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異様な光景ばかりです
とある公爵邸の嫡子の部屋
結婚式を終えて直ぐの花嫁の心境
結婚式の終えた後、私は自分の旦那様になられたアレクシス様との結婚生活は無理なのでは?と思っておりました。
私の旦那様になるお人なのに結婚式に、目の前で大切な幼馴染みの伯爵令嬢とご一緒にお過ごしになられて居たのですよ。
その光景を見て私は旦那様が幼馴染みの伯爵令嬢をお好きなら、私と離縁をなさって大切な伯爵令嬢と再婚なされば良いと思ってましたの。
本当でしたら今夜の晩餐の時にルヴィエル公爵夫妻と、私の両親であるメルロム侯爵夫妻に、結婚式を終えて直ぐではございますが…
離縁を提案してみましょうか?と9割方思ってましたのですわ…。
ですが余りにも食堂の雰囲気がお悪くて、私も何時に離縁をお伝えするのを切り出そうかとタイミングを見ておりました。
タイミングを見計らっておりましたら、それをお見通しであられたのでしょうか?
ルヴィエル公爵婦人に私は、食堂から別室へお連れされましたの。メルロム侯爵婦人もご一緒にでしたわ。
その別室でルヴィエル公爵婦人より、私の旦那様になられたアレクシス様の事をお聞きしましたのよ。
婚約がお決まりになった時に、お手紙や、お茶会、プレゼント交換など、全くございませんでした。
その上、本日の結婚式であっても他の女性とご一緒にお過ごしになられてます。
どう見ても私をお嫌いだと思っておりました。私との結婚をアレクシス様は、とてもお嫌でいらしたのだとしかお思い出来ない、アレクシス様の数々の行動。
なのですがルヴィエル公爵婦人は、アレクシス様が私のことをお好きだと仰います。まぁ…色々とあった理由をお聞き致しました。
ですが今まで私の心に降り積もった、不安や悲しみ、寂しさが消える訳でもございません。
アレクシス様に先程、謝罪をされましたが…
その謝罪をお聞きしたら、今までの『なぜなのお手紙をくれないのかしら?』、『なぜお会いになってくれないの?』、『なぜ結婚式なのに私の隣に居ては下さらないの?』と悲しみと不安と、嫉妬などが溢れておりました。
私の中で吹き荒れる様な心境を我慢が出来ず、先程のアレクシス様の謝罪の時にぶつける様にお伝えしました。
それで私の中でのモヤモヤとした気持ちも少し良くなったのですが、私の今までの気持ちをアレクシス様にぶつけて宜しかったのかは分かりません。
それに私は自分の気持ちを伝えた事が、今になって恥ずかしいのです。私の中で吹き荒れる気持ちをアレクシス様にお伝えしたので…
もっと冷静に穏やかにアレクシス様にお話し出来たら良かったのにと、今さらではございますが思いまして後悔しております。
そんな私ですが今、アレクシス様のお部屋に居ります。
アレクシス様のお母様に、アレクシス様のお世話をお頼みされたからでございます。
ですが少し前にアレクシス様のお母様であるアメリア様が仰られた……初夜も含まれておられるのでしょうか?
アメリア様は『侍女長たちに頼んであるから大丈夫よ』って仰られたのですよね…。そしてラナエとララーナが自分の仕事で、良い仕事したわ!!って誇らし気に遣りきったお顔をされていた。
やはりお世話だけではないのでしょうか?考えていても分からないので、考えるのを諦めました。
取り敢えずは、アレクシス様のお風呂ですよね。
アレクシス様に付いたバードン伯爵令嬢の女性物の香水臭いのが嫌でした。そんな臭いを付けて私に近付かないで欲しいと言った事から、アレクシス様が臭いを消すのに入浴をすると言われたのです。
浴室の方に行くとラナエとララーナが色々と準備をして下さっていた。お湯加減を確認しても良い温度に準備されてある。それに入浴の際にお湯に入れる花の花弁や、精油とハチミツを調合した物を入れた瓶も準備されている。
多分、ラナエだと思われますがメモの様な物があり、精油とハチミツの調合した物が入っている瓶、1つをお湯に混ぜる様にと書かれてあった。
まだお湯には何も入れられておらず、何をお湯に入れるか迷っているのです。精油と蜂蜜が調合された物が入った瓶の香りを確認してみました。
蓋を開けたらフワリと甘いフローラルの香りが香って、先程のイライラとした気分が落ち着く様でした。瓶のラベルにフローラル系とあり、何が入っているかも書かれてます。精油はクラリセージ、ラベンダー、オレンジとハチミツとあった。
私はその1つの瓶をバスタブのお湯に混ぜてみました。お湯に混ぜたら浴室にフワリと香りが漂っていきます。
少し香りを嗅いでホッと息を吐き、アレクシス様が居られる所へ戻りました。
アレクシス様のお仕事が終わるまで、私が座って待っていた場所にアレクシス様が居りました。
ソファに座って何かを考えておられるのか、膝の上で指を組まれており、両手を見つめる様にされてます。
お声をお掛けするか迷いましたが、お風呂のお湯が冷めたら大変と思いました。
「お風呂の準備が出来ましたけど、いかが致しますか?」
そうお声掛けをするとアレクシス様が、こちらを見ましたが頬が赤くなっておられる?
なぜ頬が赤いのでしょう?と気になりました。
「アレクシス様、体調がお悪いのですか?」
心配になったので座られているアレクシス様の近くへ行き、お綺麗なお顔を見ながら彼の額に掌を当ててお熱がないか確認してみました。
するとアレクシス様が困った様な表情をされ、拘束をされておられる手で私の手を掴まれたのです。
そして私の手を掴まれたまま、困った様に仰られました。
「その姿で近付かれるとメロに触れたくなるのです。貴女を襲ってしまいそうで…」
「アレクシス様、何を仰られるのです?既に私に触れられておりますでしょう?先程も私を抱き締めておいででしたよ。お忘れですか?」
「確かに貴女に触れてましたが…。私がメロに触れて良いのですか?」
そう仰られてからアレクシス様は掴まれていた私の手を、お綺麗なお顔の方へと持って行かれました。そして瞳を閉じて私の掌に口付けをされました。
お綺麗なお顔を見てるだけでもドキドキとするのに、掌ですが口付けをされて自分のお顔が赤くなっていると分かります。
それにしてもなぜ掌に口付けをされたのでしょうか?
アレクシス様と私は既に結婚しておりますし、今さら【求婚】ではございませんよね?
それでは【懇願】でしょうか?
アレクシス様は私に『メロに触れて良いですか?』ってお聞きになったのですよね?
それは私に触れたいっていう懇願でございますか!?
既に私のお顔が赤くなっていると思いますが、今度は熱を持った様に熱く感じます。
私はアレクシス様に触られると恥ずかしいのです。でも触られるのが嫌ではありません。
「アレクシス様に触られるのは嫌ではございません。ですが恥ずかしいので私に触れないで下さいませ。……駄目ですか?」
アレクシス様に触られるのは嫌ではないのですが、とても恥ずかしいので私に触れないで欲しいって思うのは駄目なのでしょうか?
そうアレクシス様にお聞きしたのに、なぜか急に立ち上がられて私の耳、喉、首筋に口付けされました。
私は触れないで欲しいって伝えたはずでございますが?
「シャルメローラが可愛らしくて我慢出来なくて、ついついキスしてしまってゴメンね?
その姿で貴女は私を試しているのか、それとも私を誘惑しているのですか…?」
私はアレクシス様を見上げて本当にズルイお人ですわね。って思いました。
こんな困った様な笑顔でお謝りになられたら、口付けされても怒れなくなります。
そもそも私の姿がアレクシス様を誘惑ですか?その様なことはないと思いますが…。
……!!!
ラナエとララーナに着せられた寝衣!?
私は自分の身に付けた寝衣を着た姿を鏡で確認して、大半がレースばかりで身体が透けて見えていた事を思い出しました。
「アレクシス様を誘惑してません。それと私を見ないで下さいませ!!」
そう私はお伝えしたのですが、アレクシス様は掴まれていたままの私の手を引き、自分の方へ私を引き寄せました。
トンとアレクシス様の胸に当たりました。
「ゴメンね……やっぱりシャルメローラに触れないとか、見ないとか出来ないよ。それと私のことをアレクシスではなく、貴女と出会った時の様にアレスと呼んで欲しい。駄目かな?」
「アレス、触られるのは……駄目です!!」
「私は貴女をメロと呼んで良い?」
「もうお呼びになられていらっしゃいますよ?」
「シャルメローラ有難う。そして私の大切なメロ愛しているよ!!
