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〜ギルド編〜
25 (グラウ)
しおりを挟むいよいよギルドが完成した。教会から来てくれたのは、ギルド職員3人、冒険者2人だった。街の掲示板にも募集を張り出してみた所、ギルド職員が2人と宿で働きたいと言ってくれる人が結構居た。ギルド職員に名乗りを上げてくれた中にはザーレも居た。経理やなんかに興味があり、是非ともやってみたいと言ってくれた。冒険者志望は貴族から保護した子供が2人だった。
「俺らみたいな子供がいたら助けたいし、良くして貰ったこの領地の人を守れるなら冒険者になってここの人達の役に立ちたい。」
「街の自警団とかでも良かったけど、その上には貴族がいると思うと…。冒険者はちょっと怖いけど、ベニアスと一緒ならやってみたい。」
そう言い冒険者に志願してくれた2人に、危ない戦い方や無茶な事はしないよう、しっかりと戦闘の基礎や魔獣、薬草などの知識を教えていった。
ギルドが完成する前から皆に少しずつ仕事内容を覚えてもらい、成人済みの者にはギルドと宿完成と同時に実際に働きに来てもらった。未成年の者は数時間だけ来てもらい仕事体験のようにして、成人を迎えて本採用になる日を待った。
初めはぎこちなく上手く行かなかった事も、皆んなで協力し合いスムーズに仕事が出来るようになってくると仕事運びや運営のルールが出来上がっていき、次第に地盤のしっかりとした組織へとなっていった。
ギルドも軌道に乗りザーレや職員達に任せておいても大丈夫だろうと判断できた頃、俺とバルサスは本格的に"妖精探し"を始めた。今までもギルド運営や新人冒険者のサポートの合間を見つけては妖精について調べたり、見かけたと噂を聞けば確認に向かったりとしていたが、
「何百年か昔に何処かの領主様の愛人だったそうだ。」
「ひいひいひい爺さんがまだ子供の頃に空から降ってきたらしい。」
「ずっと東に黒髪の種族が居るらしいぞ。そいつらの事じゃ無いのか?羽?そんなもの生えてるはず無いだろう。」
「俺たちには見えないが、自然の豊かな場所によくいるらしい。」
など、どれも大昔にそんな事があったらしいという話や信憑性の無い話ばかりで、有益な情報は無く空振りばかりだった。
今まで調べた中で確実に信じられるものは、やはりザーレから聞いた話だった。
あの貴族は奴隷にした子供が成人を迎える頃、他の貴族へ売る為のパーティーを開いていたらしい。そのパーティーでは奴隷の子供達全員が客人をもてなすそうだ。着ている意味があるのか分からないような薄く透ける布1枚を身にまとい、客人である貴族のテーブルを周り酌をする。その時客人が自分を気に入れば、客人へ奉仕をしなければならない。勿論ただの奉仕ではない。客人の男根を舐めしゃぶり、それを自分の菊門へと納めるのだ。その夜買い取られて行くのは1人だけだが、客人は商品を前々から試せるのだ。それもあり、商品は誰が買い取る事になるのか予めだいたいの予想がつくらしい。
(本当に腐った奴らだ。この手で殺せなかったのが悔しく思うほどに。)
俺たちが屋敷に突入した前夜にもそのパーティーが開かれていたらしい。なんでも、例の夜は今までに無いほど盛り上がっていたとか。その夜売りに出された商品というのが、王も欲していた妖精だったからだ。
ザーレもその夜初めてその子を見たと言っていた。その子は少し日焼けをした様な肌色で、髪は赤みの強い茶髪だった。そしてその背中には大人の手のひら程の小さな透明の羽があったという。
その子は今まで1度もパーティーには出されなかった。当主のお気に入りだったからだ。しかし、その子がもうすぐ成人を迎えるという頃に当主はよく、
「あの子は成長してしまった。背が伸びて体も骨張ってきたし残念でならない。後ろの具合は良いが身体は抱き心地が悪くなってきた。」
と愚痴をこぼしイライラしていたそうだ。その子はパーティーに集まった貴族達から大層人気があり、誰が買い取る事になるのか中々決まらず我こそはと言う貴族達が群がり皆んなで犯して回したそうだ。
代わる代わるに男達に犯されるその子を見るのは恐ろしく、皆んなで壁側の隅に固まり幼い子の目と耳を塞ぎ怯えて震えていることしか出来なかったとザーレは語った。
「本当にあの時の子を見つけられたら、もうあんな恐ろしい事から開放してあげて欲しい。それと、あの時何も出来なくてごめんって、謝りたい。」
そう言ってあの夜の出来事を語ってくれたザーレに、俺とバルサスは「必ず見つける」と改めて誓い合った。
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