よし!!結婚して早々に離縁しましょう!!

☆明刹☆

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異様な光景ばかりです

公爵婦人はヘタレな息子が心配な様です





 愛息子がとてもヘタレで心配なのです!!





 本日、無事にだったかは良く分からないが、公爵家と侯爵家の結婚式が終わって、公爵邸で晩餐や飲酒などして過ごしていた。

 そんな公爵邸の一室での事だった。


 先程の緊張感溢れる会話から、また一変している部屋の雰囲気である。
 ワインを飲みながらミートパイを摘まみ、公爵婦人が威力のある発言を後でするのだが。


 先程までは、とある伯爵令嬢の事での対応をお話しされていた。その時には公爵婦人と侯爵婦人は、とてもお綺麗な笑顔でどう始末するかを考えお話しされていたのだ。
 その時の室内の雰囲気は、暗雲が広がり稲妻が走り、雷鳴が轟く、いつ落雷があるか分からない空模様のようであった。


 そんな雰囲気が急に一変したのは、公爵婦人の一言からだった。


 「ねぇ…シルビア、シルビアはシャルメローラちゃんを心配じゃないの?ほら今夜って初夜じゃない?」


 「メロのことは心配ではあるわよ?あの子、アレクシス君の事で色々と溜め込んでましたし、それよりシャルメローラがキレてアレクシス君に迷惑を掛けてないかとか……。

 それに多分、シャルメローラは晩餐の時にアレクシス君と離縁を考えていたでしょうし、今夜が初夜って事も頭から消し去ってたと思うのよね」



 大切な親友からのお返事に、とても申し訳なさそうなお顔をされる公爵婦人です。



 「不甲斐ない息子で本当に申し訳ないです。でもシャルメローラちゃんがキレる?そんな事はないでしょう?」


 「まぁ……アレクシス君の事はアメリアからお聞きして呆れたのと後は面白かったわ。

 あの子の母親だから分かるのよ。シャルメローラはね、我慢し過ぎて感情が爆発すると相手の痛い所を突くの、相手がとても落ち込むまでね。
 多分いや絶対にシャルメローラはアレクシス君に、自分の抑え切れなかった感情をぶつけたわ。そしてアレクシス君の痛い所ばかりを突いてるはず……こんな娘でアレクシス君ゴメンね」



 ルヴィエル公爵婦人は親友である侯爵婦人の仰った事が、全く信じられなく瞳を瞬いた。
 親友であるメルロム侯爵婦人は、可憐かれんはかなげな容姿をしている。
 その遺伝子を引き継いでか、その娘も可憐で儚げなのだ。メルロム侯爵婦人は、その見た目とは違い強いのをルヴィエル公爵婦人は知っている。
 だからと言ってメルロム侯爵婦人の愛娘が、その見た目からして強いとは思えないのだ。



 「喧嘩を売る訳じゃないけれど……シルビアってその容姿でおられるのに強いわよね。でもね、貴女の愛娘は見た目からして壊れそうな、可憐で儚げなのよ?強そうに全く見えないのです。シルビアじゃないのだもの…」


 そのルヴィエル公爵婦人の仰った事をお聞きしたメルロム侯爵婦人は、お綺麗なお顔をしかめた。



 「それを貴女が仰るの?アメリアだって見た目が艶やかな美人でありますのに、お強いですわよね」


 「まぁ……お互い外見と違うわよね。それで良いでしょう?私はシルビアに喧嘩を売ってる訳じゃないのよぉ~。だから怒らないでゴメンね?」



 ルヴィエル公爵婦人はメルロム侯爵婦人に、上目遣いでお謝りしたのである。叱られて捨てられない様に縋る様な子供、もしくは捨てられた仔犬の様だ。その仕草がそう誰かに似ておられる。


 それを見ていたメルロム侯爵婦人は、ルヴィエル公爵婦人の可愛らしい感じというか、放って置けない感じに毎回に仕方のない人ねっと許しているのだ。


 そんな彼女が自分の心配事、相談とか、話題に出したい時には決まって不安そうな表情だったりしたのだ。今も表情が不安そうなのだから。



 「本当に仕方のない人ね、それでアメリアは何が心配なのかしら?私にシャルメローラのことをお聞きしたのですから、アレクシス君のことなのでは?」



 ルヴィエル公爵婦人はメルロム侯爵婦人に、息子であるアレクシスが心配とは一言も伝えていない。それなのにメルロム侯爵婦人から、アレクシスの事で何をお話ししたいのかとお聞きされた事に驚いたのだ。



 「食堂から私が1度退室したでしょう?その時にね、アレクシスに『今のままならシャルメローラ嬢に貴方は離縁されて捨てられる』って教えてあげたのよ」


 「そう……それがどうかしましたの?」


 「そうしたら『お母様、お願いです。シャルメローラ嬢と離縁にならない様にするには、どうしたら良いのでしょうか?』って私に聞いてきたのよ。この様なヘタレな息子でシャルメローラちゃんが愛想尽かして離縁にならないかしら?」


 ルヴィエル公爵婦人の心配事が愛息子の恋愛ではなく、【結婚早々に息子の奥さんが息子に愛想尽かして離縁されるのでは?】と言いたいらしい。


 メルロム侯爵婦人にも息子が居るが、そんな心配をした事がなかったのだ。ルヴィエル公爵婦人の息子のお話しをお聞きして、確かにルヴィエル公爵婦人が仰る通りに“”と思った。
 ルヴィエル公爵婦人の愛息子のアレクシスは、ルヴィエル公爵婦人に良く似ておりお綺麗な容姿である。



 まぁ……美貌びぼうが良ければヘタレな男性でも良いと思える人であるなら、結婚して直ぐに離縁はないと思われる。



 メルロム侯爵婦人の愛娘がヘタレな男性を許容範囲かは、娘の好みの問題で……分からないのであるが。


 「アメリア……貴女の愛息子のアレクシス君は女々しいのかしら?」


 「アレクシスは女々しくはないと思うわ。ただのヘタレなだけで……。だから今夜の初夜も心配なのよ!!」


 「確かに貴女からお聞きしたアレクシス君は、とてもヘタレだと思ったわ。でも流石に初夜に……ヘタレだとね」


 「でしょう?私の心配を分かってくれる?あの子、多分だけどシャルメローラちゃんに『シャルメローラ、お願いですから私に愛想尽あいそうつかして離縁しないで下さい。私を嫌わないで。私を捨てないで下さい。メロを愛してます』とか言って縋ってそうなのが予想出来てるのよね……」


 「そうねぇ、アレクシス君が縋って懇願した場合だけど、シャルメローラなら多分……呆れるというか、『ズルイです』とか『仕方のないお人ですね』ってアレクシス君にほだされて赦していそうだわ」



 「えっ!?何かそれってシルビアみたいね?」


 「そうね、私がアメリアの『』とか『』っていう謝罪に絆されて、赦してるようにってことね」



 そう呆れた様にメルロム侯爵婦人がルヴィエル公爵婦人に指摘をした。するとルヴィエル公爵婦人は、大輪の花が綻ぶ様な笑顔で誤魔化した。


 この時に親友であるメルロム侯爵婦人は、ルヴィエル公爵婦人を『本当になのだから』と思っていた。


 ルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人の関係が、異性同士の関係に変わったのが、ルヴィエル公爵婦人の愛息子とメルロム侯爵婦人の愛娘のようだ。



 「ねぇ、シルビアいつも有難う!!大好きよ!!」


 そうルヴィエル公爵婦人は笑顔で、親友のメルロム侯爵婦人に気持ちを伝えたのだ。



 「私もアメリア、大切な親友で大好きよ!!」


 少し恥ずかし気にメルロム侯爵婦人も、笑顔で大切な親友に気持ちを伝えた。


 まだまだワインを飲み、チーズなどを摘まんで会話を楽しまれている。



 ルヴィエル公爵婦人の愛息子は、まさか自分の母親が親子の会話を暴露しているとは露とも知らずに。
 そう息子がヘタレだと息子の奥さんの母親に教えているなど、この公爵邸で誰も思わないだろう。


