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第二章
2-6 藤原理人の正体
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どうしても意識してしまう。ぽってりとした唇がカップの淵を柔らかく受け止めて、少し尖る。カップが離れたその場所は、瑞々しい果実のように濡れて艶やかだ。
「さくら、聞いてる?」
その魅力的な赤い輪が形を変えて私を呼ぶので、残念ながら脳内会議は終了の合図。前よりも砕けた話し方、呼び方に私たちの関係の深まりを感じてむず痒い。
今日はいつもの如く、談話室での作戦会議の日だ。
「あー・・・はい。聞いてます」
「なんで年功序列というものがあるんだ?仕事が出来なくても、会社に居座っているだけで昇格していく。無能な上司に有望な若者たちが刈られていくなんて理解できない。若くたって有能で人望のある人間が上に立つべきだし、評価されるべきだ」
「まぁそうなんですけど、ほら人って感情というものがあるから。同期の中で頭ひとつとびぬけた人は嫉妬されるし。新人の頃は有望だってもてはやされるのに、上司たちの立場が危うくなるようであれば、上司たちも手のひらを返してその芽を摘もうとするものです」
「まったくふざけている。それでは会社は有能な人間を排除する傾向にあるということか?」
「まぁ社長くらいじゃないですかね。有能な人間を欲しがっているのは。それ以外の人は保身のために動くと思います。有能な部下は欲しいけれど、有能な同期はいらない。自分の立場が危うくなるから。そういう感じだと思いますよ。私は正社員で働いた期間も短くて参考にはならないと思いますが。・・・というか、急にそんな話を始めてどうしたんですか?」
これまでは素朴な疑問だったり、初めて行く場所だったりあまり深く考えるような話はしてこなかった。理人さんは頭が良いけれど、私はそうじゃない。今後経済の話とかされてついていけなかったら失望されるかもしれない・・・。べ、勉強しなきゃ。
そんな焦る私とは裏腹に、理人さんは口をつぐんでしまった。何か悪いことを言ってしまったかな。少し尖がった唇が可愛い。考え事をしている子どもみたいだ。もっとほっぺたがぷっくりしていたらもっと可愛かったかもしれない。いや、あのシャープなフェイスラインが美しくて魅力的なんだ。いや、子どもの頃の理人さんはほっぺたぷっくりで愛らしく、成長して美しくなったとしたら時空を超えて会いに行きたい。
いけない。すぐに脳内会議が始まってしまう。
「僕は何もわかっていない。もっとシンプルでいいのに、感情を汲み取る道筋を見いだせない」
「そんな・・・、世知辛いなってみんな思いながら過ごしているだけだから気にしなくていいんじゃないですか?そんなことを憂いている人はいようとも、考えたところで何かできる力があるわけでもないし。みんな、なあなあに生きているんです」
経済学部にいけばこんな討論をしたりするのかな。私は頭がよくないし、わからないことだけど。今日はなんだか理人さんの様子がおかしい。なんだか私の知らない理人さんが顔を覗かせているようで、知りたいと思いつつも遠くにいかないでと思うわがままな自分もいる。
「田村さんには必要と思ったら話しても良いと言われている。いつか話すべきだと思っていた。まだ三ヶ月だけれど、さくらは信用できると思っているから」
静かで、選ぶように並べられた言葉たちが真面目な雰囲気を漂わせている。それは彼自身の頭を整理するように、言い聞かせているようにも感じた。
二の腕が振動してから、身震いしていることに気付く。なんだろう。忍び寄ってくる波乱の足音が聞こえてくるようだ。
「未来総合商事。僕はそこの後継者だ」
未来総合商事とは、聞いたことがある気がする。具体的には知らないけれど、私ですら知っている。お金持ちだろうなと思っていた。そこの息子であれば必然的に後継者であるのはそうだ。深く考えていなかったの。今しか見えていなかった。目の前の彼の背中にはどれほどの重圧がのしかかっているのだろう。
「ごめんなさい。えっと、待ってくださいね。ちょっと、あの、調べてもいいですか?」
肯定の頷きを横目にスマホで『未来総合商事』と打ち込む。検索結果はこうだ。
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未来総合商事株式会社
未来総合商事株式会社は、日本を代表する総合商社の一つであり、世界60カ国以上に展開するグローバル企業である。1948年に設立され、国内外の広範なネットワークを活かして、エネルギー、化学品、機械、生活関連資材、不動産、情報通信といった多岐にわたる事業を手がけている。グループ全体での年間売上高は15兆円を超え、業界でも圧倒的な地位を誇る。
未来総合商事はその名の通り「未来への貢献」を企業理念に掲げており、環境問題や地域開発、次世代テクノロジーの推進に力を注いでいる。世界の変化に対応するため、持続可能な社会実現に向けた幅広いプロジェクトを展開する同社は、日本国内でも常に注目を集める存在であり、学生にとっても憧れの就職先として知られている。
従業員数は約6万人にのぼり、東京本社を中心に国内外で多くの拠点を構える。入社試験は非常に厳しく、特に幹部候補としての入社には高度な能力が求められ、経済や金融の専門知識に長けた人材が集まる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本を代表する?世界60カ国?15兆円?
遠いナニかの話だ。すごいということはわかるが、普通の私には想像しがたい世界でよくわからない。
「正確に言えば後継者・・・の影武者。僕は本当の後継者のための影でしかない。表に出ることがなく消えていく、ということが会社的には理想である。要らないけれど、一応。僕の価値は代替品、そんな感じだ」
淡々と。これまでそのように教育されて育ってきたから、彼は自分という存在が蛇足であり無用であり空虚な存在であると信じ込んでいる。なんと悲しいことなの。
理人さんから不安や孤独という感情が流れ込んでくる感覚。彼にとっての自己紹介がこんなに悲しいものだとは思わなかった。お金持ちとはもっとハッピーで、人生イージーモードなんじゃないの。
自然と私の両手が伸びていて、隣の椅子に座った理人さんを背中から抱き締める。どんな人生を歩んできたんだろう。私では理解しえない苦悩が彼の中にある。腕の中の成人男性が、震えてうずくまった孤独な少年に感じてならない。ぎゅっと力を入れる。
「理人さんの抱えているものがどれほどのものか、普通の私には全てを理解するのは難しいかもしれないです。私はちっぽけな人間です。そんな私にとっての理人さんは特別で替えなんてききません。貴方がいいです。貴方じゃないとだめです。理人さんという存在が私の中で日々大きくなっていくように、これから理人さんがたくさんの人に認められていく未来を私は信じています」
彼の崩れ切った自己肯定感の山に、私という存在の埃のような『特別』が積もるようにと祈るしかない。私の言葉なんかに価値があるのだろうか。そう思うのと同様に、理人さんも『自分なんか』と思っていたなんて想像もしていなかった。
抱き締めていた私の腕に理人さんの手が添えられる。男の力で解かれた両手首が拘束され、私の後頭部を手のひらが強引に引き寄せる。ちらっと見えた猫の目は熱く揺れていた気がした。
「んん」
押し付けられた分厚い唇は私の呼吸を止める勢いで。酸素を求めて無理やり開いた唇の隙間からぬるりと湿ったものが入ってくる。初めての情欲を抑えきれない獣のように、むさぼるように食べられる感覚が子宮を刺激する。
くちゅといやらしい水音に、これが私たちが生み出しているものとは思えなくて。久方ぶりの男女のそれに私の年上としての建前は崩れ去っていて、ただただ獲物として受け入れるしかできなかった。身体が震える。恐怖ではなく、私の雌が武者震いをしている。
一瞬だったかもしれないし、十分だったかもしれない。アドレナリンが時間の感覚さえ奪っていたみたいで、離れた余韻が身体中に残っている。
「・・・悪い。なんだか抑えきれなくて」
伏せられた長いまつ毛が前髪の隙間から覗いていて、怒られた大型犬が反省しているようだった。私は怒ってなんかいない。驚きはしたけれど、嫌な感情などひとつもなかった。
「初めて肯定された気がした。自分という存在を。ありがとう。さくらと出会えて、色んな感情が全身を駆け抜けていくよ。この先の人生がどうなるかなんて僕にはわからない。けれどさくらにもっと必要とされるように、自分なりに前に進んでいこうと思う」
先ほどまでの人形のようだったものとは違い、光の映る瞳に変わったように見えた。私なんかの言葉も感情も、彼には価値があるのかもしれない。
私の肯定感も理人さんに上げてもらっていること、いつか気付いてくれるといいな。
「さくら、聞いてる?」
その魅力的な赤い輪が形を変えて私を呼ぶので、残念ながら脳内会議は終了の合図。前よりも砕けた話し方、呼び方に私たちの関係の深まりを感じてむず痒い。
今日はいつもの如く、談話室での作戦会議の日だ。
「あー・・・はい。聞いてます」
「なんで年功序列というものがあるんだ?仕事が出来なくても、会社に居座っているだけで昇格していく。無能な上司に有望な若者たちが刈られていくなんて理解できない。若くたって有能で人望のある人間が上に立つべきだし、評価されるべきだ」
「まぁそうなんですけど、ほら人って感情というものがあるから。同期の中で頭ひとつとびぬけた人は嫉妬されるし。新人の頃は有望だってもてはやされるのに、上司たちの立場が危うくなるようであれば、上司たちも手のひらを返してその芽を摘もうとするものです」
