異世界転生

イチゴ牛乳

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2話 相変わらず、そして王都へ

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あの事件から6年の歳月が過ぎた。
結局、あの事件を解決したのは神様という説が出来てしまった。
そして私とスグリは王都に旅立つことになっていたりする。
「ハナお姉ちゃん、本当にいっちゃうのー?」
泣きながら聞いて来る子たちの頭を撫でる。
「うん、もっと世界を見てみたいからねぇ」
隣にいるスグリに笑いかける。
…スグリは本当にイケメンになった。
それはもう、誰にも見せたくないくらいに。
そんな狂気的な考えが分かったらしいスグリに宥められる。
相変わらず、私の魔力が高いことはスグリ以外は知らない。
これからもそのつもりだ。
それに反して、スグリの剣の腕は誰にでも認められていた。
そのせいで、見合い話が出ていたことも知ってる。
全部、ぶっ潰したけど。
……思い出しただけで不愉快。
いよいよ旅立つって時にお母さんに引き留められた。
「どうしたの?お母さん」
「ハナ、よく聞きなさい。スグリ君のことを愛しているのは知ってるわ。でも!でも、犯罪にだけは手を染めないでね?」
………母よ。
私をなんだと思っているんだ、と言いたいところだが、的を得ているから反論出来ない。
それが分かっているらしいお母さんは顔を青ざめさせた。
「い、行ってきまーす!!」
慌ててスグリの手を引き村を飛び出した。
しばらく走って、段々とスピードを落とす。
「……ハナ、何を言われたんだ?」
「あー、あははー…。犯罪にだけは手を染めないでくれって懇願された」
目線を逸らし答えるとスグリは溜め息を吐いた。
だってー、仕方ないじゃん?
スグリだってそんなの分かっていることでしょう?
プイッと顔を逸らすとスグリは慌てだした。
というか、スグリだってそうじゃん。
私のことに関しては、ね。
手は繋いだまましばらく歩いていると魔物が襲って来た。
「うわっ!」
驚いて尻餅を着く私。
スグリはすぐに剣を構えた。
「オナカ、スイタ。マリョク、ヨコセエエェー!」
片言で話す魔物を容赦無く倒していくスグリに魅入る。
うん、やっぱりカッコいい。
立ち上がり土埃を叩くと後ろから襲って来た魔物を風でいなす。
もちろん、魔法でね。
あっと言う間に片付いた魔物たち。
「スグリお疲れー!相変わらずカッコよかったよー!」
スグリの背に抱き着くと身体を持ち上げられた。
何故抱っこ?
キョトンとスグリを見上げるとクスリと笑われた。
「ハナ、怪我してない?」
「するわけないでしょ!」
不機嫌に言うとやはりクスクスと笑われる。
何故だ。
どこに笑う要素があった。
ムスリとするが相変わらず笑われる。
………もう、いい。
企む私に気づいたスグリは私から離れようとするが引き留める。
逃がすわけないじゃん?
スグリの頭の裏に手を回し、力任せに引き寄せる。
「……スグリ、お仕置きね?」
フフフ、と笑うとスグリは顔を背けようとしたがさせない。
ぐっと力を入れ、スグリの唇を貪る。
ピクッと揺れた身体。
…スグリはカッコいい。
それと同時に可愛いんだよねぇ。
抱っこされたままキスをしていると草むらを掻き分けて、金髪碧眼の1人の男が現れた。
「やっと抜け出せたー!……あっ、」
私と目が合うと恥ずかしそうに視線を逸らした。
それに気づいたスグリは私から離れようとするが余計に苛立ち尚もキスを続ける。
5分くらいして私はようやく離れた。
うん、満足。
妖艶に笑うとスグリと何故か男も顔を赤く染めた。
……残念ながら、自分の容姿が整っていることは自覚している。
だから言っておくが天然とかでは断じてないからな。
だがこの場合は可笑しいだろう。
まぁ、スグリ以外の男には興味すら湧かないけど。
スグリの腕から抜け出し男の前に立つ。
「で、誰あんた」
ぐっと顔を近づけると男はアタフタして答えた。
「り、リンヤって名前っス!ついでに迷子っス!」
……迷子?
「どこに行きたいの?」
「お、王都っス!」
「王都?」
「はいっス!」
元気良く答えた男の身なりはボロボロだった。
元は結構良さそうな服装だが。
「スグリー、どうする?」
後ろを振り返ると好きにしろ、と言われた。
「えーと、リンヤ、だったよねー」
「はいっス!」
「私たちも王都に行くんだよねー。迷子なら一緒に行く?」
その変わり、余計な詮索はなしね、と提案するとリンヤは目を輝かせた。
「い、いいんスカ!?よろしくお願いしますっス!」
犬っころのような笑顔で返事をして来たリンヤ。
「なら、早く行こうか。また魔物が来たら面倒だし」
いつの間にかスグリは魔物の落としたモノを拾い終えていた。
「ところでリンヤは何が出来るの?」
「魔法っスね!これでも結構、偉いんスよ!?(色んな意味で)」
えっへんと胸を張るリンヤの頭を撫でる。
リンヤの髪は以外とフワフワしていて気持ち良かった。
「な、何するんスか!」
スグリの後ろに隠れるリンヤに笑って見せる。
「あははー、ごめんごめん。撫でがいのある頭をしてるなーと思って」
「絶対反省してないっスよね!?」
「うん」
素直に答えるとリンヤは恐ろしいモノを見るような目で私を見てきた。
何故だ。
「……行かないのか?」
スグリの呆れた声にリンヤ弄りを辞めて、いつの間にか放り出していた荷物を手に取った。
「行こうか!」
フフッと笑い、私は一番先を歩き出した。
楽しみだなー、王都は!
どんなところなんだろう?
まぁ、何はともあれスグリとさえいれればいいんだけど。
今は、1人増えたけど。
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