……はい、そこ、停めるよ?」
僕は車をドライブインで停め、トランシーバーのボタンを押した。ザーッというトランシーバー特有の電波音に混じって、女性店員の声が響き渡る。
「こんにちは、ようこそA&Wへ。ご注文お決まりでしたら、どうぞ」
「ベーコンチーズバーガー、単品ね」
「あたしも」
「ベーコンチーズバーガーが、単品でお二つですね。お飲み物は?」
「ホットコーヒー。多恵子は?」
「すみません、おひや下さい」
「ご注文の確認をいたします。ベーコンチーズバーガーがお二つ、ホットコーヒーがお一つ、そして、お水ですね。氷はお入れしますか?」
「お願いします」
「ご注文承りました。しばらくお待ちください」
「あたし、トイレ行ってくる。五百円渡しとくから。足りなかったら後でね」
多恵子はそういって五百円玉をダッシュボードに置くと、車のドアを開け全速力で出て行った。
よっぽど、我慢してたんだな。それより、顔色悪かったけど、大丈夫か? 空腹で車乗ったから、ひどくなったのかな? 食べたら治るかな?
五分くらい経って店員が注文の品を持ってきたので、僕が払っておいた。
多恵子が戻ってきた。
「もう来てるぞ。食べようぜ」
「うん」
頷くより早くバーガーを手に取っている。
「ご馳走さびら」
彼女はそう言って包装紙を開いた。
「あのおうちにいたら、ハンバーガーもナイフとフォークで食べるんだはずね? ああもう!」
そう叫ぶと、なんと大口を開けてバーガーにがぶりついた。
多恵子、汝やあんっし飢がりてぃ居たんなー?
呆れる僕の横でうっとりと目を閉じて口を動かし、のみ込んで一言。
「うーん、幸せ!」
あまりに満ち足りた様子に、僕は爆笑してしまった。
「多恵子、お前、嫁に行けんぞ!」
いやこれ、ホント、ビデオでも回したいよ。美ら恰好した年頃の女性が、目の色変えてハンバーガーにがぶりつき、幸せそうに目を細めている図。CMで流したら全沖縄中大ウケだろう。
「いいよ、ハンバーガー食べてもいい人探すから」
彼女は再び大口を開けてハンバーガーにかじりついている。
本当に、うまそうに食うよな? 大丈夫。君はそのままで十分、キュートだよ。
僕が二口目を食べている隣で、多恵子はさっさと食べ終わってしまった。
「ご馳走さびたん。はあ、落ち着いた」
「早いなー」
多恵子は自分のショルダーバックから薬を取り出している。
「薬、飲みたかったわけよ。どぅく頭ぬ痛でぃ」
そういって、薬を口に放り込み、水で流し込んだ。
「お前、大丈夫か?」
「あんまり、大丈夫じゃない」
彼女は紙袋に手早くごみを片付けながら言った。
「勉、この辺にスーパーあった?」
「あったと思うけど」
確か二、三軒あったな。大通りに出ればショッピングセンターもあるし。
「あとで、一回降ろしてね?」
「いいよ」 ((5)へつづく)
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