5 / 29
5話 動物
しおりを挟む
オーロラと別れ、城を後にした私たちは、宿屋へと向かっていた。旅行の次の予定があるからだ。すると、同じく宿屋へ向かうであろうセイライとセイアがいた。
「セイライ、セイア。宿屋へ戻るの?良かったら一緒に行きましょう」
「杏奈。……まあ、いいけど」
セイアが答えた。セイライは、ハッとして、セイアの背中に隠れた。相変わらず、照れてるのかしら。
「ここの国は、差別があまりないのね。王女も、種族差別をなくしたいって言ってたし」
セイアが話し始めた。
「差別?私は地球でも感じたことないけど」
「あんたみたいな呑気な奴はそうでしょうよ」
「呑気ってどういうことよ!」
「あなた、ここの国の人でしょ」
セイアは私を無視して、空に話しかけた。
「そうよ。確かに、この国……いえ、この町は種族差別は他の町よりは少ない方だとは思うわ」
「この町ね。引っかかる言い方するじゃない」
セイアは、空をじっと見た。空は目をそらさずに、セイアを見つめ返す。
「人の差別は変わらずあるものよ」
空はそう言い切り、セイアから目をそらした。
「そんな……」
私は落胆した。差別があるとは、思えなかったからだ。町を歩いていても、店で買い物をしても、皆平等に接してくれているように感じた。それを、空とセイアに伝えた。
「それは、表面上の話しよ。私は、魔族もヒュー族も恨んではいないけど、そうじゃない動物族なんてたくさんいるわ。うちの両親みたいに」
空はそう言った。手を強く握りしめていた。
「うちは、兎耳族しかいない村だから、村内ではそこまで差別はなかったけど」
「え?同じ種族しかいないのに、差別があったの?」
「あるに決まってるでしょ。同じ兎耳族でも、種類が違ったら、差別くらいあるわよ。うちの家族は、雑種だから影では色々言われてるし」
「そんな事ってあるの?」
「随分、お気楽な環境で育ったものね。弟だっていうあなたもそうなのかしら」
セイアは、チラッと皐月を見た。
「俺は姉さんと違って、差別はあるとは思ってるよ。うちの村はそういうのがなかったし、本でしか知らないが」
「皐月くん!愛に種族は関係ないわよ!」
空は、皐月の腕に抱きついた。皐月は嫌そうにはするが、離そうとはしなかった。
「空はそういうけど、差別はあるって思うんでしょ?」
私は空に聞いた。
「そりゃ、差別はあるわよ。それと愛は別。皐月くんとなら、差別は乗り越えられるもん」
「はいはい」
皐月は呆れたように返した。
その時、げっという、嫌そうな声が聞こえた。そちらを見ると、私に気持ち悪いと言ってきた旅行を一緒にしている男の子がいた。両親とは一緒にいないみたいだ。
「あなたは……名前なんだったかしら?」
「ラミハル・カカーズだよ。おばさん」
「おばさん!?私まだ14歳なんですけど!あと、私は杏奈っていう名前がありますー!」
「姉さん、ガキと張り合うなよ」
「皐月、うるさい」
ラミハルは、嘲笑した。
「なんで、魔族かヒュー族かわかんないけど、動物なんかと姉弟なわけ?気持ち悪っ」
「あんた、それで気持ち悪いって言ったわけ?」
「そうだよ。当たり前じゃないか。初めての宇宙旅行だから楽しみにしてたのに、動物なんかと一緒だなんてさ」
「さっきから、動物動物って、私たちは人なんだけど」
「動物だろ。その気持ち悪い耳をどっかにやってくれよ」
「なんですっ……」
私が反論しようとしたら、アキラが私を静止した。
「まあまあ。そんなに怒るなよ、杏奈」
「アキラ……?」
「ラミハルだっけ?君、それ以上喋るなら、お兄さんも怒っちゃうかもしれないな」
アキラはラミハルに圧力をかけた。これは、前にもあった。私が狼耳族の男に、刃向かった時みたいに怒ってる。
「ちっ……」
ラミハルは、1歩引いた。
今気づいたが、セイライが泣きそうな顔をしている。
「ストップ!ストーップ!」
空が叫んだ。
「空?」