それで私の入浴だけど準備が出来たと言ってたね?」
「……私もでした。ラナエとララーナが準備して下さってましたから、お湯加減も大丈夫でございます。お風呂へ行かれますか?」
「『私もでした』って事は、今は嫌いということ?早く風呂に入って臭いを消さないと、愛しい人に嫌われてしまうね。
お母様から入浴時には拘束具を取り替える様に言われてるけれど、シャルメローラは知っていますか?」
「確かにこの臭いのアレスは無理だわ。ドギツイ甘ったるさとスパイシーな臭いは無理!!
アメリア様から鍵を戴いております。拘束具を外しますね?」
そう私がお伝えしたらアレクシス様は、おもむろにご自分の臭いを嗅がれていた。そして落ち込んだ表情をなさっておられる。
「シャルメローラ、本当にゴメンね。早く入浴して臭いをけすよ」
そう仰られてからソファにお座りになられ、そして両手首と両足首を私の方へ出された。
「では外しますね」
私はアメリア様から戴いた銀色の鍵で、両手首と両足首の拘束具をお外ししました。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ご自分で入浴されるのではないのですか?
私はアレクシス様の両手首と両足首の拘束具をお外しして、お風呂へお見送りして終わると思っておりました。
「お風呂に行ってらっしゃいませ!!」
と笑顔でアレクシス様をお風呂へお見送りをしたのです。
「シャルメローラも一緒にじゃないと入浴に困るよ。着ている洋服を脱いでから、この拘束具を付けるのだし…」
「えっ!?お風呂も拘束具をお付けして入られるの?」
「そうだよ。だからお世話係にシャルメローラが頼まれたのですよ」
私が瞳を瞬かせて驚いているのに、アレス君はとても嬉しそうにお綺麗な笑顔でございます。
「今は拘束されておりませんし、ご自分でお洋服をお脱ぎになられますよね?」
「シャルメローラが脱がしてくれないの?私のお世話してくれるのでしょう?」
「拘束されておりませんから、ご自分でお脱ぎ下さいませ!!」
アレクシス様は甘える様に私に仰られます。ですが結婚式を終えた日の夜に、旦那様の拘束具を外して、着ている物をお脱がしになって、お風呂のお世話って異様な光景でありませんか?
そもそも旦那様に拘束具が付けられておられる事からして異様な光景では?と私は思っております。
結婚式も異様な光景でしたが、この光景も異様でございますよね?
アレクシス様が私の手を掴まれて浴室の方へ行かれました。そして渋々とではございますが、ご自分でお洋服をお脱ぎになられております。
この場合、私が眼を向ける所に困るのですが……アレクシス様は気にされておられません。
脱ぎ終わったアレクシス様は、入浴用の拘束具を私に差し出しました。
致し方なく差し出されたので、拘束具を受け取りました。そしてアレクシス様の両手首と両足首に拘束具をお付けしました。
私はバスタブのお湯をかき混ぜお湯加減をみて、入って大丈夫な事をお伝えしました。
「お入りになって大丈夫ですわ」
「メロも一緒に入る?」
そう私にお聞きになられながら、バスタブに入られた。
私のお顔が真っ赤になってると思います。
「入りません!!」
「私のお世話で濡れてしまうかも知れないよ?」
「気を付けますから大丈夫です!!」
「頬が赤くなってるよ。本当に可愛くて困るな」
そんな風にアレクシス様がお楽しそうに、私に仰ってこられるのです。
私はアレクシス様の髪の毛と、身体を洗っておりますのにね。
アレクシス様の髪の毛はサラサラとしてらして、私の髪の毛より美しいかも知れません。
そして余り見ない様にしながら首、お背中、両腕を洗いました。
「あとはご自分で洗って下さいませ」
「メロが洗って下さいませんか?」
「もう拘束具が付いてらしてもご自分で洗える所ですわ」
そう私が応えるとアレクシス様はクスクスと笑われていた。多分、私の反応を見て楽しんでおられるのでしょう。
そしてご自分でお洗いになれる所を洗われた。
お湯に混ぜた香りで気持ちが落ち着いてきましたわ。ドギツク甘いスパイシーな香りでなく、柔らかくて甘いフローラルの香りに癒されました。
暫くしてアレクシス様の頬が赤くなられてきたので、身体が温まられたかお聞きしました。
「温まれましたか?」
「もう温まりました。出ようと思うのでシャルメローラ手伝って下さい」
「分かりました」
アレクシス様がバスタブから出てこられ、私は見ない様にしながらバスタオルが置かれていたのを手に取りました。
「アレクシス様、お拭き致しますね」
「シャルメローラお願いします」
私の方を見たアレクシス様は、バスタブに入られて温まれた時より頬が赤くなられておられました。
お返事がありましたので、見ない様にしながらお拭き致しました。
そして拘束具を鍵でお外しして、アレクシス様にお洋服をお渡ししました。
「アレクシス様、こちらを着られますか?」
「シャルメローラが着せてくれるの?」
「ご自分で着て下さいませ!!」
「シャルメローラに断わられて残念です」
そう仰られた割にはお綺麗な笑顔でございます。髪の毛から水滴が落ちておられたので、タオルでお拭きしようとしたのですが、アレクシス様の背が高くて届きませんでした。
後で座られた時にお拭きしましょう。私はアレクシス様から少し離れて、お洋服を着られるのをお待ちしてました。
ラナエとララーナがご用意して下さったお洋服を、ご自分で着られたらしくお声を掛けられました。
「シャルメローラ終わりましたよ」
「それではお付け致しますね……バスローブですか!?
それで宜しいのでしょうか?」
「これで良いよ。もう眠るだけだしね」
そう仰られたアレクシス様ですが、お風呂から上がられたばかりでらっしゃるからか、色気が出ておられますよね?
髪の毛から滴る雫とか、バスローブから覗く鎖骨とか……どこに眼を向けたら良いのでしょうか?
私はお洋服をお渡ししたはずですが、アレクシス様はバスローブを着られておりました。水気を取る為でしょうか?
「それでは拘束具をお付けして宜しいですか?」
「お願いします。シャルメローラを襲わない様にね」
アレクシス様は私に近付いて、耳に口付けをされてから低く甘いお声で囁く様に仰られたのです。
突然の事に驚き私はアレクシス様を見上げました。するとお綺麗な笑顔をされたまま、私の首筋に唇を当てられたのです。
「アレクシス様、既に襲っておられませんか!?」
「これは襲ってないでしょう?シャルメローラにキスをしただけです」
「それって襲っておりますよ!!アレクシス様は、バードン伯爵令嬢にもなさったのですか?他の人にも……」
私は不安になりアレクシス様を見上げてお聞きしました。とても女性に慣れておられるので、他の女性にも口付けをされたのでしょうか?
「メロだけですよ!!貴女以外にはしません!!
シャルメローラは誰かにキスされたのですか?もしメロが私以外の人とキスをしたら嫉妬してしまいます。
お願いですから浮気しないで下さいね」
そう仰られてアレクシス様は、両腕で私を閉じ込める様に抱き締めました。
「アレクシス様はバードン伯爵令嬢も抱き締められたのでしょう?あんなに大切そうに接しておられましたもの。
私は……そうですね、好きな人に抱き締めて貰った事がありますわ!!そして頬にキスも」
私は幼い頃の事を思いだしクスクスと笑ったのです。
すると急に抱き締める力が強くなり、苦しくなってきました。
「僕は幼馴染みを抱き締めていないよ。確かに大切な幼馴染みだったけれど、メロにした様に抱き締めてないし、キスもしていない。
メロは僕を信じてくれないの?
ねぇ、メロは、僕以外の人としたんだね?」
アレクシス様の言葉遣いが変わられた?それよりも苦しいですよ。
そもそも疑われる様な事ばかりをなさっていらっしゃったのは旦那様、貴方様の方でありますわよ!!アレクシス様!!
「アレクシス様、私に疑われてしまわれる様な事ばかりをなさっておいででしたのは、旦那様…貴方様ですわよ?
それにアレス君以外にキスはされておりませんわ!!」
アレクシス様、何気に身体を鍛えてらっしゃるのですね?
私も多少は鍛えておりますが、アレクシス様は結婚早々に妻を抱き締め殺すのでしょうか?
私のお返事をお聞きになられないくらいに、嫉妬されておられるのですか?
いい加減、私も苦しいのですよ…
私はふぅと息を吐きました。
そして背伸びする様に爪先立ちになって、アレクシス様のお顔にお顔を近付け、頬と首筋に口付けを致しました。
まだ駄目なのでしょうか?致し方ないですね。
彼の唇に唇を重ねてチュと致しました。瞳を開きアレクシス様の様子を見ると、眼を見開かれて驚かれたご様子です。
なぜ頬と首筋に口付けをして差し上げた時に全く反応がなく、唇で反応があるのでございますか?
