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いい方法は見つからないまま、何日も過ぎた。何度杖を振っても、奇跡は起きなくなってしまった。
世界はどんどん灰色に染まり、やがて色も音もすべてが消えてしまった。
花は笑わない。ただ、そこに花の形をした塊がついているだけ。木々は歌わない。無音の空間にそれらはただ立ち尽くしているだけ。風は冷たく、私の肌を刺す。街をゆく人の表情が消え、誰もが能面のような顔をしている。彩度ゼロの空に穴が空いたような真っ白い雲が浮かんでいる。
灰色の世界を、私はどうすることもできない。ただ、見ていることしかできない。
「愚かだ」
上の方から声がした。その声はとても低く、声というより、楽器の音に近い。言葉だと認識できるのは、その言葉にひどく怒りの感情がこもっていたからだろう。
「やはり、魔法少女は愚かだ」
その声はもう一度言った。
「誰なの?」
「魔法少女に話しかけられる存在だ」
その一言じゃ何もわからなかった。隣を見ると、ルイズリーが難しい顔をしていた。
「君は人間より遥か上位の存在を見たことがあるかね」
そこでようやくこの声の主がわかった。
魔法少女よりも上位の存在。いや、何よりも遥かに上の存在。神だ。これは神だ。
「ようやくわかったか、魔法少女。この世界をこんなふうにしたのはなぜだ」
「私はただ…‥」
なにを言おうと言い訳のようになってしまうのではないか。そう思うと、次の言葉が出てこなかった。
「奇跡なんて、所詮そんなものなのだ」
呆れたような神の声。
「そんなものなんかじゃないです」
食いつくように、つい、言ってしまった。
「誰かを笑顔にできるって、素敵だと思いませんか。私、やっと、やっと見つけられたんです。私にしかできないこと。誰も私をないものと同じようにしていたけれど、これはわたしにしかできないことだって、私の存在意義なんだって、思ったんです。それに、奇跡を起こすようになってわかったんです。世界は美しいんだって」
まくしたてるように言う。でも、神はそれを鼻で笑った。
「魔法少女のためだけに世界はこうなったようだな。そうだ。その魔力がなぜ使えているかわかるか」
「わかりません」
「これは天の力の一部を貸し与えたものだ。召喚術というものは、昔から人間が好んでいるがそのようなものだ。」
「そう、なんですか」
突然魔法少女に選ばれて、奇跡を起こすようになって。自分でなにか悪いことをしたということはわからなかった。
世界はどんどん灰色に染まり、やがて色も音もすべてが消えてしまった。
花は笑わない。ただ、そこに花の形をした塊がついているだけ。木々は歌わない。無音の空間にそれらはただ立ち尽くしているだけ。風は冷たく、私の肌を刺す。街をゆく人の表情が消え、誰もが能面のような顔をしている。彩度ゼロの空に穴が空いたような真っ白い雲が浮かんでいる。
灰色の世界を、私はどうすることもできない。ただ、見ていることしかできない。
「愚かだ」
上の方から声がした。その声はとても低く、声というより、楽器の音に近い。言葉だと認識できるのは、その言葉にひどく怒りの感情がこもっていたからだろう。
「やはり、魔法少女は愚かだ」
その声はもう一度言った。
「誰なの?」
「魔法少女に話しかけられる存在だ」
その一言じゃ何もわからなかった。隣を見ると、ルイズリーが難しい顔をしていた。
「君は人間より遥か上位の存在を見たことがあるかね」
そこでようやくこの声の主がわかった。
魔法少女よりも上位の存在。いや、何よりも遥かに上の存在。神だ。これは神だ。
「ようやくわかったか、魔法少女。この世界をこんなふうにしたのはなぜだ」
「私はただ…‥」
なにを言おうと言い訳のようになってしまうのではないか。そう思うと、次の言葉が出てこなかった。
「奇跡なんて、所詮そんなものなのだ」
呆れたような神の声。
「そんなものなんかじゃないです」
食いつくように、つい、言ってしまった。
「誰かを笑顔にできるって、素敵だと思いませんか。私、やっと、やっと見つけられたんです。私にしかできないこと。誰も私をないものと同じようにしていたけれど、これはわたしにしかできないことだって、私の存在意義なんだって、思ったんです。それに、奇跡を起こすようになってわかったんです。世界は美しいんだって」
まくしたてるように言う。でも、神はそれを鼻で笑った。
「魔法少女のためだけに世界はこうなったようだな。そうだ。その魔力がなぜ使えているかわかるか」
「わかりません」
「これは天の力の一部を貸し与えたものだ。召喚術というものは、昔から人間が好んでいるがそのようなものだ。」
「そう、なんですか」
突然魔法少女に選ばれて、奇跡を起こすようになって。自分でなにか悪いことをしたということはわからなかった。
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