「もう!これはよくある事だから!怒る話じゃないから。放っておいて先に行きましょ。さあさあさあ」
空は、アキラの背中を押して、移動させようとした。アキラは、おいと言いながらも、それに身を任せた。
「でも……」
私がそう言うと、空が、でもじゃないと答えた。
私たちは、ラミハルを置いて、先を急ぐことにした。
「空、なんでとめたの?」
私が聞くと、空がため息を吐いた。セイアも一緒に。
「私たちが、動物なんて言われるのは、日常茶飯事なのよ」
「そうなの?」
「そうなの!アキラくんも、あんな挑発に乗らないの。物分り良いと思ってたのに」
「悪い、空。杏奈のことを言われてると思うとさ」
「アキラ。ありがとう」
「杏奈!杏奈のためなら!」
アキラが抱きつこうとしたので、肘で腹を殴った。
「とにかく、余計な争いは生まないでちょうだい。私たちの肩身が狭くなるから」
「……ごめん」
「まあ、杏奈は何も知らないみたいだし、仕方ないのかな」
「甘いのね。あなた」
セイアがまた、ため息をついた。
「皐月くんのお姉さんだし?」
「そこがまた意味わからないのよ」
空とセイアは、なんだか仲がいいように見えた。
種族差別があるのはわかったけど、あの子……ラミハルに言われた言葉が何だか嫌だった。動物と動物族、少ししか言葉は違わないけど、すごく差別を感じる言葉だった。
「おい、宿屋についたぞ」
皐月がそういうと、目の前に宿屋があった。空とはお別れになる。
「また、後で来るね。今日は、花火大会よ。戴冠の儀の後だから、一際盛大にやるらしいの。皐月くんと、一緒に見たいわ!じゃあね!」
そう言って、空は走っていった。
「次の行程はなんだったかしら」
「花火作りらしいぜ」
アキラが旅のしおりを取り出して、教えてくれた。
「花火作り!楽しそうね」
「セイライ、セイア。宿屋へ戻るの?良かったら一緒に行きましょう」
「杏奈。……まあ、いいけど」
セイアが答えた。セイライは、ハッとして、セイアの背中に隠れた。相変わらず、照れてるのかしら。
「ここの国は、差別があまりないのね。王女も、種族差別をなくしたいって言ってたし」
セイアが話し始めた。
「差別?私は地球でも感じたことないけど」
「あんたみたいな呑気な奴はそうでしょうよ」
「呑気ってどういうことよ!」
「あなた、ここの国の人でしょ」
セイアは私を無視して、空に話しかけた。
「そうよ。確かに、この国……いえ、この町は種族差別は他の町よりは少ない方だとは思うわ」
「この町ね。引っかかる言い方するじゃない」
セイアは、空をじっと見た。空は目をそらさずに、セイアを見つめ返す。
「人の差別は変わらずあるものよ」
空はそう言い切り、セイアから目をそらした。
「そんな……」
私は落胆した。差別があるとは、思えなかったからだ。町を歩いていても、店で買い物をしても、皆平等に接してくれているように感じた。それを、空とセイアに伝えた。
「それは、表面上の話しよ。私は、魔族もヒュー族も恨んではいないけど、そうじゃない動物族なんてたくさんいるわ。うちの両親みたいに」
空はそう言った。手を強く握りしめていた。
「うちは、兎耳族しかいない村だから、村内ではそこまで差別はなかったけど」
「え?同じ種族しかいないのに、差別があったの?」
「あるに決まってるでしょ。同じ兎耳族でも、種類が違ったら、差別くらいあるわよ。うちの家族は、雑種だから影では色々言われてるし」
「そんな事ってあるの?」
「随分、お気楽な環境で育ったものね。弟だっていうあなたもそうなのかしら」
セイアは、チラッと皐月を見た。
「俺は姉さんと違って、差別はあるとは思ってるよ。うちの村はそういうのがなかったし、本でしか知らないが」
「皐月くん!愛に種族は関係ないわよ!」
空は、皐月の腕に抱きついた。皐月は嫌そうにはするが、離そうとはしなかった。
「空はそういうけど、差別はあるって思うんでしょ?」
私は空に聞いた。
「そりゃ、差別はあるわよ。それと愛は別。皐月くんとなら、差別は乗り越えられるもん」
「はいはい」
皐月は呆れたように返した。
その時、げっという、嫌そうな声が聞こえた。そちらを見ると、私に気持ち悪いと言ってきた旅行を一緒にしている男の子がいた。両親とは一緒にいないみたいだ。
「あなたは……名前なんだったかしら?」
「ラミハル・カカーズだよ。おばさん」
「おばさん!?私まだ14歳なんですけど!あと、私は杏奈っていう名前がありますー!」
「姉さん、ガキと張り合うなよ」
「皐月、うるさい」
ラミハルは、嘲笑した。
「なんで、魔族かヒュー族かわかんないけど、動物なんかと姉弟なわけ?気持ち悪っ」
「あんた、それで気持ち悪いって言ったわけ?」
「そうだよ。当たり前じゃないか。初めての宇宙旅行だから楽しみにしてたのに、動物なんかと一緒だなんてさ」
「さっきから、動物動物って、私たちは人なんだけど」
「動物だろ。その気持ち悪い耳をどっかにやってくれよ」
「なんですっ……」
私が反論しようとしたら、アキラが私を静止した。
「まあまあ。そんなに怒るなよ、杏奈」
「アキラ……?」
「ラミハルだっけ?君、それ以上喋るなら、お兄さんも怒っちゃうかもしれないな」
アキラはラミハルに圧力をかけた。これは、前にもあった。私が狼耳族の男に、刃向かった時みたいに怒ってる。
「ちっ……」
ラミハルは、1歩引いた。
今気づいたが、セイライが泣きそうな顔をしている。
「ストップ!ストーップ!」
空が叫んだ。
「空?」
「もう!これはよくある事だから!怒る話じゃないから。放っておいて先に行きましょ。さあさあさあ」
空は、アキラの背中を押して、移動させようとした。アキラは、おいと言いながらも、それに身を任せた。
「でも……」
私がそう言うと、空が、でもじゃないと答えた。
私たちは、ラミハルを置いて、先を急ぐことにした。
「空、なんでとめたの?」
私が聞くと、空がため息を吐いた。セイアも一緒に。
「私たちが、動物なんて言われるのは、日常茶飯事なのよ」
「そうなの?」
「そうなの!アキラくんも、あんな挑発に乗らないの。物分り良いと思ってたのに」
「悪い、空。杏奈のことを言われてると思うとさ」
「アキラ。ありがとう」
「杏奈!杏奈のためなら!」
アキラが抱きつこうとしたので、肘で腹を殴った。
「とにかく、余計な争いは生まないでちょうだい。私たちの肩身が狭くなるから」
「……ごめん」
「まあ、杏奈は何も知らないみたいだし、仕方ないのかな」
「甘いのね。あなた」
セイアがまた、ため息をついた。
「皐月くんのお姉さんだし?」
「そこがまた意味わからないのよ」
空とセイアは、なんだか仲がいいように見えた。
種族差別があるのはわかったけど、あの子……ラミハルに言われた言葉が何だか嫌だった。動物と動物族、少ししか言葉は違わないけど、すごく差別を感じる言葉だった。
「おい、宿屋についたぞ」
皐月がそういうと、目の前に宿屋があった。空とはお別れになる。
「また、後で来るね。今日は、花火大会よ。戴冠の儀の後だから、一際盛大にやるらしいの。皐月くんと、一緒に見たいわ!じゃあね!」
そう言って、空は走っていった。
「次の行程はなんだったかしら」
「花火作りらしいぜ」
アキラが旅のしおりを取り出して、教えてくれた。
「花火作り!楽しそうね」
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
廃城の泣き虫アデリー
今野綾
ファンタジー
領主の娘だったアデリーはある日家族を殺され育った領地から命からがら逃げ出した。辿り着いた先は廃城。ひとり、ふたりと住人が増える中、問題が次々とおこって…
表紙はフリー素材です
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる