私の光

イチゴ牛乳

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日向が話している最中、私も思い出していた。
………日向も知らない過去を。
お母さんと日向のお父さんが再婚する前のお母さんは既に暴力を振るっていたのだった。
だから、暴力に慣れていた。
と言っても再婚してからはそれが無くなっていたから油断していた。
まさか、再婚相手の息子である日向にまで手を出すとは思っていなかった。
もちろん、『なんでって、日向が私の弟だから。それ以外に理由がある?』と言った気持ちは嘘じゃない。
ただ、その中に罪悪感がなかったということは嘘になる。
そして、私がハッキングを出来るようになったのは生きる為だった。
中学生と小学生が生きて行くには無理があったから。
お母さんが捕まって喧嘩をしつつ私は情報収集を始めた。
その情報を人に売ってお金を稼いだ。
これが以外と上手くいって、私は裏で有名な情報屋になった。
Joker、これが裏での私の通り名。
……圭志よりも多分、有名だと思うよ?(色んな意味で)
圭志達とは喧嘩の帰り道で出逢った。
もしくは喧嘩の仲裁で。
私は圭志達と出逢って日向の言う異変は起きなくなっていた。
なっていたんだけどなぁ……。
迷惑を掛けるということが私にとってのカギだった。
私のタガを外すカギ。
日向は私にとって大切な"弟"。
そして、私にとって大切な光。
知ってる?
私も日向を"男"として見てるんだよ?
圭志、葵、茜、悠、蓮、奏の全員、私にとって大切な存在。
だけど、日向は別格。
大切な弟であり、大切な存在。
だから、要らない存在だなんて絶対にあり得ない。


日向が話し終えて暫く部屋は沈黙に包まれていた。
それを破ったのは以外にも葵だった。
「えーと、取り敢えず遥と日向は姉弟なんだね?でもなんで言わなかったの?それに一般人じゃマスターのロックをどうにか出来るとは思わないんだけど?」
「………一般人、だったらね」
私が話し出すとは思わなかったのか全員が驚いている。
「奏はともかく、裏で過ごしている圭志達は、Jokerを知ってるでしょ?そのJokerと日向が関わりがあることを知られることは出来ないから言わなかった。命を狙われることになるからね。もちろん、信用していなかったという問題じゃないからね?」
まさか、と目を見開く全員に笑う。
「そのまさか。私がJokerだよ」
「っ、あの!話の途中申し訳ないんですがジョーカーってなんですか?トランプ、ではないですよね?」
「Jokerは世界トップの情報屋。まさかそれがはるちゃんだったなんて夢にも思わなかった」
奏の質問に圭志が答えた。
………私って世界トップだったのか。
本人が知らないなんてある意味凄くない?
内心笑いながらひなちゃんを見上げると呆然としていた。
ああ、ひなちゃん、私のこと嫌いになるかな?
そしたら、立ち直れないかもなぁ。
もしそうなったら此処から立ち去らないとね。
私が居た痕跡を全て消して。
「じゃあ私、出掛けるね」
「「「「「はぁぁ!!?」」」」」
わぉ。
見事に揃ったなぁ。
というかそんなに驚くこと?
「この流れで出掛ける?!」
「わー、懲りてないなぁ」
「お前、バッカじゃねーの?」
悠さん蓮さん茜さん、酷くないでしょーか。
確かにあれかなぁとは思うけどさぁ。
「いい加減、笑鬼を狩らないといけないでしょ?」
喧嘩好きとしてはほっとけない話だしね~。
「………遥先輩って、もしかしなくても、戦闘狂なんですか?」
「「「「「「もちろん」」」」」」
え、私って戦闘狂なのは公認なの?
しかも全員で揃えるほど?
いつも通りの空気が流れてて沈黙よりは幾分かはいいけどさぁ。
なんだかなぁ……。

