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21話 何か
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逃げ惑う人々、襲いかかる何か。私たち……アキラ、皐月、氷龍、望は佐乃を止めるために、彼のところへ向かう。
「あの化け物は何なの」
私が呟くと、皐月が舌打ちをした。
「あいつが言ってただろ。佐乃と一緒に捕まった宇治原だよ」
「そんな……。人間があんな姿になるなんて」
「外道め」
氷龍はそう言って、駆ける。
そして、私たちは佐乃の前にたどり着いた。
たくさんの人々の血肉が飛び散っている。逃げ遅れた人たちだろう。惨いことをする。
私はそれらに目を背けて、佐乃を見上げる。
「なぜ、こんな事をするの!」
私は有らん限りの大声を出した。
佐乃は私たちに気づいたのか、何か……宇治原さんの動きを静止した。
「はははっ。矮小なお前らが何をしに来た」
「止めに来たのよ」
「何をおかしなことを。偉大な僕を止める? この力、この技術、素晴らしいだろう。僕は認められるべきだぁ!」
「おかしな事を言っているのはあなたの方よ。皆を傷つけて、殺して……何が認められるべきよ」
佐乃は大きくため息をついた。
そして、大声で笑う。私たちを嘲笑う。
「凡人にはわからないのさ。何の取り柄もないナリオの方ばかり、評価するあいつらが憎い。……まずは、お前たちから殺してやるよ。その後に、あいつらだ」
佐乃は大きく息を吸い込んで、宇治原さんに命令する。
――私たちを殺せと。
「ウア……ケテ」
宇治原さんは何かを言おうとしているが、声帯があまり発達していないのか、何を言っているのかわからない。
「来るぞ! 杏奈は後ろに下がってサポートしてくれ」
アキラは皆に声をかける。
私はアキラたちより、後ろに下がり、弓を構える。
雷の矢は三本。
必ず、止める。
アキラは剣を構え、皐月は杖を握る。望は、背中にあった刃のみのナイフのようなものを両手に取った。
宇治原さんは、尻尾を振り上げて、私たちに叩きつけようとする。皆はそれを左右に飛び、避ける。
「動きを止めるわ」
氷龍が叫ぶ。
「生命の花、静かな花。ロータス・アイシクル!」
宇治原さんの周りに、蓮の氷の花が咲く。氷の一部が、宇治原さんの足や尻尾を絡めとる。
「杏奈、今だ!」
アキラの声に呼応して、私は矢を放つ。雷の矢が宇治原さんの肩あたりに刺さり、雷撃が繰り出される。
「ギャアアアアア!」
大きな口からは悲鳴が聞こえる。髪を振り乱し、黄色い粘液が飛び散る。
「宇治原ぁ! きちんと働け!」
佐乃は激昂する。宇治原さんの髪の毛を引っ張り、私たちの方を向かせる。
その隙を狙い、アキラと望は宇治原さんの手足を切り付けるが、皮膚が少し剥けただけだ。
矢もあまり刺さっておらず、電撃のみが効いたという形だった。
「なんて硬い皮膚だ」
望は何度も切り付けるが、血すら出ない。
「イダイ……ヤメ……アアアア」
宇治原さんは声を振り絞るように出した。
「宇治原さん……。どうにかして、元通りにできないの」
「元通り? この素晴らしい姿を元に戻してどうする」
「それなら、お前が、この姿になればいいだろ!」
皐月が叫んで、杖を向ける。
「闇と風の化身……ハウンド!」
杖から、狼の形をした黒色のついた風が出る。佐乃を目がけて、放つ。
「はははっ! 魔法で僕に勝てると思うなぁぁ! ハウンド!」
佐乃の首にあるネックレスが光り、皐月とは違う色の風が向かってきた。皐月の魔法とぶち当たり、佐乃の魔法が打ち勝つ。
「ぐあ!」
皐月と、近くにいた氷龍に狼の風が当たり、吹き飛ばされる。
「皐月! 氷龍!」
地面に叩きつけられた二人の元に行く。
「うぐ……」
「あぅう」