「まったくふざけている。それでは会社は有能な人間を排除する傾向にあるということか?」
「まぁ社長くらいじゃないですかね。有能な人間を欲しがっているのは。それ以外の人は保身のために動くと思います。有能な部下は欲しいけれど、有能な同期はいらない。自分の立場が危うくなるから。そういう感じだと思いますよ。私は正社員で働いた期間も短くて参考にはならないと思いますが。・・・というか、急にそんな話を始めてどうしたんですか?」
これまでは素朴な疑問だったり、初めて行く場所だったりあまり深く考えるような話はしてこなかった。理人さんは頭が良いけれど、私はそうじゃない。今後経済の話とかされてついていけなかったら失望されるかもしれない・・・。べ、勉強しなきゃ。
そんな焦る私とは裏腹に、理人さんは口をつぐんでしまった。何か悪いことを言ってしまったかな。少し尖がった唇が可愛い。考え事をしている子どもみたいだ。もっとほっぺたがぷっくりしていたらもっと可愛かったかもしれない。いや、あのシャープなフェイスラインが美しくて魅力的なんだ。いや、子どもの頃の理人さんはほっぺたぷっくりで愛らしく、成長して美しくなったとしたら時空を超えて会いに行きたい。
いけない。すぐに脳内会議が始まってしまう。
「僕は何もわかっていない。もっとシンプルでいいのに、感情を汲み取る道筋を見いだせない」
「そんな・・・、世知辛いなってみんな思いながら過ごしているだけだから気にしなくていいんじゃないですか?そんなことを憂いている人はいようとも、考えたところで何かできる力があるわけでもないし。みんな、なあなあに生きているんです」
経済学部にいけばこんな討論をしたりするのかな。私は頭がよくないし、わからないことだけど。今日はなんだか理人さんの様子がおかしい。なんだか私の知らない理人さんが顔を覗かせているようで、知りたいと思いつつも遠くにいかないでと思うわがままな自分もいる。
「田村さんには必要と思ったら話しても良いと言われている。いつか話すべきだと思っていた。まだ三ヶ月だけれど、さくらは信用できると思っているから」
静かで、選ぶように並べられた言葉たちが真面目な雰囲気を漂わせている。それは彼自身の頭を整理するように、言い聞かせているようにも感じた。
二の腕が振動してから、身震いしていることに気付く。なんだろう。忍び寄ってくる波乱の足音が聞こえてくるようだ。
「未来総合商事。僕はそこの後継者だ」
未来総合商事とは、聞いたことがある気がする。具体的には知らないけれど、私ですら知っている。お金持ちだろうなと思っていた。そこの息子であれば必然的に後継者であるのはそうだ。深く考えていなかったの。今しか見えていなかった。目の前の彼の背中にはどれほどの重圧がのしかかっているのだろう。
「ごめんなさい。えっと、待ってくださいね。ちょっと、あの、調べてもいいですか?」
肯定の頷きを横目にスマホで『未来総合商事』と打ち込む。検索結果はこうだ。
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未来総合商事株式会社
未来総合商事株式会社は、日本を代表する総合商社の一つであり、世界60カ国以上に展開するグローバル企業である。1948年に設立され、国内外の広範なネットワークを活かして、エネルギー、化学品、機械、生活関連資材、不動産、情報通信といった多岐にわたる事業を手がけている。グループ全体での年間売上高は15兆円を超え、業界でも圧倒的な地位を誇る。
未来総合商事はその名の通り「未来への貢献」を企業理念に掲げており、環境問題や地域開発、次世代テクノロジーの推進に力を注いでいる。世界の変化に対応するため、持続可能な社会実現に向けた幅広いプロジェクトを展開する同社は、日本国内でも常に注目を集める存在であり、学生にとっても憧れの就職先として知られている。
従業員数は約6万人にのぼり、東京本社を中心に国内外で多くの拠点を構える。入社試験は非常に厳しく、特に幹部候補としての入社には高度な能力が求められ、経済や金融の専門知識に長けた人材が集まる。
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日本を代表する?世界60カ国?15兆円?
遠いナニかの話だ。すごいということはわかるが、普通の私には想像しがたい世界でよくわからない。
「正確に言えば後継者・・・の影武者。僕は本当の後継者のための影でしかない。表に出ることがなく消えていく、ということが会社的には理想である。要らないけれど、一応。僕の価値は代替品、そんな感じだ」
淡々と。これまでそのように教育されて育ってきたから、彼は自分という存在が蛇足であり無用であり空虚な存在であると信じ込んでいる。なんと悲しいことなの。
理人さんから不安や孤独という感情が流れ込んでくる感覚。彼にとっての自己紹介がこんなに悲しいものだとは思わなかった。お金持ちとはもっとハッピーで、人生イージーモードなんじゃないの。
自然と私の両手が伸びていて、隣の椅子に座った理人さんを背中から抱き締める。どんな人生を歩んできたんだろう。私では理解しえない苦悩が彼の中にある。腕の中の成人男性が、震えてうずくまった孤独な少年に感じてならない。ぎゅっと力を入れる。
「理人さんの抱えているものがどれほどのものか、普通の私には全てを理解するのは難しいかもしれないです。私はちっぽけな人間です。そんな私にとっての理人さんは特別で替えなんてききません。貴方がいいです。貴方じゃないとだめです。理人さんという存在が私の中で日々大きくなっていくように、これから理人さんがたくさんの人に認められていく未来を私は信じています」
彼の崩れ切った自己肯定感の山に、私という存在の埃のような『特別』が積もるようにと祈るしかない。私の言葉なんかに価値があるのだろうか。そう思うのと同様に、理人さんも『自分なんか』と思っていたなんて想像もしていなかった。
抱き締めていた私の腕に理人さんの手が添えられる。男の力で解かれた両手首が拘束され、私の後頭部を手のひらが強引に引き寄せる。ちらっと見えた猫の目は熱く揺れていた気がした。
「んん」
押し付けられた分厚い唇は私の呼吸を止める勢いで。酸素を求めて無理やり開いた唇の隙間からぬるりと湿ったものが入ってくる。初めての情欲を抑えきれない獣のように、むさぼるように食べられる感覚が子宮を刺激する。
くちゅといやらしい水音に、これが私たちが生み出しているものとは思えなくて。久方ぶりの男女のそれに私の年上としての建前は崩れ去っていて、ただただ獲物として受け入れるしかできなかった。身体が震える。恐怖ではなく、私の雌が武者震いをしている。
一瞬だったかもしれないし、十分だったかもしれない。アドレナリンが時間の感覚さえ奪っていたみたいで、離れた余韻が身体中に残っている。
「・・・悪い。なんだか抑えきれなくて」
伏せられた長いまつ毛が前髪の隙間から覗いていて、怒られた大型犬が反省しているようだった。私は怒ってなんかいない。驚きはしたけれど、嫌な感情などひとつもなかった。
「初めて肯定された気がした。自分という存在を。ありがとう。さくらと出会えて、色んな感情が全身を駆け抜けていくよ。この先の人生がどうなるかなんて僕にはわからない。けれどさくらにもっと必要とされるように、自分なりに前に進んでいこうと思う」
先ほどまでの人形のようだったものとは違い、光の映る瞳に変わったように見えた。私なんかの言葉も感情も、彼には価値があるのかもしれない。
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