結局、奏を家に送り届けて全員で行くことになった。
まさかのマスターとひなちゃんも出動だし。
ついでに、私達の格好は夜の闇に溶け込むように黒で統一されているのだが…逆にこれはこれで目立つだろう。
なんで誰も突っ込まないんだろ?
私以外の皆は顔出ししてるから余計に目立つ。
皆、顔は美形揃いだもんなぁ…(性格に難有りだが)。
「そう言えば遥ぁー、いつから狩りしてたのー?」
葵の質問に全員の視線が集まる。
「あー、確か、9月の下旬になった頃だったと思う」
「え、今10月の中旬だよ?そんなにしてたのー?」
「……それに気づかない俺もどうかしてたよねぇ」
葵止めて。
蓮の目が死んでる。
元はと言えば全部、私が何も言わなかったせいだから。
とは恐ろしくて言えない。
葵の無言の圧力が恐い。
瞳が全然笑ってないから。
顔と雰囲気が合ってないから。
……ホント、普段の可愛さからは想像が付かないくらい怒ったら怖いんだよなぁ、葵って。
そう考えたら葵と茜って似ているようで似てないもんなぁ。
葵は普段、ニコニコしてて可愛くて、でも怒ったら物凄く怖い。
逆に茜は普段が怖い(というよりツンツンしている)けど肝心な時は甘い。
でも基本的に皆、甘過ぎない?ってくらい甘い。
だから、今回がどれだけ心配掛けたかが分かる。
「……っ、」
また自己嫌悪に陥りそうになったのを今度は蓮が正気に戻してくれた。
「……蓮?」
「遥が自分を責めることないからね」
「でもっ!」
「俺達が心配したくてしてるだけ。興味なかったら心配すらしてないからね?分かったら遥はただ、俺達に"愛されている"って自覚をしてればいいんだよ」
ギュッと握られた手を蓮は持ち上げてふわりと笑う。
「あ、でもこれからは何も言わないのはなしだからねぇ?」
わざとらしく付け足す蓮にクスリと笑った。
そうだね。
私は愛されている。
それに何も知らないことは辛い。
大丈夫。
もう2度と、同じ誤ちは犯さない。
……でも、心配されることは嬉しい。
だって、心配するということは愛されているからなんでしょ?
そう思ったことは、私だけの秘密。


暫く繁華街を歩いて回ったがこれと言った収穫がなく、帰ろうとしている時だった。
路地裏から音が聞こえた。
「そう言えば茜さー」
「しっ!静かに」
蓮の口を塞ぎ耳を澄ますと状況が分かったのか皆は黙った。
蓮から離れて神経を研ぎ澄ますとやはり聞こえる。
骨が砕ける音。
"肉"を殴る鈍い音。
呻めき声。
………笑い声。
間違いない。
こいつが、笑鬼だ。
あっは、やっと見つけた。
苦労掛けやがって。
あー、でも、物凄く楽しみ。
やっと、暴れられる。
自然と口角が上がるのが分かる。
噂では笑鬼は強いらしいし、私を楽しませてくれるかな?

「あー、スイッチ入ってやがる。おーい、遥?」
「あはは。無駄だよ、茜。あーなったら止まらないのは茜も知ってるでしょー?」
「んなの分かってる、けど………」
「けど?」
「相手が可哀想だなぁ、って」
「「「「「そんなの今更だろ(でしょ・ですよ)」」」」」
「此処いらはホワイトローズがシメテルことはほとんどの奴が知ってるんだよ?それを知らないってことは余所者ってことでしょ。まぁ、相手が悪かったよね」

そんな会話をしているとはつゆ知らず、私は笑鬼に少しずつ近寄る。
被っていたフードをより深く被る。
圭志達が着いて来る気配はない。
段々と近付く音に最大限に口角が上がってしまう。
あー、今の私の顔、ソートーキモいだろうなぁ。
でもいいや。
楽しみが待ってるんだもん。
いよいよ、ご対面……っ!!
…………………え?
「んだテメエ。何か用か」
「………にしな、あかつき……?」
「なんで俺の名前を知ってる」
そこに居たのは今日、いや、昨日の赤髪君。
「え?笑鬼って君だったの?だから昨日は1人であの大勢を相手出来たの」
「っあ、あんた!」
フードを外すと驚く赤髪君。
瞳をこれでもかってくらい開いてる。
「はっ!?え、なんで此処に?」
本当に訳がわからない、という顔をする赤髪君に口角を上げる。
「んー、そこはどうだっていいじゃん。ところでなんで君は喧嘩何かやってんの?」
昨日の殴られた後、結構あって痛々しかったのに。
「(じ、自己中!!俺の質問には答えないクセに自分だけ?!)…別に、ただのストレス発散」
「へー、ふーん、ほー。なるほどねぇー。彼女にフラれたんだ」
「はぁ?!」
「あれ、違った?なら家族と喧嘩したとか?」
そう言うと視線を逸らした赤髪君。
当たりか。
分かりやすいなぁ。
「別に何でもいいだろ!?」
「うーん、まぁそうなんだけど……。助けてあげてもいいよ?」
「は?何言って……」
「家に来るかい?赤髪君。私ん家、親いないから窮屈を感じることもないし。好きにしてくれていいよ?」
「…………弟も一緒なら」
ぽそりと呟いた赤髪君にクスクスと笑う。
うーん、ブラコンかぁ。
可愛いなぁ。
まぁ、そういう私もブラコンだけど。
「えーと、じゃあ暁。その弟君の居るところに連れてって」
分かったと頷いて路地裏を出ようとしている暁。
あー…、また勝手なことして、怒られるなぁ。
ま、いっか。
こういう子見てるとほっとけないんだよなぁ。
あの子達見てるようで。
案の定、暁と一緒に路地裏を出ると皆に怒られた。
でも結局、最後には許してくれた。
ほんと、甘いなぁ。
優しいなぁ。
皆の側は居心地が良すぎて1人になった時が恐い。
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