「アレス、ちゃんと私のお返事をお聞きになられておりました?
そして旦那様、私を抱き締め殺すおつもりなのでございますか?
結婚して早々でございますが、私をお殺しになられる程の嫉妬をなさらないで下さいませ!!」
我にかえられたのでしょうか?アレクシス様の力のお加減が全くない抱擁は、私を抱き締め殺す抱擁ではなくなりました。
私の背骨が折れたらどうしてくれるのでしょう?
アレクシス様は瞳を瞬かせて私を見つめておられます。暫く微動だもせずに私を見つめてらっしゃいます。
「アレス君、大丈夫ですか?正気に戻られました?」
「……シャルメローラ?君からキスを?」
「そうでございますよ。私がお声をお掛けしても全く反応もなさらなかったので、本当に仕方なくでありますけれど?
そろそろ腕の力をお緩めしてくださいな。」
そう私がお声をお掛けしてるのに、アレクシス様は苦しくない程度に腕のお力をお緩めになっただけでした。
「ねぇシャルメローラ、さっき仰られた事は本当ですか?僕がキスした以外は誰にもされていないのですか?
それと貴女から僕にキスをして下さったのですね」
「アレクシス様、落ち着いて下さいませ!!
そして何気に手がお尻を触っておられますので、もう私からいい加減離れて下さいな。まだ拘束具をお付けしておられませんので」
「シャルメローラ怒ってますか?」
そう私にお聞きになられるアレクシス様は、また捨てられた仔犬の様に私を見つめておられるのです。
そして渋々と私を離して下さいました。
「アレクシス様が嫉妬をなさっておられたのと、私を抱き締め殺すような抱擁には怒っておりますわ」
いくら嫉妬をなさったとしても、そんなに強いお力でだと抱擁ではないですわ。それに酷過ぎではございませんか?
結婚して直ぐに夫に嫉妬されて殺されるだなんて、小説や劇でもないのですよ!!
「シャルメローラ、本当にゴメンね。貴女にしてきた数々の行動から、私を信じて貰えないのは分かっています。
でも貴女が誰かとキスをしたと思うと、私のシャルメローラなのにって思ったし嫉妬をしてました」
「アレクシス様が私以外に口付けをされていないと仰るのなら、そのお言葉を信じて差し上げます。
ですが結婚して早々に旦那様に嫉妬されて、お力加減もなく抱き締め殺されたくはございません!!それと拘束具をお付けしますよ」
「本当にゴメンね」
そう私に謝罪されてシュンと落ち込まれておりました。本当に仕方のないお方でございます。
私はアレクシス様に両手首と両足首に拘束具をお付けして、テーブルとソファがある所へ行きました。
アレクシス様にソファにお座りになって下さる様にお声をお掛けした。
「アレクシス様、こちらにお座りになられて下さい」
ソファにお座りになられたので、彼の髪の毛をタオルで優しくお拭き致しました。アレクシス様は瞳を閉じられておられます。
先程は立たれてましたからお拭き出来ませんでしたし。
髪の毛の水気が取れてから香油を少量だして保湿をしております。
アレクシス様からバードン伯爵令嬢の臭いがしなくなりました。あんなドギツイ臭いのした異性って、お近づきしたくございませんしね。
アレクシス様の髪の毛や身体から、先程のお風呂のフローラルの香りがしております。私の好きな香りなので良かったです。
「アレクシス様、髪の毛も乾きましたしお食事になさいますか?」
瞳を開けられアレクシス様は私を見つめて、頬を赤く染められていらっしゃる?
「食事を頂こうかな。シャルメローラも召し上がらないですか?」
「私もですか?私は軽食を頂いておりますので、アレクシス様が召し上がって下さい」
拘束具の鎖でサンドイッチをお取りになられるのが大変なのでしょうか?と思い、サンドイッチを手に取りアレクシス様のお口へ近付けました。
「アレクシス様、どーぞ」
「シャルメローラ、有難うございます!!」
アレクシス様はお口を開けてサンドイッチを召し上がられた。やはりお腹を空かしていらしたようで、ラナエとララーナが用意して下さっていたサンドイッチ、ポテト、チーズを全て召し上がられました。飲み物をお入れしてアレクシス様に差し出しました。ただ予想外だったのはアレクシス様が私の指まで口に入れ嘗めとられるのです。恥ずかしいです!!
アレクシス様はティーカップに入っているお茶の香りを楽しまれ、ゆっくりと飲まれている。
「カモミールティーだね。良い香りだね」
「そうですね。アレクシス様が少しでもリラックス出来る様にと思いまして」
「有難うございます。シャルメローラにお聞きしますが……初夜はどうしたいですか?」
何の前触れもなくアレクシス様は、私に初夜をどうしたいかお聞きになられたのです。
確かに今夜が初夜でございますけれど、なんてお返事したら宜しいのでしょうか?
「アレクシス様は、どうお考えなのでしょうか?」
「シャルメローラが嫌でなければと思っています。もし私に触られたくないのでしたら仰って下さい」
「何度かアレクシス様にお伝えしましたが、貴方様に触られる事は嫌ではありません。恥ずかしいので触れられたくないのです」
「それだとシャルメローラ、拒絶にならないよ。今夜が初夜だから貴女に触れてしまうよ?」
「私は貴方がバードン伯爵令嬢がお好きだと思っておりました。ですから初夜はないと……。それに本当にアレクシス様が私にお触りになると恥ずかしいのです!!」
「そう思われていたのか……確かに本日の結婚式と晩餐頃までの私の行動だと、私がバードン伯爵令嬢を懇意にしていると思われるでしょう。
でも誤解もなくなりましたよね?
それに私がシャルメローラに触れるのが、貴女は恥ずかしいと仰られてるよね?なのに貴女は自ら私に触れるたのは平気なのですか?」
そうお聞きされて私が自らアレクシス様に触れた?
それはアメリア様がアレクシス様のお世話をする様に仰られて、アレクシス様のお世話をする為にですよ?
そもそも私は結婚式とその後の自分の旦那様になられた貴方様の素行がお悪く、私が離縁を考えておりましたら、それをルヴィエル公爵婦人はお見通しをなされていらしたのでしょうね?
離縁を考えておりましたのに旦那様、貴方様のお世話をする事になるとは思ってもおりませんよ!!
離縁をお考えしておりますという人が、どう致しましたら初夜だなんて、お考えになられるとお思い致しますのでしょうか?
普通の方でございましたら頭から【初夜】というモノの破片さえ残さずに、ご自分の頭から初夜など完全に抹消しておりますわ!!
ルヴィエル公爵婦人でありアレクシス様のお母様が【初夜】のことを、話題に出されなければ思い出しも致しませんでした。
その前のルヴィエル公爵婦人よりお願いといわれますが、お断りをお許しにならない強制的なお願いで【アレクシス様のお世話をする】でございます。
アレクシス様のお世話を今夜からするという方が、私の頭に先にございましたし、その後になってから破壊力のある初夜のお話しになったのです。
ですので今夜に初夜があるかも知れない?と私が思ったのは、ルヴィエル公爵婦人にお連れされ別室に行ってから、そのお部屋を退室する数分前の事であります。
初夜を頭から抹消しておりましたのに、そこに初夜になるかも知れないとなりましても、心の準備などしておりません。
もとより初夜はないと思っておりましたからね。
どう致しましょうか……
「そうです。ですので私は、初夜を頭から消し去っておりました。私がアレクシス様に触れたのは、アレクシス様のお世話をする為でございます」
そう私がアレクシス様にお応え致しましたら、落ち込まれておられる様であります。
「それでは先程のシャルメローラからのキスは?」
「アレクシス様に抱き締め殺されない様にが大半です。本当に苦しかったのですよ!!なので致し方なくですわね?
ですがアレスのことを嫌いと思う事が出来ないので……それ以前に流石に好きでもないお方に自ら口付けを致しませんわ!!」
そう私がアレクシス様にお伝えしたら落ち込まれていらした表情から、男性なのに花が綻ぶ様なお綺麗な笑顔をされました。
「大切な愛しいシャルメローラを強く抱き締めていたのは、無意識にだったから気を付けます。
メロ、私を好きって事ですよね?とても嬉しいです」
なぜか初夜のお話しから私がアレクシス様に、告白をしている様になっておりました。とても恥ずかしいです。でもお伝えしないと捨てられた仔犬の様に、アレクシス様が悲しげに私を見つめるので……これが計算されてなら放って置くのですけれどね。
私の旦那様は本当にズルイですし、仕方のないお方ですわ。
それにしても初夜、どう致しましょう……そう思って考えましょう。
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