 だが、その会話を聞いてる人が居たのだ。
 このルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人の使用している部屋にお控えしていた人物だ。


 そう、この部屋の担当の侍女である。


 







********************








 
 とある公爵家の使用人の女子寮にて





 先程まで公爵邸の使用人休憩室では、色々な情報が飛び交っていた。侍女長、執事長、侍女達、侍従達、執事達が休憩室で愉しいお話しをして居たのだ。


 侍女長と会話を愉しんでいた侍女は、侍女長の言った意味が分からず。侍女長に意味を教えて貰っていたのだ。


 その場には執事長も居られて、侍女長と執事長という上司達の毒舌や嫌味がハンパなかったというのは、使用人休憩室に居た全ての使用人達が皆聞いていた。


 そんな使用人休憩室も解散になる頃に、1人の侍女が侍女長と侍女にお声掛けしたのだ。
 その侍女は、そうルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人の部屋の担当であった侍女だ。


 もう夜も遅い時間帯の為、使用人休憩室を使用出来ない。なので公爵家の使用人の女子寮へ移動したのだ。

 


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




 もう夜も遅く使用人休憩室を片付けをし、戸締まりをし終えた頃にだった。
 1人の侍女が侍女長と侍女にお声を掛けたのだ。


 「侍女長、ララーナ、今日も1日お疲れ様でした。お2人ともお疲れだと思います。ですが、この後にお時間を頂きたいのですが……宜しいですか?」

 
 そう申し訳なさそうに侍女は言った。



 「貴女もお疲れさま。あら、どうかしたの?」


 そう優しくお返事をしたのは彼女の上司である侍女長だ。



 「お疲れ様でした!!エリー、何かあったの?」


 そう心配気にお返事をしたのは、お声掛けた侍女の仲間だ。
 


 「あの……ちょっと報告というか、相談なのですけれど、ここでは、ちょっと……」


 そう困った様に言う侍女を見て、上司である侍女長が女子寮へと提案した。



 「何か重要なことなのね?もう時間も遅いですし女子寮へ戻ってからにしましょう」


 「そうですよね。もう休憩室も施錠する時間ですし」


 

 そうして今は公爵家の使用人達の為の寮の、女子寮へ戻って来ているところだ。
 侍女達の部屋は個室ではないので、侍女長の部屋に集まる事になった。


 「取り敢えず、ララーナとエリーは自室に戻って着替えてから来なさいね?ちゃんと待っておりますから」


 そう侍女長に言われて2人の侍女は、急いで自室へ戻り普段着に着替えた。そして上司である侍女長の部屋に向かった。


 部屋の扉をノックすると侍女長が扉を開き、室内へ入る様に促した。



 「2人とも早く中にお入りなさい。もう静かだから廊下だと声が響くわ」


 そう言って侍女長は2人の部下を室内へうながした。侍女の2人は上司に従い、上司の部屋に入って行った。



 「夜分遅くにすいません。お邪魔します」


 「侍女長、お邪魔します」


 「好きな所に座って待ってて。ハーブティーをお入れするからね」


 
 侍女長の部屋には落ち着いた色の物が置かれていた。奥の方へテーブルとソファが置かれている。

 
 侍女長に言われた2人の侍女は、テーブルとソファの方へ行き、落ち着いた色のソファに座って上司を待っていた。

 
 暫く待っていると侍女長がハーブティーを入れて、ティーポットとティーカップを持ってきた。
 2人の部下にハーブティーを入れて差し出した。


 「「侍女長、有難うございます!!頂きます!!」」 


 「どうぞ召し上がれ。お口に合えば良いけれど」


 そうお礼を言い2人はハーブティーを一口含んで飲んだ。



 「侍女長、これってジャーマン・カモミールですよね?」


 「ジャーマン・カモミールに甘みがあります。ハチミツですか?」


 「そうジャーマン・カモミールにハチミツを少し入れたのよ」


 「仄かに甘くて美味しいです!!」


 「疲れが取れる感じと癒されますね!!」

 
 「それなら良かったわ。それでエリー、貴女は何が相談したかったの?」


 そう上司にお聞きされた部下は、佇まいを直して上司である侍女長と、侍女仲間のララーナにお話しを切り出した。



 「あの……私は本日、ルヴィエル公爵婦人とメルロム侯爵婦人の使用された部屋を担当してたのです」


 「ええ、そうね。エリーは急遽きゅうきょ、ルヴィエル公爵婦人が食堂ではなく、別室を使用されると仰られて、別室の準備をお願いしてたわね」


 「そういえば、先程の使用人の休憩室で皆で誰が何処の担当だったか。そんなことを言っていてエリーは『公爵婦人のアメリア様とメルロム侯爵婦人の使用された部屋が担当でした。やはり異様な光景でした!!』って仰っていたわ!!」


 そう上司である侍女長と侍女仲間が、思い出す様に侍女へお返事をしたのだ。



 「そうなのです。別室でのルヴィエル公爵婦人であるアメリア様と、メルロム侯爵婦人のシルビア様とシャルメローラ様が、その部屋をご使用されておられたのですが…。

 シャルメローラ様が居られた時には、なぜアレクシス様が婚約がお決まりになったのに、シャルメローラ様にお手紙とか、お茶会とか、プレゼントをされなかったのか。そして…あのアレクシス様の初恋のご相手なのですが、ご結婚されたシャルメローラ様だったとかという会話をなさっておりました」


 侍女長と侍女仲間は侍女がお話しした内容をお聞きして、2人とも驚いて瞳を見開いて叫んでしまったのは致し方ない事だろう。

 あの大切な幼馴染みであるバードン伯爵令嬢を懇意こんいにされておられる、ルヴィエル公爵家のご嫡子様、アレクシス様の初恋のご相手が居た事にも驚いていた。
 あんなにバードン伯爵令嬢のマリアナを優先にしておられ、お茶会や、オペラ鑑賞などをご一緒にお過ごしされる事が多いのだから、バードン伯爵令嬢が初恋のご相手と思われるだろう。
 あのアレクシス様のがバードン伯爵令嬢でおありではなく、ルヴィエル公爵家のアレクシス様のご婚約者である、メルロム侯爵家のが初恋のお相手だったのだから。





 「「えーっ!!?」」



 夜分に侍女長と侍女の叫び声が女子寮全体に響いたかも知れない。



 「それ本当にですか!?」


 「アレクシス様の初恋のご相手がシャルメローラ様……信じられないわ……」


 「それは本当らしいのです。アメリア様が仰っていらしたので、アレクシス様の初恋のご相手はシャルメローラ様であられるのは。それより侍女長とララーナ、夜遅くに叫ばないで下さい!!」
 

 侍女は上司である侍女長と侍女仲間に冷たい眼を向け注意をした。


 「「ごめんなさい。驚き過ぎてしまって」」



 「まぁ、侍女長のお部屋ですし少しは防音になっておりますよね。それとお話しが途中ですが続けて大丈夫ですか?」


 「エリー、質問だけどアレクシス様は、初恋のご相手がシャルメローラ様なのに、なぜ婚約が決まった時にお手紙や、オペラ鑑賞とか、プレゼントをされなかったの?」


 「本日の晩餐くらいのお時間になるまでアレクシス様は、ご自分の初恋のご相手がシャルメローラ様と分からなかったらしいです。

 そしてアレクシス様は、ずっと初恋のご相手を捜されていたと。なのでアメリア様がアレクシス様にシャルメローラ様が、アレクシス様の初恋のご相手とお教えしたという所まで、室内にお控えしていてお耳に入りました。」



 「そうだったのね……」


 「アレクシス様の女性の趣味お悪いと思っておりましたが、本当はそうではない様ですね……」



 侍女長と侍女仲間が毒舌で辛辣しんらつな事を侍女は分かっているので、全く気にされてもいない。




 「続けて宜しいですか?」


 「続けて大丈夫よ!!」


 「まだ何かあるのね。続けて下さい」


 
 侍女はお話しを続けて大丈夫か確認して、侍女長と侍女仲間が大丈夫とお返事があったので続けた。



 「アレクシス様はシャルメローラ様が初恋のご相手と知られて、挽回をされる様でございます。

 そしてアメリア様からアレクシス様に、本日の素行のお悪さの処罰で公爵様の仕事をするようにと、両手首と両足首を拘束具で拘束し、暫くの間は自室で謹慎になられた様です。

 その謹慎期間は決められておらず、その間の社交界の出席はしない様にと。それはアレクシス様の奥様になられたシャルメローラ様も同様だそうでございます。

 その謹慎期間中だと思われますが、その間のアレクシス様のお世話をシャルメローラ様がされる事になっておられます。
 アメリア様が直々にシャルメローラ様へお断りの出来ないお願いをされておりましたので。
 
 ここからなのでございます。シャルメローラ様が部屋を退室なされてからです。アメリア様が仰っていらしたのですが、アレクシス様に引っ付いて居られた、幼馴染みのバードン伯爵令嬢が危険かも知れない。そうアメリア様は思われておられます。
 バードン伯爵令嬢の眼が独占欲と色欲で濁っておられるからと、そしてバードン伯爵令嬢がアレクシス様に対して、とても強いご執着心がおありになるので、何かを仕出かす恐れがあると仰っておられました。

 ですのでアレクシス様とシャルメローラ様は、社交の場であるお茶会、夜会などは危険なのでお休みをという事らしいです。

 アレクシス様は体調不良の為に、療養なさっておられると表向きの理由にされ、その奥様であるシャルメローラ様は旦那様の看病の為に、社交の場を全てお休みされるとお耳に入りました」


 それをお聞きした上司である侍女長は、険しい表情をされていた。同じく侍女仲間の方も険しい表情になっている。


 「そう……そうなると、バードン伯爵令嬢がアレクシス様にお見舞いに押し掛けて来られるでしょうね。お茶会も夜会も、社交の行事を全て欠席されるのだから。

 どれくらいの期間、バードン伯爵令嬢が我慢をされる事がお出来になるかしら。そして強行突破をされる事も予想出来るわね」
 


 「あのお下品なバードン伯爵令嬢ですからね。それにアメリア様が仰るのなら、使用人全員が気を付けなくてはですよね。

 あの妄想もうそうが激しそうな伯爵令嬢ですし、また『私がアレクシスの結婚相手よ』とかほざきそう」


 
 お2人にお話しし終えた侍女は、やはり上司である侍女長のお耳に入れて置いた方が良かったのだと思ってホッとしていた。




 「侍女長とララーナにご報告出来て良かったです。

 あっ!?そういえば……」 




 そう侍女が言いかけたので、侍女長と侍女仲間は気になった。



 「エリー、他にも何かあったの?」


 「もっと大変な事なのですか?」



 そう侍女長と侍女仲間が心配気にお聞きした。
 侍女は困った様にしながら、その後の会話を報告する事にした。






********************* 




 
 
 使用人の女子寮にて





 公爵家のご嫡子のヘタレ疑惑!? 


 
 

 侍女はハーブティーを一口飲み、喉を潤してから侍女長と侍女仲間に、躊躇ためらいながら口を開いた。



 それはとても威力のある発言だったと、この場に居る侍女長と侍女仲間は思った。




 「侍女長とララーナ、これは内密でお願いします。他言無用で……それがお約束が出来ないのでしたら、私は侍女長とララーナにお教え出来ません!!」



 こう侍女が真面目な表情で言うのだから、侍女長も侍女仲間も約束を守ると誓った。




 「実はですね……アレクシス様がヘタレだとアメリア様と、メルロム侯爵婦人であるシルビア様が仰っておられたのです!!」



 それをお聞きした侍女長と侍女仲間は、意味が分からないと不思議そうな表情で、彼女の顔を見つめた。



 「エリー、あの……それは本当にアメリア様とメルロム侯爵婦人が仰っておられたの?」



 「それ信じられないわ……アレクシス様がヘタレだなんて、アメリア様が仰られるはずないと思うわ。

 アレクシス様は、文武両道で騎士達のトーナメント戦でも優勝されたのよ?そんなアレクシス様がヘタレだなんて信じられないわ……」

 