二人とも息はあったが、体を打ち付けたためか、動けないでいた。
「どうすれば良いの。剣も矢も効かない。魔法も、佐乃に打ち破られる」
私たちは追い詰められている。
「はっはっはっ! 死ねえ! 宇治原ぁ! 奴らをぐちゃぐちゃにしてやれぇ!」
宇治原さんの尻尾が氷から解放され、こちらに振り上げられる。
「杏奈!」
私たちの方に尻尾が向かった時――
「灯よ、生命の光よ、放て! ライトハウス!」
上の方から声が聞こえたかと思うと、当たりが真っ白に光った。
「ウギャアア!」
宇治原さんの声が聞こえる。
尻尾の攻撃は降ってこなかった。
「間に合ったな」
私は、眩しかった目を凝らして、上を見上げた。
スキンヘッドの男と、幻がいた。
「マーズくーん。さすがだね」
「幻、お前も戦えよ」
「えー。やだなあ」
「非常事態だぞ! バカ!」
二人は飛び降り、私たちと宇治原さんの間に入った。
「新手か。だが、誰も僕たちを止められない! 宇治原ぁ!」
宇治原さんは、閉じない目のためか、直接光を浴びたことにより、暴れている。
「くそ……使えない奴め!」
「やるぞ」
スキンヘッドの男……マーズの指についた指輪と鎖が光る。
「仕方ないなあ」
幻は、持っていた長い杖を前に出す。
「刃を輝かせよ。ミラクル・エッジ」
幻が呪文を唱えると、アキラと望の剣が輝いた。
「なんだ、これ」
「斬撃強化魔法か」
望は納得したように頷いた。
「多分、これで、何とかなるかなあ」
アキラと望は、宇治原さんに切りかかる。すると、先ほどはかすり傷しか負わせられなかったのに、大きく切り裂けた。
「ウギャアアアア」
宇治原さんは苦しそうに叫ぶ。
「幻……! 宇治原さんを助けることはできないの?」
私が問いかけると、幻は少しだけこちらを向いて、顔を横に振った。
「あれは、禁術だよ。一昔前、戦争のために人間をモンスターにする術が開発された。もう、封印されたはずなんだけどね」
「戻らないの?」
「戻れないね。救ってあげるには、殺すしかない」
「そんな……」
私は口の端を噛んだ。血が出たような気がしたが、気にならなかった。
どうして、こんなことに。
助けられないのか。
「イヴなら」
「え?」
マーズが話し出した。
「イヴなら、救えるかもな」
「どういうこと?」
「イヴ。お前、まだ覚醒していないな」
「私はイヴじゃない」
「……へえ」
マーズは、そう言って、飛び出して行った。
「アダム!」
「は?」
アキラはアダムと呼ばれて、振り返った。
「胸の魔法陣を貫け! それが、心臓の代わりになっている」
マーズは叫んだ。援護すると言って、呪文を唱える。
「……わかった。望、行くぞ」
「ああ」
マーズの呪文により、アキラと望の足が光る。
「行けえ!」
アキラと望は高く飛び上がり、宇治原さんの胸にある魔法陣をひと突きした。
「アギャアアアア」
宇治原さんは、今までで一番の大声をあげて、崩れ落ちた。
埃が立ち、宇治原さんの方がよく見えなかったが、私は見逃さなかった。
佐乃が、宇治原さんの背中から、さっと降りて、出口に向かおうとしていた。
「逃がさないっ!」
猫耳族の私に脚力で叶うはずもなく、私は佐乃の腕を捕らえる。
「宇治原さんをこんな姿にして、皆を傷つけて、逃すわけないでしょ」
「はっ……動物ごときが!」
佐乃は私の手を払い、代わりに私の首に手をかけた。
「ぐっ……」
佐乃の見た目からは考えられない力で、私は首を掴まれて、持ち上げられた。
「宇治原だけに魔法をかけていると思わないことだ!」
「私は……あなたを、ゆる、さない」
「許さないか。僕も、僕の研究を邪悪だと言った奴らを許さないがなあ!」
佐乃の手に力が入る。
許さない。許せない!
宇治原さんは、多分亡くなった。心臓だと言われた魔法陣を破壊されたから。
私は何もできなかった。
イヴなら、イヴなら何とかできたの?
私はイヴなの?
私はどうしたら、良かったの……。
「杏奈ー!」
アキラの叫び声が聞こえる。
ああ、このままだと、首をへし折られる。
「ライティング!」
少し高い少年の声が聞こえた。
その時、佐乃の体に電撃が落ちる。
「うげぁ!」
佐乃の手は離れて、私は尻餅をついた。佐乃も倒れる。
「杏奈! 大丈夫?」
佐乃が逃げようとしていた出口から、ラミハルが現れた。
「ラミハル。なんで」
私は、息を大きく吸いながら、問うた。
「杏奈たちが化け物に立ち向かうのを見てたんだ。皆と一緒に逃げたんだけど、気になって見にきたんだよ」
「杏奈! ラミハル……何で」
アキラが駆け寄って来ていた。私の背を撫でて、立ち上がれるように促した。
望とマーズも来ていて、佐乃を拘束する。
「助かったわ。ありがとう、ラミハル」
「将来のお嫁さんに死なれたら、困るしね」
「お嫁さん?」
「ううん。何でもない」
その後、佐乃は駆けつけてきた騎士に連れられて行った。
騎士たちが話していたのが聞こえたが、死刑になるらしい。
そして、倒れていた皐月と氷龍は、大きな怪我もなく、歩けるようだった。
「ナリオさん、宇治原さん……」
無惨な姿になったナリオさんは、研究所の職員たちに箱に入れられて、連れて行かれた。
元には戻らないそうだ。一応、繋ぎ合わせて、葬儀を行うと聞いた。
宇治原さんはいつの間にかいなくなっていた。居合わせた騎士たちも疑問に思っているようだった。
「どこに行ったの……」
「ここにいるぜ」
マーズが私に話しかけてきた。
マーズの手には、カプセルがあった。
「これって」
「特別なカプセル。生き物も入れられる。あのままだと、実験体にされるかもしれないし、人間をモンスターに変える研究が始まったら困るしな。俺と幻で、弔ってやることにした」
「私も立ちあえる?」
「まあ、お前だけなら良いよ。友だちはダメ」
「わかったわ」
アキラも皐月もついて行くと言ったが、多分マーキュリーの知り合いだから大丈夫だと言い聞かせて、私はマーズと幻について行くことにした。
「あの化け物は何なの」
私が呟くと、皐月が舌打ちをした。
「あいつが言ってただろ。佐乃と一緒に捕まった宇治原だよ」
「そんな……。人間があんな姿になるなんて」
「外道め」
氷龍はそう言って、駆ける。
そして、私たちは佐乃の前にたどり着いた。
たくさんの人々の血肉が飛び散っている。逃げ遅れた人たちだろう。惨いことをする。
私はそれらに目を背けて、佐乃を見上げる。
「なぜ、こんな事をするの!」
私は有らん限りの大声を出した。
佐乃は私たちに気づいたのか、何か……宇治原さんの動きを静止した。
「はははっ。矮小なお前らが何をしに来た」
「止めに来たのよ」
「何をおかしなことを。偉大な僕を止める? この力、この技術、素晴らしいだろう。僕は認められるべきだぁ!」
「おかしな事を言っているのはあなたの方よ。皆を傷つけて、殺して……何が認められるべきよ」
佐乃は大きくため息をついた。
そして、大声で笑う。私たちを嘲笑う。
「凡人にはわからないのさ。何の取り柄もないナリオの方ばかり、評価するあいつらが憎い。……まずは、お前たちから殺してやるよ。その後に、あいつらだ」
佐乃は大きく息を吸い込んで、宇治原さんに命令する。
――私たちを殺せと。
「ウア……ケテ」
宇治原さんは何かを言おうとしているが、声帯があまり発達していないのか、何を言っているのかわからない。
「来るぞ! 杏奈は後ろに下がってサポートしてくれ」
アキラは皆に声をかける。
私はアキラたちより、後ろに下がり、弓を構える。
雷の矢は三本。
必ず、止める。
アキラは剣を構え、皐月は杖を握る。望は、背中にあった刃のみのナイフのようなものを両手に取った。
