特技は有効利用しよう。

庭にハニワ

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……で? っていう。

顔に出すなよ。

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私を便利に使いたかったらしい王族サマ。
物資の大量輸送なんて、戦争時にめっちゃ有益じゃん? とか考えたんだろうな。

王妃サマ……。
その、当てがハズレたーって顔、私に見せていいんですか?
王族なんて、上っ面取り繕ってナンボでしょうが。

……何ですか、ケーリッシュ嬢。
せっかくの麗しいお顔にシワなんか寄せて。

何か言いたい事でも?

すると。
ケーリッシュ嬢は、心底理解出来ない、といった顔で私に言った。

「貴女は何故そのような誓約をなさったのか、伺ってもよろしくて?」

本当に、不思議そうな顔だ。



まぁ、ね?
あんなボンクラとはいえ、王族の婚約者とか面倒くさいモノになってたお方だ。

ケーリッシュ嬢としては。
国にとって有益なモノは、率先して国へと報告。
からの有効活用、が、当然の行動なんでしょう。

が。

「平和に暮らしているのに、一部の人種の欲望で起きる戦争の為に利用されるのはゴメンです。戦争したいのは、自分達は絶対に戦場に行かない偉い人達だけです。そんなに戦争してムダ死にしたいなら、戦争したい人達だけでムダに死んで下さい。国民にとっては、迷惑なだけです」

滔々と語る私に、ケーリッシュ嬢は無言になった。




本当なら、本格的には使うつもりのなかった能力だが。
使えるモノはすべて使うしかなかった。
人を殺す為じゃなく、生かす為に使うならば、誓約には引っかからないだろう。

異常気象による領地の不作続きとか、誰のせいでもないし。

……王都から一向に帰ってこない義妹が、常識はずれな浪費なんかしやがった時は、本気で殺意が湧いた。
ヤツ1人の為に、領地の運営がかなり……いや、ものすご~くヤバい状態になったので、ね?

跳んでって、取っ捕まえて、放り出してやろうかと……。



ジトん、とした私にケーリッシュ嬢が言った。

「……それで、誓約に触れない能力の使用法が」
「運送業だった訳です」

なんせ個人の能力によるモノだから、元手が一切かからない。

「領民を飢え死にさせるワケにはいきません。最初の頃は、なりふり構ってませんでしたよ」




婚約者は、まぁ……そういやいたね、一応……って状況でした。

私が領地の復興に必死になってた頃。

王都で義妹が私の婚約者をあの手この手でオトシにかかってた。

国中どころか近隣諸国を文字通り跳び回ってた私と、王都で優雅に暮らしてた婚約者と、どうやって交流しろと?

私がいないって分かってて、義妹と使用人しかいないウチの街屋敷に通ってたようですし。
私がたまにいる時だって、真っ直ぐ義妹のところに行ってたし。

完全に、義妹に会う為に来てたよね?

これは、婚約解消の方向で動いた方がいいよな、と思っていたらば。

「あの三文芝居が繰り広げられて、今に至る訳です」

残念ながら、我が婚約者殿はあの三文芝居には参加しなかった。

……チッ。







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