13 / 16
エピソード 3
妹
しおりを挟む
火葬場から 少し下り
道路横の脇道に折れる
木々に覆われた
狭い山道
彷徨いながら
目指した場所は
火葬場裏に聳え立つ
1本の鉄塔
送電線なのか
僕の後を追う妹の姿が
鮮明に浮き上がる
もし 妹が 亡くなった日
僕が 妹の姿を 見なければ
妹は この世に 留まる事なく
成仏していただろうか
この世に 未練などなく
純粋無垢な赤子のまま
あの世へ 旅立っていたかも
知れない
生きていれば
通うはずの
中学の制服を着た妹
母が注文し仕立てた
セーラー服
痩せ細った妹には
大き過ぎる制服から
骨ばった青黒い脚に
灰色の痣が 幾つか浮かび
裸足のまま 付いて来る
日が落ち
薄暗くなり始め
木々の隙間から
家々に光が灯り
そして
数時間後
ひとつひとつ
消えてゆく
車道を走る車の音が減り
街灯だけが
ポツンポツンと
夜を彩った
僕は 鉄塔を攀じ登り始め
頂上を目指し
ひたすら登り続ける間
不思議と何も
考えていなかった
軽々と登り来る妹
遊びたいのか
時折 追い越す妹が
僕を見て笑った
電線の真下に
作業用の足場があり
僕等は 並んで座り
星を眺め
僕は 星を眺める妹を抱いて
鉄塔から 飛び降りた
たった 一言
「ごめん」と
妹に呟き
必ず 僕が
あの世へ 連れてゆくと
妹と約束して
命を絶った
道路横の脇道に折れる
木々に覆われた
狭い山道
彷徨いながら
目指した場所は
火葬場裏に聳え立つ
1本の鉄塔
送電線なのか
僕の後を追う妹の姿が
鮮明に浮き上がる
もし 妹が 亡くなった日
僕が 妹の姿を 見なければ
妹は この世に 留まる事なく
成仏していただろうか
この世に 未練などなく
純粋無垢な赤子のまま
あの世へ 旅立っていたかも
知れない
生きていれば
通うはずの
中学の制服を着た妹
母が注文し仕立てた
セーラー服
痩せ細った妹には
大き過ぎる制服から
骨ばった青黒い脚に
灰色の痣が 幾つか浮かび
裸足のまま 付いて来る
日が落ち
薄暗くなり始め
木々の隙間から
家々に光が灯り
そして
数時間後
ひとつひとつ
消えてゆく
車道を走る車の音が減り
街灯だけが
ポツンポツンと
夜を彩った
僕は 鉄塔を攀じ登り始め
頂上を目指し
ひたすら登り続ける間
不思議と何も
考えていなかった
軽々と登り来る妹
遊びたいのか
時折 追い越す妹が
僕を見て笑った
電線の真下に
作業用の足場があり
僕等は 並んで座り
星を眺め
僕は 星を眺める妹を抱いて
鉄塔から 飛び降りた
たった 一言
「ごめん」と
妹に呟き
必ず 僕が
あの世へ 連れてゆくと
妹と約束して
命を絶った
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる