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1-時限式爆弾
爆弾投下
しおりを挟む終電はまだ気にしなくていい。帰宅ラッシュの時間は遠に過ぎて、まだ急いて駆け込むような時間ではないからかだろうか。冬の駅のホームに意外と人影はなくて。
屋外にむき出しに乱立されたこの孤島にはオレとこの人だけ。まるで取り残されてるみたいに思える。晒される外気の寒さに当然息が白くなるわけで。もういよいよ本格的に冬だナ。天気予報で急激な寒波が襲来すると告げていたことを思い出す。皆まだ耐性がついてないンかもな。
そう目の前にいるこの人も耳が赤く染まって、見慣れない。いつもの美形もちょっと不格好だ。ウケんな。
そんな失礼なことを考えていたからか。急にクンと力が働いて、気づいたら冷えた指先が絡まっていた。そして眼前に広がるは筋の通った美形の鼻先。
ー チュ ー
耳だけじゃなく鼻も赤かったワ。トナカイか。なんて、そんなことを思えたのは最初だけで。
「ねぇ駿。
俺、駿のことが好きなんだ。俺に駿をちょうだい、お願い。」
「え、…あー。
…うん、ゴメンナサイ。」
「え??!!駿なんで?なんでだめ??
今めっちゃいい雰囲気だったじゃん?!キスさせてくれたじゃん??!」
「いや、あんたが勝手に近づいてきたんだろ…、はァ、びっくりしたァー」
ホントに驚いた。油断してた。コイツなにキスしてきてんの?マジついに頭でも沸いたか?冷静に……。エー。処理しきれん。あァ。感触残ってんなクッソ。今からでも遅くない拭こう抹消しよう。しっかりと。
「やー!ねぇ、ゴシゴシしないで俺傷つくよ??!傷ついちゃうから!!!」
ー ジトー ー
勝手にキスした張本人は焦ったみたいにオレの顔を覗き込んできて、拭う腕を取り上げてきた。ジリジリ何やら言いたげな目で訴えてくる。なんでこっちが責められねばならんのか。
ージロリー
だから負けじと睨み返してやる。
「っ。駿、そんな嫌だった?俺とキスするの…。」
うわ、出た。この人お得意の、しゅんとした顔でこちらを伺ってくるキラキラ光線。柔和な顔立ちのこれでもかと眉を下げて、バサバサのまつ毛を震わせながらじっと見つめる。ふわふわと柔らかいウェーブがかったストロベリーブロンドの前髪を揺らして、首を傾ける。
この顔ありきの、女を首ったけにする仕草だ。これが態となのか、はたまた無自覚か。これまでコレでどれだけの女と修羅場を掻い潜ってきたのやら。あーア憎たらしい。
「嫌っていうか…この人誰でもできんだなァって。」
???
心底不思議そうな顔でこっちを見つめてくる。かと思えばフルフルと綿毛みたいな頭が左右に揺れる。ほーう。不満そうだな?
「違うよ、駿だけだよ?…ねぇ駿、俺のどこがダメだった?ダメなとこ全部治すから、俺と付き合って…!」
ーうるうるー
「治すも何も…、先輩のは治んないからそのままでいいと思いますよ、刺されても知んないけど。」
???
おォ先輩の頭がどんどん傾いてゆく笑。まるで分からないらしい。普段からあーんな女侍らせといて、遊び人という自覚がなくていらっしゃる。オレが好き?なワケ笑
ちゃんちゃらおかしいな。
「どゆことどゆこと?はぐらかさないでよしゅん~!?」
ーゆさゆさーグラグラー
ナーンテ現実逃避していると、痺れを切らした先輩に両肩を掴まれて前後にぐわんぐわん揺すられる。あァーあァ。肩を掴む指が少し痛い。珍しいな。依澄サンの指は柔いイメージあったのに。あそうか。いっつも腫れ物に触るみたいに女を扱ってさ。
…ったく、すぐそーいう顔する。オレより10cmくらい背も高ェハズなのに、上目遣いがうまいよな。長い前髪の隙間から除くみごとに左右対称な両の目を潤ませて。圧かけてくんのやめろ。このたらし。
とはいえこんなこと言ってもさ。オレもきっと先輩に群がる奴らと同じ。例外なくこの顔に押し切られる。そんな人種からの好意とかとんだ泥舟、厄介はごめんだね。オレはぜってェ傾倒も心酔も崇拝もしねェよ。とか悪態ついてみる。
落ち着け。1回深呼吸して冷静な頭で逃げる算段を整える。仕方ない。それとない理由があれば納得するだろ。この際、自分の持ちうる切り札を投下することにした。
「やー、先輩も知ってのとおり、オレ潔癖入ってるじゃないですかァ、、
だから寝取るような人はちょっと…。」
「…へ?な、なんのこと?」
「あー、ほんとに気づいてなかったんだ。オレ高校の頃に彼女、先輩に寝盗られてんすよ。」
「へ、え、うそ、…な、な?へ?」
お。その顔は初めて見た。急激に真っ白になってオモシロイ顔。さっきまで鼻も耳も目も赤かったのに。
このなんでも自分のペースに持っていく自適な先輩の、ちょっと意表をつけてほくそ笑む。
「まぁそういうことで、先輩も俺なんか気の迷いだとは思いますから、お互い無かったことにー」
そう言いかけたとき、ちょうどオレの方面の電車が来た。ホームに響くアナウンスと電車の連れてきた風が話を遮る。グッドタイミングでしかない。
先輩はまだ放心して固まっている。ここぞとばかりに軽快な足取りで車両へ乗り込む。
「じゃ。先輩今日もご馳走様です。お先ッス。」
ーップシュー
「えっちょ、まっ、!!
っ駿!待って!!!しゅーんー!!!」
ここで依澄サンがホームでへたりこんでたとか、オレが知る由はナイ。
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