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〜ギルド編〜
21 (グラウ)
しおりを挟む俺とバルサスはギルドを出た後、そのまま冒険者がよく使う武器や防具、装備品などを扱う店に寄った。今まで使っていた装備品は国からの支給品だったので、先程返上してきてしまったのだ。なので、王都を出る前に揃えておこうという考えだ。
(強い魔獣が出るのは王都から離れた郊外の方が多いのに、職人は王都の方が多いんだよなぁ。やっぱ王都の方が人も多いし売れるのかな…。)
「ポーション類と衣類は今朝ジョナスが俺たちの分も用意しておいてくれたんだっけ?」
「ああ。そう言っていたな。」
「じゃあとりあえず買う物は武器と解体用ナイフ、冒険者用ポーチ、胸当てとか防具ってところかな?」
「そうだな。野営に必要になるテントやなんかは親父が私兵と共に使っていた物のお古をくれるらしいからひとまずはそんなもんで良いはずだ。」
「よし、じゃあさっさと買い物済ましちゃおう!」
今後も使い続けられる様な品をいっぺんに揃えようと思えば、どうしても王都にいる今買っておかねばならないだろう。気合を入れて商品棚を眺めた。
「んー、ある程度の目星はついたけど、武器、防具、装備って揃えるとやっぱそこそこの値段になっちゃうね。俺お金すっからかんになっちゃうかも。」
「必要経費だ。妥協なんかして買うなよ。」
「分かってるって。」
自分の実力に合った武器を選ぶのも大事なことだ。値段を気にして実力より劣った武器を選べば、力に耐えたれなくなった武器は壊れるし、場合によってはその所為で怪我や命の危険に繋がる。防具も同じだ。身を守る物だからこそ、実力に見合った防具が必要なのだ。冒険者用ポーチもしっかりと異空間収納の魔法が付与されていて、そこそこ容量も多い物でなければならない。動物や魔獣を討伐して解体した際に、全てを収納する事が出来なくなってしまう為だ。実力が上がればそれだけ獲物も大きくなる。仮にも実力で騎士団長と副団長にまで上り詰めた俺たちだ。そこそこ値の張る買い物になるのは必然だった。
「ちょい予算オーバーだけど、やっぱ自分の身体に見合ったしっかりとした装備はしっくりくるね。騎士団の支給品より動きやすいし丈夫だ。」
「確かにな。前から思っていたが、あの短剣と防具は見た目だけ華やかで実戦向きではない。何のための騎士団だったのか…。俺には合わなかったんだ。」
「確かに。俺たちを追い出したお偉いさんの上っ面だけの威厳とご立派な見栄を具現化したって感じだったからね。バルサスはあの短剣壊しすぎて経理部の連中にもう辞めてくれって泣かれてたよね?」
「そう言うお前だって人の事は言えんだろう。」
「あはは。まぁね。」
支給品の防具や短剣の見た目はとても立派で華やかだが、強度はあまり良いとは言えない。実戦向きでは無いのだ。護身用程度ならまだ良いのかもしれないが、剣技も身体も鍛え、実戦にも活用している俺たちにはあの装備品は脆すぎた。俺とバルサスが本気で鍛錬時や実戦で使えばその日の内に使い物にならなくなってしまっていた。おかげで武器に魔力を乗せると強度を上げられる事に気づけたのだが。
「うん、決めた!」
武器は双剣を選び、動きやすく軽くて丈夫な防具、解体用ナイフと店に置いてある中でもハイクラスの収納ポーチを買った。バルサスも決まった様で、大剣と重そうな厚めの防具、俺と同じ解体用ナイフと収納ポーチを買っていた。
店の店主が高い買い物をしてくれたお礼だと言って、武器やナイフに使う砥石や火打石をおまけで付けてくれた。それらを早速身につけておまけの品をポーチにしまい、別の店で食料や調味料なども買い込みポーチへしまう。この冒険者用ポーチは中に入れれば時間も止まるので、食べ物が腐るのも防げるのだ。
「よし、一旦戻るぞ。」
「りょーかい!」
俺たちは服や用意してもらったポーションを受け取りに一旦プロバイド公爵の別邸へと戻った。
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