4 / 58
〜追放編〜
4
しおりを挟む
僕たちエルフの名前は個人名・家族名・光のエルフ・世界樹の順で形成されている。
光のエルフと名前に入るように、皆金髪か銀髪で光を纏ったような髪色で、瞳の色は自然を愛し共に生きるエルフ達の使う魔法の色。つまり、風の緑目か水の青目だ。
僕の両親は2人とも青目で、子供の僕ももちろん青目だ。
髪は父さんが銀髪ウェーブ、母さんが金髪ストレートで、僕は2人の要素を引き継いで淡い金髪のゆるふわウェーブだった。
(何で黒くなっちゃったんだろう。闇に堕ちる様な悪いことなんてしてないのに…。)
「……僕は…どうなるの??」
しばらくの沈黙の後、僕は思い切って聞いてみた。
(目と肌は変わっていないのなら、まだ希望はあるのかな?)
少しの希望を持って聞いてみるも、父さんは床を睨みつけながら言った。
「明日、王様の元へ行け。」
その言葉を聞いた瞬間母さんは声をあげて泣き出し、僕は目の前が真っ暗になった気分だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
長いこと泣いた後、最後の夜くらいはと、晩御飯に僕の好物のコゴの実を沢山入れたスープを母さんが作ってくれた。
この味を忘れたくなくてしっかりと味わって沢山食べたかったけれど、1週間寝込んでいた僕は、5口ほど食べたところで限界がきてしまった。
「無理はしなくてもいいのよ。寝込んでいたんだから仕方ないわ。気にしなくてもいいのよ。」
と、母さんは優しく抱きしめてくれた。
父さんは夕食の後に僕に弓をくれた。
「本当はお前の成人の儀に渡す予定だった。少し早くなってしまったが、お前は私の大切な息子だ。いつまでも。」
そう言われ、強く抱きしめられた。
優しい母さんと厳しい父さん。
もっとずっと長く一緒に暮らして沢山の事を教わって、エルフの長い寿命を共に過ごし、自分も両親の年齢になる頃には家庭を持ってたまに父さん母さんに自分の伴侶と子供を見せに来て、両親の長い寿命が尽きる時にもそばに居る。
そんな人生を送ると思って居たのに、これが最後なのだと急に実感が湧いてしまい、涙を流さずには居られなかった。
その日は本当に小さな頃のように、両親の間に挟まって3人で眠った。
なかなか寝付けなくて、3人で昔の事を沢山話した。
初めて父さんに狩りに連れて行ってもらった日に仕留めたピューリが可哀想で泣いた事、友達のエーリスナと喧嘩をしてそのまま帰ってきた僕を叱って一緒に仲直りのごめんねを言いに行ってくれた母さんの手が暖かくて心強かったこと、弓を父さんに教えてもらって上手に扱えた時に頭を撫でて褒めてくれる大きな手が好きだった事、母さんにコゴの実スープを毎日作ってとせがんだ事………。
いくら話しても足りないような気がしてずっと話していたけれど、空が少し白み始める頃、母さんが、少しでも寝ておきなさい。と、僕の肩を小さな時のようにとん、とん、と一定のリズムで優しく叩いてくれ、気がつけば眠っていた。
そして、王様の居るイグドラシルの最上部に登る時が来てしまった。
光のエルフと名前に入るように、皆金髪か銀髪で光を纏ったような髪色で、瞳の色は自然を愛し共に生きるエルフ達の使う魔法の色。つまり、風の緑目か水の青目だ。
僕の両親は2人とも青目で、子供の僕ももちろん青目だ。
髪は父さんが銀髪ウェーブ、母さんが金髪ストレートで、僕は2人の要素を引き継いで淡い金髪のゆるふわウェーブだった。
(何で黒くなっちゃったんだろう。闇に堕ちる様な悪いことなんてしてないのに…。)
「……僕は…どうなるの??」
しばらくの沈黙の後、僕は思い切って聞いてみた。
(目と肌は変わっていないのなら、まだ希望はあるのかな?)
少しの希望を持って聞いてみるも、父さんは床を睨みつけながら言った。
「明日、王様の元へ行け。」
その言葉を聞いた瞬間母さんは声をあげて泣き出し、僕は目の前が真っ暗になった気分だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
長いこと泣いた後、最後の夜くらいはと、晩御飯に僕の好物のコゴの実を沢山入れたスープを母さんが作ってくれた。
この味を忘れたくなくてしっかりと味わって沢山食べたかったけれど、1週間寝込んでいた僕は、5口ほど食べたところで限界がきてしまった。
「無理はしなくてもいいのよ。寝込んでいたんだから仕方ないわ。気にしなくてもいいのよ。」
と、母さんは優しく抱きしめてくれた。
父さんは夕食の後に僕に弓をくれた。
「本当はお前の成人の儀に渡す予定だった。少し早くなってしまったが、お前は私の大切な息子だ。いつまでも。」
そう言われ、強く抱きしめられた。
優しい母さんと厳しい父さん。
もっとずっと長く一緒に暮らして沢山の事を教わって、エルフの長い寿命を共に過ごし、自分も両親の年齢になる頃には家庭を持ってたまに父さん母さんに自分の伴侶と子供を見せに来て、両親の長い寿命が尽きる時にもそばに居る。
そんな人生を送ると思って居たのに、これが最後なのだと急に実感が湧いてしまい、涙を流さずには居られなかった。
その日は本当に小さな頃のように、両親の間に挟まって3人で眠った。
なかなか寝付けなくて、3人で昔の事を沢山話した。
初めて父さんに狩りに連れて行ってもらった日に仕留めたピューリが可哀想で泣いた事、友達のエーリスナと喧嘩をしてそのまま帰ってきた僕を叱って一緒に仲直りのごめんねを言いに行ってくれた母さんの手が暖かくて心強かったこと、弓を父さんに教えてもらって上手に扱えた時に頭を撫でて褒めてくれる大きな手が好きだった事、母さんにコゴの実スープを毎日作ってとせがんだ事………。
いくら話しても足りないような気がしてずっと話していたけれど、空が少し白み始める頃、母さんが、少しでも寝ておきなさい。と、僕の肩を小さな時のようにとん、とん、と一定のリズムで優しく叩いてくれ、気がつけば眠っていた。
そして、王様の居るイグドラシルの最上部に登る時が来てしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
44
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる