30 / 49
5 三人寄れば…
7 ごめんね
しおりを挟む
「……はぁ、は……」
ボクは絶頂に到達はしなかったけど、無事に終わったことでホッとしていた。今のユーくんに気づかれて3Pに発展できるとはとても思えないし、ダイくんも嫉妬してそういうの嫌がるだろうから。(ボクはいつだって複数プレイウェルカムだけどね。)
たぶん、泥酔ダイくんは明日にはなにも覚えていないだろう。自分がどうしてここにいるのかも、ボクとシたのが夢か現かも――。
ボクはゆっくりと起き上がり、お風呂に入った。
ダイくんの部屋にはお風呂が無くていろいろと不便だ。でも、綺麗好きなユーくんはお風呂がないと暮らしていけないと言っていた。ボクもユーくんに同感だ。
お風呂があれば、汗も酒臭さも、全部洗い流せるから最高。
「はぁ」
体はだるいけどお湯のあたたかさが気持ち良くて、しばらくぼんやりしていた。
髪を拭きながら部屋に戻ると、ユーくんが起きていた。ベッドの上のダイくん(※全裸)を不思議そうに見ている。
「ごめんね! 起こしちゃった?」
ボクは内心ドキドキしながら話しかける。
彼はハッと顔を上げ、頭をふるふると振った。それよりも何か言いたそうにじっと見上げてくる。
さっきのことがバレちゃったかも――。どきりとした。けど、
「今日は、本当にすみませんでした。ご迷惑おかけてして……」
ユーくんは深々と頭を下げただけだった。
「迷惑だなんて思ってないよ」
「でも……、情けないです」
ユーくんはとても真面目だ。
ボクがいくら言っても、ダメだダメだと首を振る。きっと誰よりも自分自身を許せないのだろう。
「オレってダメなヤツですよね。いつまでも先輩に怒られて、ちっとも成長してなくて……」
「素敵な関係だと思うよ。うらやましいなぁ」
イケナイことをしたり、落ち込んだりしたとき、叱ってくれるような存在――そんなのボクにはいない。
「ユーくんの周りには素敵な人がたくさんいるね」
ダイくんだけじゃない。今日、ユーくんと同じように舞台に上がっていた人達も、みんなキラキラしてた。
お芝居が大好きで、今回の公演を成功させたいっていう強い想いがちゃんと伝わってきた。
「……だから、辛いんです」
彼は肩を落とし、ぽつりとつぶやく。
「みんながあまりにもまぶしすぎて、全然、手が届かなくて。オレ……、みんなと一緒にいると、自分が必要の無い人間のような気がして、むなしくて……」
「そっか」
「はい」
彼はボクをちらと見上げて、もじもじしている。たぶん、『そんなことないよ』と言ってもらいたいんだろう。
そうするのは簡単だけど、彼のためにならないかもしれない。だから――、
「ねぇ。ユーくんはボクがいなくなったら、さみしい?」
「当たり前じゃないですかッ!」
光の速さで答えてくれた。
「ボクもユーくんがいなくなったら、さみしい」
手を伸ばし、彼のやわらかなほっぺに触れる。手のひらでふにふにすると、最高に気持ちがいい。
「だからね、必要無いなんて、考えなくっていいんだよ」
「……はい」
みるみるうちにその目は潤んでいく。
本格的に泣き出す前に、体をくっつけて、ぎゅって抱きしめてあげた。
「ボクはユーくんがいなくなったら、すごく、さみしい」
これで良いと思った。
“この世に不必要な人間なんていない”なんて、綺麗事は言えないから。
ただ、心の底から思う“ユーくんがいなくなったらさみしい”と告げるだけでも、充分伝わると思った。
だって、ボクの大好きなユーくんだもん。
「……っ、ふ……」
彼は今、ボクの胸の中で声を押し殺して泣いている。
きっともう大丈夫。
明日からはまた、夢のために一生懸命頑張るユーくんに会えるだろう――。
