地球防衛…隊??(※部活です)〜守秘義務から始まる青春〜

明見朋夜

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6話 「ごっこ」じゃなかったの??

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鹿島に部室を追い出され、三人は基礎体力作りのためのランニングにでていた。



「ハァッ……ハァッ……、ちょっと、待っ……て……」



リコは膝に手を突き、噴き出す汗もそのままに地面に沈みそうになっていた 。

ただの部活のランニング、リコのライフはすでにゼロだ。



「リコちゃん、がんばって!体力作りは大事だからね☆」



隣を走るユカは、呼吸一つ乱さず、さっきから今日のランチの唐揚げの揚げ具合についてノンストップで喋り続けている 。



「……なんで、平気なの……」



「……別に。ゲームの移動パートだと思えば、この程度の距離、初期装備でも余裕」



眼鏡の奥で死んだ魚のような目をしているカナタまでもが、涼しい顔でユカの弾丸トークに相槌を打っている 。



『おかしい。この人達、絶対におかしい。運動部のエースならまだしも、一方はお花畑な部長で、もう一方は壁と一体化してる陰キャオタクだよ!?』



リコの常識がガラガラと音を立てて崩れ始めた、その時だった。



校舎の裏手、古い倉庫の影に、見覚えのある制服の背中が見えた。



「あ、タカちゃんとミホちゃんだ!」



ユカが嬉しそうに手を振ると、ミホが笑顔でそれに応えた。





そこでは、タカコが細長い竹刀のようなものを手に、虚空を淡々と「ポン、ポン」と叩いていた 。



その先には、あの路地裏で見た「黒い影」がいた。……のだが。



「……ちょっと待って。なんであいつら、並んでるの?」



リコは疲れと驚きで、足を止めた。



そう。おどろおどろしいはずの黒い影たちが、まるで人気ラーメン店の行列のように整然と列をなし、自分の番が来るとタカコの前に進み出て、大人しく剣で叩かれているのだ。叩かれた影は、満足したように霧となって霧散していく。



タカコの二歩後ろでは、ミホが穏やかな笑みを浮かべたまま、空中に指先でさらさらと何かを書いていた 。



「……ミホが書いてるから」



カナタが説明してくれたが、説明になってなかった。



「タカちゃんが叩きやすいように、ミホちゃんがサポートしてるんだよ☆」



ユカが補足したが補足になってなかった。



「……サポート? 魔法? え、あの影たち、自分の意志で並んでるんじゃないの?」



「まさか。あいつら、本来は支離滅裂に襲ってくるだけのバカ。ミホが空書そらがきで行動制限かけてる」



カナタがリコと視線を合わせることもなくボソボソと話す。



空書そらがきってのは、ミホちゃんが得意な技みたいなもので…。書いたことが本当になっちゃうんだよ☆」



『何ですか、その恐ろしい技』



リコが青ざめていると、ユカは変わらぬハイトーンでつづけた。



「ミホちゃん、あんなの一瞬で消せちゃうのに。本当にタカちゃんのこと好きだよね」



タカコは、まるでホコリでも払うような手つきで、最後の一匹をポンと叩き潰した。



すると、近くいた古河が二人に声をかけた。



「じゃぁ、次に行きましょう」



二人は返事をして、古河の後をついていった。



『……魔法? 一緒で消す??「ごっこ遊び」だったのに、「ガチ」なの?なんなの……!?』



状況が飲み込めず、リコはその場にしゃがみこんだ。



「なんなのー!?」



リコの叫びが、空に響いた。



青春が、また一歩、未知の領域へと引きずり込まれていく音がした。
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