宇治原さんは、尻尾を振り上げて、私たちに叩きつけようとする。皆はそれを左右に飛び、避ける。
「動きを止めるわ」
氷龍が叫ぶ。
「生命の花、静かな花。ロータス・アイシクル!」
宇治原さんの周りに、蓮の氷の花が咲く。氷の一部が、宇治原さんの足や尻尾を絡めとる。
「杏奈、今だ!」
アキラの声に呼応して、私は矢を放つ。雷の矢が宇治原さんの肩あたりに刺さり、雷撃が繰り出される。
「ギャアアアアア!」
大きな口からは悲鳴が聞こえる。髪を振り乱し、黄色い粘液が飛び散る。
「宇治原ぁ! きちんと働け!」
佐乃は激昂する。宇治原さんの髪の毛を引っ張り、私たちの方を向かせる。
その隙を狙い、アキラと望は宇治原さんの手足を切り付けるが、皮膚が少し剥けただけだ。
矢もあまり刺さっておらず、電撃のみが効いたという形だった。
「なんて硬い皮膚だ」
望は何度も切り付けるが、血すら出ない。
「イダイ……ヤメ……アアアア」
宇治原さんは声を振り絞るように出した。
「宇治原さん……。どうにかして、元通りにできないの」
「元通り? この素晴らしい姿を元に戻してどうする」
「それなら、お前が、この姿になればいいだろ!」
皐月が叫んで、杖を向ける。
「闇と風の化身……ハウンド!」
杖から、狼の形をした黒色のついた風が出る。佐乃を目がけて、放つ。
「はははっ! 魔法で僕に勝てると思うなぁぁ! ハウンド!」
佐乃の首にあるネックレスが光り、皐月とは違う色の風が向かってきた。皐月の魔法とぶち当たり、佐乃の魔法が打ち勝つ。
「ぐあ!」
皐月と、近くにいた氷龍に狼の風が当たり、吹き飛ばされる。
「皐月! 氷龍!」
地面に叩きつけられた二人の元に行く。
「うぐ……」
「あぅう」
二人とも息はあったが、体を打ち付けたためか、動けないでいた。
「どうすれば良いの。剣も矢も効かない。魔法も、佐乃に打ち破られる」
私たちは追い詰められている。
「はっはっはっ! 死ねえ! 宇治原ぁ! 奴らをぐちゃぐちゃにしてやれぇ!」
宇治原さんの尻尾が氷から解放され、こちらに振り上げられる。
「杏奈!」
私たちの方に尻尾が向かった時――
「灯よ、生命の光よ、放て! ライトハウス!」
上の方から声が聞こえたかと思うと、当たりが真っ白に光った。
「ウギャアア!」
宇治原さんの声が聞こえる。
尻尾の攻撃は降ってこなかった。
「間に合ったな」
私は、眩しかった目を凝らして、上を見上げた。
スキンヘッドの男と、幻がいた。
「マーズくーん。さすがだね」
「幻、お前も戦えよ」
「えー。やだなあ」
「非常事態だぞ! バカ!」
二人は飛び降り、私たちと宇治原さんの間に入った。
「新手か。だが、誰も僕たちを止められない! 宇治原ぁ!」
宇治原さんは、閉じない目のためか、直接光を浴びたことにより、暴れている。
「くそ……使えない奴め!」
「やるぞ」
スキンヘッドの男……マーズの指についた指輪と鎖が光る。
「仕方ないなあ」
幻は、持っていた長い杖を前に出す。
「刃を輝かせよ。ミラクル・エッジ」
幻が呪文を唱えると、アキラと望の剣が輝いた。
「なんだ、これ」
「斬撃強化魔法か」
望は納得したように頷いた。
「多分、これで、何とかなるかなあ」
アキラと望は、宇治原さんに切りかかる。すると、先ほどはかすり傷しか負わせられなかったのに、大きく切り裂けた。
「ウギャアアアア」
宇治原さんは苦しそうに叫ぶ。
「幻……! 宇治原さんを助けることはできないの?」
私が問いかけると、幻は少しだけこちらを向いて、顔を横に振った。
「あれは、禁術だよ。一昔前、戦争のために人間をモンスターにする術が開発された。もう、封印されたはずなんだけどね」
「戻らないの?」
「戻れないね。救ってあげるには、殺すしかない」
「そんな……」
私は口の端を噛んだ。血が出たような気がしたが、気にならなかった。
どうして、こんなことに。
助けられないのか。
「イヴなら」
「え?」
マーズが話し出した。
「イヴなら、救えるかもな」
「どういうこと?」
「イヴ。お前、まだ覚醒していないな」
「私はイヴじゃない」
「……へえ」
マーズは、そう言って、飛び出して行った。
「アダム!」
「は?」
アキラはアダムと呼ばれて、振り返った。
「胸の魔法陣を貫け! それが、心臓の代わりになっている」
マーズは叫んだ。援護すると言って、呪文を唱える。
「……わかった。望、行くぞ」
「ああ」
マーズの呪文により、アキラと望の足が光る。
「行けえ!」
アキラと望は高く飛び上がり、宇治原さんの胸にある魔法陣をひと突きした。
「アギャアアアア」
宇治原さんは、今までで一番の大声をあげて、崩れ落ちた。
埃が立ち、宇治原さんの方がよく見えなかったが、私は見逃さなかった。
佐乃が、宇治原さんの背中から、さっと降りて、出口に向かおうとしていた。
「逃がさないっ!」
猫耳族の私に脚力で叶うはずもなく、私は佐乃の腕を捕らえる。
「宇治原さんをこんな姿にして、皆を傷つけて、逃すわけないでしょ」
「はっ……動物ごときが!」
佐乃は私の手を払い、代わりに私の首に手をかけた。
「ぐっ……」
佐乃の見た目からは考えられない力で、私は首を掴まれて、持ち上げられた。
「宇治原だけに魔法をかけていると思わないことだ!」
「私は……あなたを、ゆる、さない」
「許さないか。僕も、僕の研究を邪悪だと言った奴らを許さないがなあ!」
佐乃の手に力が入る。
許さない。許せない!
宇治原さんは、多分亡くなった。心臓だと言われた魔法陣を破壊されたから。
私は何もできなかった。
イヴなら、イヴなら何とかできたの?
私はイヴなの?
私はどうしたら、良かったの……。
「杏奈ー!」
アキラの叫び声が聞こえる。
ああ、このままだと、首をへし折られる。
「ライティング!」
少し高い少年の声が聞こえた。
その時、佐乃の体に電撃が落ちる。
「うげぁ!」
佐乃の手は離れて、私は尻餅をついた。佐乃も倒れる。
「杏奈! 大丈夫?」
佐乃が逃げようとしていた出口から、ラミハルが現れた。
「ラミハル。なんで」
私は、息を大きく吸いながら、問うた。
「杏奈たちが化け物に立ち向かうのを見てたんだ。皆と一緒に逃げたんだけど、気になって見にきたんだよ」
「杏奈! ラミハル……何で」
アキラが駆け寄って来ていた。私の背を撫でて、立ち上がれるように促した。
望とマーズも来ていて、佐乃を拘束する。
「助かったわ。ありがとう、ラミハル」
「将来のお嫁さんに死なれたら、困るしね」
「お嫁さん?」
「ううん。何でもない」
その後、佐乃は駆けつけてきた騎士に連れられて行った。
騎士たちが話していたのが聞こえたが、死刑になるらしい。
そして、倒れていた皐月と氷龍は、大きな怪我もなく、歩けるようだった。
「ナリオさん、宇治原さん……」
無惨な姿になったナリオさんは、研究所の職員たちに箱に入れられて、連れて行かれた。
元には戻らないそうだ。一応、繋ぎ合わせて、葬儀を行うと聞いた。
宇治原さんはいつの間にかいなくなっていた。居合わせた騎士たちも疑問に思っているようだった。
「どこに行ったの……」
「ここにいるぜ」
マーズが私に話しかけてきた。
マーズの手には、カプセルがあった。
「これって」
「特別なカプセル。生き物も入れられる。あのままだと、実験体にされるかもしれないし、人間をモンスターに変える研究が始まったら困るしな。俺と幻で、弔ってやることにした」
「私も立ちあえる?」
「まあ、お前だけなら良いよ。友だちはダメ」
「わかったわ」
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