その帯、解いていい?

桃まめきなこ

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第六話 言ってくれなきゃ、分かんねぇよ

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第六話 言ってくれなきゃ、分かんねェよ


「んぁ、はぁっ、ぁ‥‥」

荒い息遣いと、熱を帯びた肌がしとやかにぶつかり合う音が、薄暗い部屋に響く。

「はぁ‥はぁ‥‥だいぶ柔らかくなったな」

伊織が腰を突き上げると、ノアの背がしなる。突き出された胸に舌を這わせ、吸い付き痕を残す。

「ぁ、あぁっ‥い、おりぃ‥‥」
「ここだろ?」

角度を変え、ノアの弱い部分を擦り上げる。

「そこ、ダメ、あぁっ」

息を吸うのも忘れて、首を仰け反らせるノアの姿にニヤリと笑い、何度も同じ場所を突き上げる。

「あっ、あぁ、伊織、も‥‥I`m gonna cum‥‥!」
「英語は分からんが‥‥今の意味は分かるな」

スピードを上げ、ノアを追い詰めていく。

「はっ、ぁ、あぁっ!」

背中を逸らせ、ノアの腹に温かな液が弾けた。それと同時に、伊織の喉から低く吐息が漏れる。

「はぁ‥‥はぁ‥‥」

伊織が布団に手をつき、荒く息を繰り返す。ノアの瞳は潤み、微かに笑みが浮かんでいるようにも見えた。伊織がゆっくりと腰を引いた瞬間、ぬるりと音がして、ノアの身体がビクリと揺れた。名残惜しさと共に、伊織の指がノアの腰を撫でる。

「‥‥すまん、暴走した」

その瞬間、ノアが伊織の腕を掴んで引き寄せ、濡れたままの肌が再び重なる。

「お、おい‥‥」
「伊織はズルいよ‥‥そんな顔されたら、許しちゃう」
「そもそも、お前が散々煽ったくせに、急に来なくなったのが悪いんだろうが」
「え? 僕、テスト期間始まるって、言ってなかった?」
「‥‥聞いてねぇ‥‥」

伊織が深くため息を吐き、ノアの首筋に顔を埋める。

「え、えっと‥‥ごめん、ね?」
「うるせぇ」

ノアの首筋に、軽く噛み付く。

「ひゃっ」
「そんな声出すなよ‥‥」
「だ、だって伊織が、んっ‥‥」

ノアの言葉を遮るように、伊織が唇を重ねる。

「少し寝ろ。じゃないと、もう一回襲うぞ」
「(襲ってくれてもいいのに‥‥でも、伊織とイチャイチャするのも好き‥‥)分かった。おやすみなさい、伊織」
「あぁ、おやすみ」

額にキスを落とし、ノアの横に横たわると、ノアがギュッと抱き着いて身体を寄せて目を閉じる。

「全然分かってねぇ‥‥やれやれだな」

再びため息を吐いた伊織が、ゆっくりと目を閉じた。





翌朝、ノアが目を覚ますと、隣に寝ていたはずの伊織がいなかった。身体は綺麗に拭かれたのか、不快感は無い。下着や服も着ていて、ノアが困惑気味に周りを見渡す。

「夢‥‥じゃないよね」

そこはいつも泊る時に寝ている部屋ではなく、伊織の部屋だった。立ち上がると、ふわりと香ばしい香りが漂ってくる。部屋をそっと出て台所に向かうと、伊織が立っていた。

「お、おはよう‥‥」
「ああ、起きたか。朝飯、もうすぐできるぞ」
「う、うん」

いつもと変わらぬ口調と態度。だけどその耳が、ほんのりと赤く染まっているのを、ノアは見逃さなかった。ノアはくすりと笑うと、背後から伊織の腰に腕を回し、肩に額を押し当てる。

「良かった‥‥夢じゃなかった」
「‥‥夢じゃねぇよ」

ノアの手に、そっと伊織の手が重なる。

「起こしてくれれば良いのに」

ノアが伊織の肩に顎を乗せ、身体を寄せると伊織がボソリと呟いた。

「お前が‥‥幸せそうに寝てたから‥‥」
「‥‥伊織、可愛い」
「うるせぇ! さっさと皿出せっ」
「ふふっ、はぁい」

伊織の首筋に軽くキスをした後、ノアが離れる。

「っ‥‥」

ビクッと伊織の肩が震える。離れてしまった温もりに、少し背中が寂しくなるが、背後から聞こえてくるノアの鼻歌に、口元が緩んだ。

「伊織、あ~んして?」
「ぶふっ‥‥」

伊織が飲みかけの味噌汁を噴いた。明らかにからかっていると分かるノアの顔に、伊織がニヤリと笑う。

「‥‥いいぞ」
「え、マジ⁉」

驚いた顔のノアをよそに、茹でたニンジンを箸で摘んでノアに近付ける。

「ちょ、それはズルい! 僕がニンジン嫌いなの知ってるじゃん!いくら伊織のあ~んでも、それは‥‥」
「食べないのか?」
「っ~~~!」

葛藤の末、覚悟して口を開けるノア。そんなノアの口に、伊織がニンジンを運ぶ。

「‥‥あれ、美味しい?」

咀嚼しながら、キョトンと不思議そうに顔を傾げるノア。

「なんだ、食えるんじゃねぇか」
「うん‥‥きっと、伊織が食べさせてくれたからだね」
「‥味が変わるわけないだろ」
「変わる! 伊織に食べさせてもらえた方が、絶対に美味しい!」
「ほう‥‥じゃあ、今度は納豆でも挑戦してみるか?」
「うっ‥‥それは‥」
「冗談だ」

伊織がノアの頭を撫でる。

「まぁ、今度からニンジンは入れるけどな」
「‥‥むぅ‥子供扱いしないでよ」

ノアが伊織の手を掴んで引き寄せ、唇を奪う。

「んっ、おま‥」
「ごちそうさま」

唇を舐め、離れるノア。

「大学の講義あるから、僕行くね」
「お、おう‥‥」

ノアはにっこりと微笑むと、出かけて行った。

「くそっ‥‥あのクソエロガキが‥‥」




ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
週一更新予定です。続きも楽しんでいただけたら、嬉しいです。
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