 「私だってその場にお控えしてお耳に入れた時に、信じられませんでしたよ!!でもアメリア様が親子での会話をなされて、それをお耳に入れたらアレクシス様がヘタレなのでは?と。

 正直、そんなにアレクシス様がヘタレとは思っても居なかったので、ギャップに驚きました」



 「アメリア様とアレクシス様の親子の会話ですか……それをお耳に入れたエリーはアレクシス様がヘタレだと思ったのですね?」


 「エリー、気になるから教えて下さい!!何か愉しそうです」



 「そうね、エリー教えて下さい」



 そう侍女長と侍女仲間に言われ、その場にお控えしていた時に耳に入れた事をお話しした。



 「はじめはシャルメローラ様が心配じゃないかって、アメリア様がメルロム侯爵婦人にお聞きしてからだったのですが……」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




 プチ公爵婦人と侯爵婦人の会話



 「食堂から私が1度退室したでしょう?その時にね、アレクシスに『今のままならシャルメローラ嬢に貴方は離縁されて捨てられる』って教えてあげたのよ」


 「そう……それがどうかしましたの?」


 「そうしたら『お母様、お願いです。シャルメローラ嬢と離縁にならない様にするには、どうしたら良いのでしょうか?』って私に聞いてきたのよ。この様なヘタレな息子でシャルメローラちゃんが愛想尽かして離縁にならないかしら?」
 

 「アメリア……貴女の愛息子のアレクシス君は女々しいのかしら?」


 「アレクシスは女々しくはないと思うわ。ただのヘタレなだけで……。だから今夜の初夜も心配なのよ!!」


 「確かに貴女からお聞きしたアレクシス君は、とてもヘタレだと思ったわ。でも流石に初夜に……ヘタレだとね」


 「でしょう?私の心配を分かってくれる?あの子、多分だけどシャルメローラちゃんに『シャルメローラ、お願いですから私に愛想尽あいそうつかして離縁しないで下さい。私を嫌わないで。私を捨てないで下さい。メロを愛してます』とか言って縋ってそうなのが予想出来てるのよね……」


 「そうねぇ、アレクシス君が縋って懇願した場合だけど、シャルメローラなら多分……呆れるというか、『ズルイです』とか『仕方のないお人ですね』ってアレクシス君にほだされて赦していそうだわ」






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







 「この様な事をアメリア様にアレクシス様は言ったと……そして初夜にアレクシス様がシャルメローラ様に『私を嫌わないで』とか『私を捨てないで』とか『私に愛想尽かして離縁しないで下さい!!』とか言って縋りつくのでは?って予想されておりました」



 「アレクシス様……お強いはずなのにヘタレなのですね!?」



 「シャルメローラ様、ヘタレな旦那様って……許容範囲なのですか?」



 「だからアメリア様が仰られておられたのですし、アレクシス様がヘタレって疑惑は本当かも知れないって事ですよね?

 でも本当にアレクシス様がシャルメローラ様に縋る様なら、シャルメローラ様は絆されて離縁をされなくなられますでしょうか?」



 この侍女長の部屋に居られる侍女長と侍女2人は、あの美麗なアレクシス様が可憐で儚げなシャルメローラ様に、縋る様子を想像をしてみて“可”かも知れないと密かに思っていた。



 まぁ……実際にアレクシス様がシャルメローラ様に、ヘタレ発言をして縋り付いておられた事は、縋り付かれておりましたシャルメローラ様しか知られていない。


 ご結婚をされて初夜という時に旦那様が奥様に縋り付いて、『嫌わないで』、『愛想尽かして離縁しないで』、『捨てないで』等を言っている様子は……ヘタレどころか、シュールな光景なのか、異様な光景なのか…


 だが侍女長たちは、縋り付くアレクシス様と縋り付かれてるシャルメローラ様なら、美男美女だから絵になると思ったのであった。




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