ボクは絶頂に到達はしなかったけど、無事に終わったことでホッとしていた。今のユーくんに気づかれて3Pに発展できるとはとても思えないし、ダイくんも嫉妬してそういうの嫌がるだろうから。(ボクはいつだって複数プレイウェルカムだけどね。)
たぶん、泥酔ダイくんは明日にはなにも覚えていないだろう。自分がどうしてここにいるのかも、ボクとシたのが夢か現かも――。
ボクはゆっくりと起き上がり、お風呂に入った。
ダイくんの部屋にはお風呂が無くていろいろと不便だ。でも、綺麗好きなユーくんはお風呂がないと暮らしていけないと言っていた。ボクもユーくんに同感だ。
お風呂があれば、汗も酒臭さも、全部洗い流せるから最高。
「はぁ」
体はだるいけどお湯のあたたかさが気持ち良くて、しばらくぼんやりしていた。
髪を拭きながら部屋に戻ると、ユーくんが起きていた。ベッドの上のダイくん(※全裸)を不思議そうに見ている。
「ごめんね! 起こしちゃった?」
ボクは内心ドキドキしながら話しかける。
彼はハッと顔を上げ、頭をふるふると振った。それよりも何か言いたそうにじっと見上げてくる。
さっきのことがバレちゃったかも――。どきりとした。けど、
「今日は、本当にすみませんでした。ご迷惑おかけてして……」
ユーくんは深々と頭を下げただけだった。
「迷惑だなんて思ってないよ」
「でも……、情けないです」
ユーくんはとても真面目だ。
ボクがいくら言っても、ダメだダメだと首を振る。きっと誰よりも自分自身を許せないのだろう。
「オレってダメなヤツですよね。いつまでも先輩に怒られて、ちっとも成長してなくて……」
「素敵な関係だと思うよ。うらやましいなぁ」
イケナイことをしたり、落ち込んだりしたとき、叱ってくれるような存在――そんなのボクにはいない。
「ユーくんの周りには素敵な人がたくさんいるね」
ダイくんだけじゃない。今日、ユーくんと同じように舞台に上がっていた人達も、みんなキラキラしてた。
お芝居が大好きで、今回の公演を成功させたいっていう強い想いがちゃんと伝わってきた。
「……だから、辛いんです」
彼は肩を落とし、ぽつりとつぶやく。
「みんながあまりにもまぶしすぎて、全然、手が届かなくて。オレ……、みんなと一緒にいると、自分が必要の無い人間のような気がして、むなしくて……」
「そっか」
「はい」
彼はボクをちらと見上げて、もじもじしている。たぶん、『そんなことないよ』と言ってもらいたいんだろう。
そうするのは簡単だけど、彼のためにならないかもしれない。だから――、
「ねぇ。ユーくんはボクがいなくなったら、さみしい?」
「当たり前じゃないですかッ!」
光の速さで答えてくれた。
「ボクもユーくんがいなくなったら、さみしい」
手を伸ばし、彼のやわらかなほっぺに触れる。手のひらでふにふにすると、最高に気持ちがいい。
「だからね、必要無いなんて、考えなくっていいんだよ」
「……はい」
みるみるうちにその目は潤んでいく。
本格的に泣き出す前に、体をくっつけて、ぎゅって抱きしめてあげた。
「ボクはユーくんがいなくなったら、すごく、さみしい」
これで良いと思った。
“この世に不必要な人間なんていない”なんて、綺麗事は言えないから。
ただ、心の底から思う“ユーくんがいなくなったらさみしい”と告げるだけでも、充分伝わると思った。
だって、ボクの大好きなユーくんだもん。
「……っ、ふ……」
彼は今、ボクの胸の中で声を押し殺して泣いている。
きっともう大丈夫。
明日からはまた、夢のために一生懸命頑張るユーくんに会えるだろう――。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
219
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる