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異様な光景ばかりです
公爵婦人と侯爵婦人と私
公爵婦人が侍女に指示を出し、侍女は直ぐに食堂から出て行かれました。その後、公爵婦人は席を外す事を皆様にお伝えしておりました。
食堂から出て行かれる前に、私の耳近くで《メロちゃん、お馬鹿な息子でご免なさいね。お仕置きをしてくるわね》そう囁いて出て行かれました。
それをお聞きして王城でのお茶会を思い出しました。お母様のお友達である公爵婦人ですが、お母様と同じくお綺麗です。
ガゼボで公爵婦人とお母様と私でお茶を楽しんでおりました。そこに公爵婦人の息子さんがガゼボに来られたのです。
公爵婦人はアレス君には、お友達と遊んで来る様にと言っておられました。
ですがお母様がアレス君に一緒にお茶をとお誘いしてたわ。
私と一緒にお菓子を食べて、お喋りしているだけでアレス君には宜しかったのか分かりませんが、とても私は楽しかったのです。
あの頃の私は、自分の名前を上手に言えなかったのです。“シャルメローラ”って言いたくても舌を噛んでしまったりで、それに家族に呼ばれている“メロ”なら自分でも言えたのです。“メロ”だと名前じゃなく愛称でございますが。
そんな私の為にか分かりませんが、公爵婦人に“アレクシス”ではなく“アレス”と呼んだら良いと言われました。
私は“アレス”がお名前だと数年は思っておりました。
ある時にメルロム侯爵家でお母様がお茶会を開いた時に、お母様のお友達であるルヴィエル公爵婦人がご出席されて、その時に“アレス”は愛称であって、“アレクシス”がお名前だったと知りましたわ。
お茶会でアレス君は来ておられなくて、お母様がアレス君の事をお聞きになられたのです。その時にお母様は、“アレクシス君”と言ってお聞きになったので、私は分からなくて“アレクシス君ってどなたですか?”ってお聞きしました。
するとルヴィエル公爵婦人が教えて下さいました。“アレクシス”がお名前で、“アレス”がご家族で呼んでいる愛称なのよって仰っておりました。
その時に私は気が付いたのです。ご家族でお呼びになっている愛称で、アレクシス君を呼んでたのだと。それからは“アレス君”ではなく“アレクシス君”とお呼びしてますのよ。
蜂蜜色の宝石を戴いた時に、アレクシス君は『メロちゃん、大好きだよ!!』って言って下さったのに、お会い出来ませんでした。
ある時のお茶会で、コロコロと鈴の鳴る様な声でルヴィエル公爵婦人が笑っておりました。私は何だろうと不思議でありました。
「シャルメローラ嬢は、愛称が“メロ”なのかしら?」
ルヴィエル公爵婦人にお聞きされて、“そのような事、どうされたのかしら?”って思っておりましたの。
「そうでございます。家族からは“メロ”と愛称で呼ばれております」
不思議に思いながらお教えしました。私の家族が私を呼ぶ時の愛称をでございます。するとルヴィエル公爵婦人は、お楽しそうにコロコロと笑われておりました。とてもお綺麗な笑顔であります。
「あの子って本当に頭脳明晰で文武両道なのに、どうしてこんなにお馬鹿さんなのかしらねぇ~」
「ルヴィエル公爵婦人、お聞きしますが……あの子って誰なのでしょうか?」
「それはね、アレスの事よ。本当にお馬鹿さんなの」
「アレクシス君がですか?ルヴィエル公爵婦人、なぜアレクシス君をお馬鹿っていわれるのでしょうか?」
「私から見たアレクシスはね。本当にね、とてもお勉強とかの出来は良いのよ。なのに変な所でお馬鹿さんなのよ。シャルメローラ嬢、嫌いにならないであげてね」
とてもお綺麗な笑顔でお楽しそうに笑われていたルヴィエル公爵婦人は、急にお綺麗なお顔を困った表情に変えられて私に仰られました。なぜ私がアレクシス君を嫌うのでしょう?
この時にルヴィエル公爵婦人が仰られた事を、まだ私は分かっておりませんでした。
アレクシス様と私が婚約を結ぶ少し前のお話しです。
数年前の事を思い出しておりました。
やはり旦那様の行動が眼に余ること多い為、食堂の雰囲気はお悪いのであります。もう氷雪が吹き荒れていても、雷鳴が轟いておりましても観察する様に見ているだけ。
漸く公爵婦人が食堂へお戻りになられ、食事になると思われたのです。それがなぜか公爵婦人は、お母様と私に声をお掛けになったのです。
そして公爵婦人とお母様と私は、食堂から別の部屋へ移動しました。食堂に居られる皆様に先に食事をなさる様にとお伝えして。
公爵婦人と侯爵婦人と私っていうのでしょうか?
それともお義母様とお母様と私なのでしょうか……って、何となくイヤな予感がするので現実逃避というか、どうでも良い事を考えておりました。
広く落ち着いた部屋へご案内されて、テーブルとソファがありました。テーブルには軽食にサンドイッチ、フライドポテト、チーズ、ミートパイなどとワインがセットされて置かれてました。
公爵婦人がソファへ座る様にお母様と私に仰られた。
公爵婦人とお母様と私がソファに座りました。公爵婦人が困ったようなお顔をされてましたが、暫くして口を開いたのです。
「シルビアとシャルメローラ嬢、馬鹿な息子が問題ばかり起こして、本当に申し訳ありません。でもね、あの子は本当にシャルメローラ嬢が大好きなのよ!!嫌わないであげてね?」
「ふふふっアメリア、貴女からお聞きして笑っちゃったわ。だってアレクシス君も勘違いでしょう?」
「そうなのよ。ただの勘違いから誤解に変わっているかしら?私もね、もっと早くにアレクシスに教えてあげれば良かったと思ったわ。結婚式の当日になっても気付かないと思わなくて…」
そう仰ってルヴィエル公爵婦人は溜め息をつかれました。
私は良く分かっていなくて公爵婦人とお母様を、とりあえず静かに見ておりました。お母様はクスクスと笑われていて、公爵婦人は今までの事を謝っておられるみたい?
「シャルメローラ嬢は、アレクシスの名前を“アレス”だと思っていたわよね?」
「はい。公爵婦人が教えて下さったので、今では“アレクシス”がお名前で、“アレス”が愛称と分かっております。それが何か?」
「それと同じなのよぉ…」
「ふふふっシャルメローラと同じでね、アレクシス君も間違えてたのよ。アレクシス君の場合、“メロ”が名前だと思っていたのよ。だからメルロム侯爵家のお茶会にアレクシス君は来なかったって事なのでしょう?それにしてもアメリアは意地悪ね。もっと早くに教えてあげたら良かったのに。ふふふっ」
そこまでお聞きして私が分かったのは、アレクシス様が私のお名前を“メロ”だと思っておられていらしたことでございます。それがなぜメルロム侯爵家のお茶会にアレクシス様が出席されなかったのと、結び付くのでしょうか?
「アレクシスはね、あのお茶会でシャルメローラ嬢を好きになったのよ。帰りの馬車でもメロちゃんの事ばかりで、他の子供の名前は出て来なくて驚いたわ。それにあの頃のアレクシスって見た目だけは可愛くてね。頬を薔薇色に染めて、『僕、メロちゃんが大好き!!』って言っているのを見て可愛くてね。
でもね…ある時に不思議に思ったのよ。メルロム侯爵家が主催されるお茶会のご連絡が、ルヴィエル公爵家にお手紙で届いたのよ。私はアレクシスにお茶会に一緒に出席するのか聞いたのよ。あんなに『メロちゃん』って言っていたし出席だろうと思っていたの。
でもあの子はお茶会へ行かなくてね。あんなに『メロちゃんが可愛いんだよ』、『メロちゃんに会いたいな』と言ってるのに、なぜメルロム侯爵家のお茶会に出席をしないのかってね…。ある時に不思議だったから考えてみたのよ。まさかねって思ったわ。
王城でのお茶会の時にシャルメローラ嬢は、ご挨拶の時に『メロです』って言っていたわ。シルビアは私に、娘はまだ上手く自分のお名前を言えない事を教えてくれたのよ。それに本当のお名前が、“メロ”ではなくて、“シャルメローラ”がお名前だとね。」
「そうですね。まだ私は、あの時に自分の名前を上手く言えませんでした」
「そう私はシルビアからシャルメローラ嬢のお名前を教えて貰っていたわ。でもアレクシスは、シャルメローラ嬢のお名前を間違えてといいますか、勘違いをして覚えてしまいました。そう“メロ”と思ってね。
メルロム侯爵家のシャルメローラ令嬢が、“メロ”ちゃんだって分かっていたら、メルロム侯爵家主催のお茶会にも出席していたわ。それに婚約が決まった時も、とても喜んでシャルメローラ令嬢にお手紙や、お茶会、それにオペラを観に誘ったり、プレゼントも贈ったでしょう。
だってメロちゃんがアレクシスの初恋の人で、アレクシスが大好きなのはメロちゃんなのですもの。
私がアレクシスに早く教えてあげたら良かったのですけれど、あんなにメロちゃんって言ってたのですし自分で気付いて欲しかったのと、観ていて可愛いし、それに何時になったら気付くのか観ていて面白くてね」
えっ!?なんか旦那様のお母様より爆弾的な威力のある事を教えて貰ってますよね?
息子さんの初恋の人を暴露なさっておられますよね。
しかも息子さんの初恋の相手にですよ?
その相手ですが、私が相手でございますよ!?
ルヴィエル公爵婦人の仰った事で、私の中では許容範囲外になっております。それに最後の方ですが、アレクシス様を観ていて可愛いのと、観ていて面白くてと仰っておられましたが、息子さんの恋愛を傍観されて面白がっておられるのはドS発言ではありませんか?
まるで小説やオペラ、ミュージカルなどを鑑賞してる様な感じに仰ってませんか?
まだまだルヴィエル公爵婦人のお話は続きました。
「アレクシスはね、ずっと“メロちゃん”を捜していたわ。“メロ”と言うお名前でライトピンクゴールドの髪で、ライトレッドの瞳の女の子をね。メルロム侯爵家のシャルメローラ令嬢と婚約が決まってもね。
アレクシスは初恋の人である大好きなメロちゃんを捜しててね。それを見ていて焦れったくてね。私は何度かシルビアとシャルメローラ令嬢が出席すると思われる、お茶会、夜会などにアレクシスを誘ったのよ。でも出席しなかったわ。アレクシスが出席したのは、どうしてもお断り出来ない行事にだけよ。どれだけ初恋を拗らせてるのか…」
ルヴィエル公爵婦人がお話されている間、メルロム侯爵婦人はコロコロと美しく笑っておられました。既にルヴィエル公爵婦人からお聞きしたのか、致し方ないわねぇ…っていう様に。
旦那様のお母様からお聞きして、アレクシス様が私を探して下さっておられた事、初恋の相手がバードン伯爵令嬢ではなかった事、初恋の相手に執着心がある事を理解しましたわ。
ここまで私を思って下さったのは、とても嬉しい事ではございますが……そんなに旦那様が私の髪の毛や瞳の色を覚えてらして、メロが大好きと仰られるのに、なぜ本日の結婚式の時に私がメロと結び付かないのでしょうか?
とてもお鈍過ぎではございませんか?
そして漸く数年前のお茶会でルヴィエル公爵婦人が仰っていらした事を理解しましたわ。
ルヴィエル公爵婦人が『シャルメローラ嬢、アレクシスを嫌わないであげてね』って仰っておられた事に。
まずアレクシス様が私が〖メロ〗である事にご自分で、何時になったら気付かれるのか分からないこと。
そしてアレクシス様と私の婚約が結ばれたけれども、アレクシス様からお手紙やお茶会、オペラ鑑賞のお誘いとか、プレゼントを贈るということが全くないこと。
またアレクシス様が初恋の相手だけに執着しておられ、私に関心がない事でございますね。私に執着しておられるのに、私に関心がないとは意味が解りません。
その上、アレクシス様の初恋の相手である私との結婚式なのに、ずっとバードン伯爵令嬢とご一緒にお過ごしになられる。
『メロちゃん、大好きだよ!!』って仰って、ずっと初恋の人を捜してらしたのでしょう?
それなのに……どういう事でしょうね、旦那様?
私は綺麗に微笑みながら、膝の上の部分のドレスをギュッと握り締めました。私の表情は綺麗な微笑で、優しく微笑んでおりますわ。
ですがルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人には、直ぐにバレてしまいました。
「長くお話してしまったわね、手軽に食べられる物を用意したのよ。お腹が空きましたでしょう?召し上がって下さいな」
「メロ、頂きましょう。それにしてもアメリアから少し前にお聞きして、アレクシス君の事がお可哀想に思ったわ。
いたずらっ子みたいにアメリアがアレクシス君で遊ばなければ、そんなに初恋を拗らせていなかったのではないかしら?」
「シルビアの言う通りよね。でもね、頬を薔薇色に染めてるアレクシスが可愛くて。ついつい観ていてね、とてもとても愉しくってね」
そう言って可愛らしくルヴィエル公爵婦人が、メルロム侯爵婦人に“ゴメンね”と謝られておられる。お綺麗な人だと赦されそうだわ。
でも『とてもとても愉しくってね』って仰っておられますけれど、それは鬼畜なのではありませんか?
そんなにお綺麗でお優しそうなお顔で、とても素敵な笑顔をされて仰っておられる事が酷過ぎではございませんか?
ルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人と私は、サンドイッチやチーズやミートパイを食べたり、ワインを飲んだりしております。
食堂に居られる皆様も、お食事を召し上がっておられる事でしょう。
「アメリアったら仕方のない人ねぇ……。でもアレクシス君がお可愛いのね。だから私達に謝罪と説明をなさったのでしょう?」
「アレクシスは私の息子だもの可愛いわ。もう見た目が可愛らしくないけれど……。それにね、アレクシスがシルビアの娘さんを好きになるとはね。ふふふっ」
「そうですわね。まさかアメリアの息子さんが私の娘をね。それに私の娘がアメリアの息子さんにって言うのも驚いたのよ」
「いつかシルビアと私が約束しようとした事が現実になったわ。でも余り良くない状況だけれど……」
「ふふふっ、そうねぇ。現実になったわねぇ」
そう懐かしそうにルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人が、会話を始められて私は恥ずかしくなりましたわ。私の初恋をお母様にお話されてしまいそうで……。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ルヴィエル公爵婦人からのお願いと鍵
落ち着きのあるお部屋で、ルヴィエル公爵家の現公爵婦人とメルロム侯爵家の公爵婦人と私で、サンドイッチやミートパイ、チーズを食べたり、ワインを飲んだりとお食事を摂っております。
なぜこのお部屋に移動してお食事になったのかでございますが、アレクシス様についてのお話がおありになったからでしょう。
皆様、お食事を召し上がっておられると思われるけれど、アレクシス様はお食事を召し上がっておられるのでしょうか?
ふと疑問に思いお聞きしてみました。
「あの……アレクシス様が食堂に居られませんでしたが、お食事はどうなさるのでしょう?」
「アレクシスはね、自室に1人で居るわ。まだお食事は食べてないわね。ねぇ………シルビアとシャルメローラ嬢にお願いがあるのよ。私からのお願いを聞いて下さる?」
ルヴィエル公爵婦人がお可愛らしく、でもキラキラとと言うかワクワクでしょうか?
何かをお企みをされておられそうなお顔で、メルロム侯爵婦人と私を見ております。あざといとか、小悪魔的な笑顔のお可愛らしさとお例えしましょうか。
それを見てメルロム侯爵婦人は、『仕方ない人ね』って思われている様なお顔で微笑まれてます。
何となくでございますが、私は嫌な予感がしておりますの。ルヴィエル公爵婦人のお願いは、とてもとても私が予想の出来ない様なお願い事なのでしょうと、その事だけが分かるのです。
それはルヴィエル公爵婦人のお綺麗なお顔で、お可愛らしく何かをお企みなされておられる笑顔なのですもの。
そう……まるで少女がイタズラを企まれる様な表情なのですわ。
「アメリアが私にお願い事?違うでしょう?アメリアは何を企んでおりますの?」
「私は何も企んでおりませんわよ!!大切な親友であるシルビアと、シルビアの娘さんであるシャルメローラ嬢にしか出来ないお願い事なのですわよ!!」
「仕方ない人ね……。それで貴女のお願い事とは何ですの?」
そうメルロム侯爵婦人がお返事をすると、ルヴィエル公爵婦人はホッと安心した様なお顔をした後に、とても嬉しそうに微笑まれました。
「まずね、シルビアにはメルロム侯爵家の皆様に、アレクシスが体調不良の為に療養をしている事にして欲しいのよ。
まぁ……表向きはって事なのよ。それとアレクシスに挽回のチャンスを与えて欲しいのよ。これはシャルメローラ嬢にも同じお願いよ」
「アメリアに意地悪をされたアレクシス君は可哀想だものね。その挽回のチャンスは与えて差し上げましょう。でもなぜアレクシス君が体調不良で療養と言う理由になさるのです?しかも表向きの理由に?」
「まぁ……実際は今回のアレクシスの行動に対する処罰で謹慎なのよ。でもね、これにも理由があるのです。
期間は決めておりませんが、暫くの間はアレクシスと、その妻になられたシャルメローラ嬢に社交の場に出ないで貰いたいのよ。お茶会、夜会などの行事に出席させない様にしたいの!!」
私はルヴィエル公爵婦人の仰られておられる事に対して、不思議と疑問を持ちましたの。なぜ私まで社交の場から離れる様に、全ての行事に出席してはならないのかしら?何かご理由がおありなのでしょうか?
「アメリアの事ですから、何か理由がおありなのでしょう?それならメロ、貴女も旦那様であるアレクシス君の看病を理由にして、暫くの間は社交をお休みしなさいな。分かりましたね?」
メルロム侯爵婦人であられるお母様より、お綺麗な笑顔で『分かりましたね?』と仰られました。表の取り方なら『良い子な可愛いメロ、お母様の言っているお約束事を守りなさいな』って事なのでしょう。
裏の取り方だと『良い子なメロならお母様の言うお約束事を、絶対に拒否しないわよね?お約束を破ったら解ってるわよね?』って謂いたいのでしょう。
ルヴィエル公爵婦人もメルロム侯爵婦人も、とてもお綺麗な笑顔がお怖く感じられます。〖類は友を呼ぶ〗なのでしょうか?
勿論、私はお母様の謂う通りに致しますわ!!
とてもお母様達がお怖くて私には、反抗や拒否は出来ませんもの!!
「ルヴィエル公爵婦人とお母様が仰られた通りに私は致しますわ。でも王城の行事なども欠席で宜しいのでしょうか?」
「「王城の夜会やお茶会などの行事も、安心をしてお休みしなさいな!!」」
「お休みさせて頂きます!!」
そんな感じにアレクシス様と私は、社交界から離れる事がお決まりになりました。私はお母様達に従うだけでございますが……。
「それとね、シャルメローラちゃんにお願いがあるのよぉ。私のお願い事をお聴きして下さるかしら?」
ルヴィエル公爵婦人からのお願い事でございますか!?
また何かお企みなされておられるのでしょうか?
このお願い事も不安でございますし、とても怖いのですが……このお願い事も拒否は出来ないのでしょうね…。
素敵過ぎる笑顔が怖いのです。お綺麗な笑顔で、『お断りはさせてあげませんわよ!!』と圧の掛かっている雰囲気なのですもの。
「ルヴィエル公爵婦人からのお願い事でございますか?私に出来る事なのでしょうか?」
「この私からお願い事はね、アレクシスのお世話をみてあげて欲しいのよ。まだお食事も摂ってないのもだけど、今の状況のアレクシスが困る事の全てのお世話をシャルメローラちゃんにお願いしたいなぁ~って、ねぇ良いでしょう?」
「アレクシス様のお世話なら侍女も侍従もおりますし大丈夫なのでは?」
「それが無理なのよね。シャルメローラちゃんは、今日の日中にアレクシスの奥さんになられたでしょう?だからシャルメローラちゃんにお任せするわ!!息子のお世話をお願いね!!」
そうルヴィエル公爵婦人は私に仰られる。
やはりお綺麗な笑顔でお願い事を仰られるのです。私にお断りのお返事は出来ないという、笑顔に圧のあるお願い事であります。
「そうね、メロはアレクシス君の奥様だものね。お世話とかして差し上げたら?それに貴女だってねぇ……」
メルロム侯爵婦人は含みのある言い方を、態とシャルメローラに笑顔で仰る。
「そ……そうでございますね。私が出来る範囲でアレクシス様のお世話をさせて頂きますわ!!」
そう私がお返事を致しましたら、ルヴィエル公爵婦人が嬉しそうに微笑まれました。とてもお優しい微笑みでございます。
メルロム侯爵婦人であるお母様は、私を見てクスクスと笑われております。まるで私の事を分かっておられるかの様に。
ルヴィエル公爵婦人もメルロム侯爵婦人も私も、お食事とワインを楽しんでいました。
暫くしてルヴィエル公爵婦人は、私の目の前に何かを置かれました。照明の光加減でキラキラ光る鍵を2つ。この鍵は何の鍵なのでしょうか?
私は目の前に差し出される様に置かれた物、2つの鍵を手に持ち見させて頂きました。何の鍵なのか疑問に思いながらでございます。
「シャルメローラちゃん、この鍵を貴女にお渡しするわね。失くさない様に気を付けてね!!」
「この2つの鍵は、何の鍵なのでしょうか?大切な鍵の様でございますが、私がお持ちしていて大丈夫なのでしょうか?」
「ふふふっ、この2つの鍵はね。アレクシスの拘束具の鍵なのよ。アレクシスのお世話をするのに必要だから、シャルメローラちゃんにお渡しするわ!!」
「えっ!?拘束具の鍵でございますか!?」
「そうなのよ。大切だから失くさない様に気を付けてね!!そして息子のお世話を宜しくお願いしますね!!」
そう仰られました。
拘束具の鍵……でございますか?
「この鍵ですが、私に必要になる事はないと思われます」
「シャルメローラちゃんに必要かはずよ。だって今日からアレクシスのお世話をするのですもの。鍵がないと困る事もあるでしょうしね?」
「……分かりました。鍵をお預かりさせて頂きます」
「その2つの鍵は、シャルメローラちゃんにお預けするのではなくて、鍵は貴女に差し上げるわ!!」
「……分かりました。……失くさない様に気を付けるように致しますわ」
この鍵も私に拒否は出来ない物であるのですね……。そう何も言わずにお従いした方が、私には最善なのでしょうと思います。
本日、何度もお断りが出来ない事ばかりなのです。学習能力はございますので、もう鍵の事について何も言わずに戴くことに致しました。
「メロ、貴女は優しいし面倒見が良い子だもの。メロの旦那様になられたアレクシス君を、ちゃんとお世話するのよ」
「そうなのよね、お茶会の時にメロちゃんはアレスに、お菓子を差し上げてましたものね。2人が仲良くお菓子を頬張っているところや、お互いにタルトやマドレーヌを食べさせていたのを見て可愛らしかったわ」
「そんな事もしてましたわね。メロはアレクシス君と一緒にお菓子を食べたり、お茶を飲んだり、お喋りするのが楽しかったみたいでしたわ。
お茶会が終わって別れる時に、メロは泣きそうなお顔をしてましたもの。余程、アレクシス君がお好きになったのでしょう」
「そうだったのね!?アレクシスもお別れの時に泣きそうだったのよ。『メロちゃんに会えない』って顔を歪めていたのよ。可哀想だけれど可愛らしくてねぇ」
メルロム侯爵婦人、いえお母様、……私の幼少期の事を暴露なさらないで下さいませ。私は笑顔でありますが、ルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人に何も言えずにおりますが……
とてもお楽しそうに過去のお話をされるのは、私には止めて欲しい事ばかりでございます。
これは私に対する罰ゲームなのですか!?
ルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人からの罰ゲームなのでございますか!?
お2人ともワインを飲まれ過ぎておられますよね?お綺麗なお顔が薔薇色でございます。
この場に居られない旦那様、ある意味でございますが、ここに居られず良かったでしょうね。旦那様のお母様が、アレクシス様の幼少期と初恋などを暴露なさっておられますのよ?
多分でございますが、旦那様もルヴィエル公爵婦人をお止めになられる事が出来ないかと、私は予想が出来ておりますの。
私は旦那様の事をお聞き出来て、とても良かったと思いますが……私の事も暴露されておりますので恥ずかしい限りでございます。
そしてこの場に旦那様が居られなくて、私は本当に良かったと思っておりますの。私の初恋を旦那様には……いえ誰にも知られたくございませんので。
なのにお母様はルヴィエル公爵婦人に、楽しそうにお話をなさっております。
今日から旦那様であるアレクシス様、いえアレス君のお世話を任されましたわ。アレス君はどこまでを予想が出来ておいででしょう。
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