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日々は何事もなく流れていき、私は何百、何千回と、奇跡を起こした。いつの間にか、季節は過ぎていった。木々は青々とした葉を茂らせ、色づかせ、落としていった。真っ白な季節が終わると、暖かな空気とともに色とりどりの花が咲いた。
それは、知らないうちに始まっていた。
奇跡が叶いにくくなってしまったのだ。すべてが失敗するわけではない。最初は一日に数回だった。
「集中しているかい?」
ルイズリーにはそう茶化された。
「ごめん、ごめん」
でも、私は集中していたときでも失敗した。魔法が成功したような手応えが、杖を振った瞬間にはある。しかし、世界は変わらない。輝かない。色がくすんでいる。
変化は次第に大きくなってきた。
ある日、いつものように杖を振っていたときのことである。ふと気づけば、何かおかしいのである。いつも杖を振るときに来ている人の居ない丘の上。見慣れたはずの目下に広がる街。でも、どこかよそよそしくて、何かが足りない。
何が足りないのかはよく街を見ていたら気がついた。
「色が足りていないのよ」
「色?」
不思議そうなルイズリー。でも、私の目に映る世界は少し彩度が落ちた世界だった。その世界はよそよそしくて、寂しそうで、消えそう。
色は日に日に灰色に近くなっていった。私も魔法も成功することのほうが珍しくなっていった。その頃になってようやく、ルイズリーも世界の色がくすんでいるのがわかってきたらしい。
「やっぱり、魔法を使う分だけわかるのが早かったのかもね」
「そんなことより、どうにかしないと」
私は魔法少女。世界に奇跡を起こすのが仕事。私はこれしかやることがない。これしかできない。悲しそうな色の世界に、私の魔法は届けたい。私の、存在理由のためにも。
「魔法はなんだって起こせるんだ。どんなことでも起こせるから魔法なんだ。だからきっと、何かあるはずなんだ」
ルイズリーの金色の二つの目が、真剣そうに光る。
太陽がゆっくりと西の端に消えていく。暗い夜が東から迫ってくる。頭の上にぽっかり浮かんだ白い月は半分くらい欠けている。肌に当たる風が冷たくて、少し嫌な予感がした。
それは、知らないうちに始まっていた。
奇跡が叶いにくくなってしまったのだ。すべてが失敗するわけではない。最初は一日に数回だった。
「集中しているかい?」
ルイズリーにはそう茶化された。
「ごめん、ごめん」
でも、私は集中していたときでも失敗した。魔法が成功したような手応えが、杖を振った瞬間にはある。しかし、世界は変わらない。輝かない。色がくすんでいる。
変化は次第に大きくなってきた。
ある日、いつものように杖を振っていたときのことである。ふと気づけば、何かおかしいのである。いつも杖を振るときに来ている人の居ない丘の上。見慣れたはずの目下に広がる街。でも、どこかよそよそしくて、何かが足りない。
何が足りないのかはよく街を見ていたら気がついた。
「色が足りていないのよ」
「色?」
不思議そうなルイズリー。でも、私の目に映る世界は少し彩度が落ちた世界だった。その世界はよそよそしくて、寂しそうで、消えそう。
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「やっぱり、魔法を使う分だけわかるのが早かったのかもね」
「そんなことより、どうにかしないと」
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「魔法はなんだって起こせるんだ。どんなことでも起こせるから魔法なんだ。だからきっと、何かあるはずなんだ」
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