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第三章
3-5 決意の朝
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なんだか暑くて、自然と目が開いた気がする。開けた瞬間まぶしくて、思わず反対へと顔を向ければ理人さんがこちらを見降ろしていた。
「わっ」
初めての光景に昨夜の出来事が走馬灯のように脳内を駆け巡る。夏の痛いくらいに眩しい直射日光に照らされて、理人さんは普段の何十倍も美しい。
「おはよう」
「ぉ・・はようございます」
「身体は大丈夫?」
心配そうに頬を撫でられて、恥ずかしくて理人さんを直視なんて出来るわけがない。甘い空気、幸せな朝。胸がぎゅーっと締め付けられる。好きだ。この男がどうしようもなく、好きだ。直接は言えないけれど、優しいところも好意を隠さないところも紳士的なところも、昨夜の余裕のない顔もSっ気も全部が刺さって本当に苦しい。語彙力を失ってしまうくらいに、馬鹿みたいに好きでたまらない。
なんか良い返しを・・・と思っても、甘酸っぱい感情が邪魔をする。普通に出来ていたはずのことが、なんだか意識してしまって恥ずかしくてしょうがない。何も言わずにいた私を心配してか、不意にお腹を撫でられる。
「ふぁっ」
「お腹痛い?ちょっと無理させたかな・・・。次回はもっと丁寧に「いぁやぁ、っと・・・大丈夫ですんで。ちょっとぼうっとしていただけです」
「・・・そうか」
口では諦めた雰囲気を出しているけれど、未だにお腹を撫でてくる理人さんの手が納得はしていない様子。甘い雰囲気も最高にいいけれど、お花畑ではいられなくなったことに変わりはないのだ。見降ろしてくる理人さんのフェイスラインを撫でれば、猫のように顔をこすりつけてくる。
「これからどうしますか?」
「そうだな。・・・行きたい場所があるんだ」
「それは一体?」
「母親に会いたい」
そう言った理人さんの瞳には悲しみや憤りはない。自分を捨てた母親だと思っていたのか、亡くなったと思っていたのかは聞けない。これまでの人生で理人さんにとっての母親がどんな存在だったのかはわからないけれど、田村さんの話を聞いてご両親の愛がなく育ったわけではないと思いたい。色んなしがらみの中でしょうがなかった、という言い方が一番適当なのかも。
「私も一緒に行ってもいいですか?」
少し驚いてから降って来た柔らかな笑みと、頬を撫でる手が肯定を示してくれていた。
「本当に暑くなったな」
玄関を出た理人さんがそう言いたくなる気持ちもわかる。軽装のシャツとスラックス、私も風通しのいいワンピースを選んだけれど、朝から汗ばむほどの気温だ。夏独特の空気が皮膚にまとわりついている。
「新幹線は涼しいから、きっと快適ですよ」
私が明るく言うと、理人さんは少し笑って頷いた。荷物は小ぶりな鞄がひとつだけ。軽装で向かう旅には十分。
駅に向かう車の中で隣を覗き見れば、少し緊張した横顔が車窓を眺めている。彼の手の甲に触れてから、きゅっと包み込むように握る。
「大丈夫ですよ。私も一緒にいます」
「……ありがとう」
声は静かだったけれど、確かに彼の表情が少し柔らかくなったのがわかった。
駅の改札を抜け、新幹線のホームに到着した。構内に漂う独特な匂いと、アナウンスの声が混ざり合い、どこか旅の始まりを感じさせている。
指定席に腰を落ち着けると、冷房の涼しさにほっと息が漏れた。窓からは次第に都会の景色が流れ、やがて緑が濃くなっていく。
理人さんは外をじっと見つめたままで、その瞳には何が映っているのかわからない。
「緊張してますか?」
そっと聞いてみると、理人さんは小さく息を吐いてから頷く。
「記憶にもない母親だ。僕の家族はずっと田村さんと恵美子さんだけだった。うまく話せるかわからない」
「うまく話せなくてもいいんです。理人さんの想いが伝われば、それで」
窓の外には青い空と、遠くに広がる海の気配が見えるようになってきた。列車は間もなく目的地に到着する。心なしか理人さんの表情も少し引き締まっているように見えた。
駅からタクシーに乗り、車が静かな田舎道を進む。窓を開けると潮風がほんのり香り、セミの鳴き声が耳に響く。両側にはのどかな田園風景が広がり、都会の喧騒とは全く異なる時間が流れていた。
理人さんがただお母さんに会いに来たわけではないと思う。多分、彼なりの何か理由が。なんで手放したんだとか、会いに来てくれなかったんだとかそういうマイナスな感情ではない気がする。それは田村さんと恵美子さんが大事に愛情を持って理人さんに接してくれていた結果であり、それは私からこっそり伝えておきたい。
色んな事を考えている間にタクシーが静かに止まり、運転手が「到着しました」と告げる。目の前には、小さな一軒家があった。庭にはよく手入れされた花が咲き誇り、木製の門が温かみを感じさせる。
理人さんは深呼吸をして、家の方をじっと見つめている。その瞳には、緊張と覚悟が見えた。
「行きましょう」
私がそう言うと、理人さんは静かに頷き、門を押し開けた。
玄関をノックする音が、心臓の鼓動と同じリズムで響いている気がした。扉の向こうにいるのは、理人さんの母親。
控えめなノック音に、家の奥からスリッパの擦れる音が聞こえてきた。扉の曇りガラス越しに人影が近づいてくる。理人さんの指先が、微かに震えているのを私は見逃さなかった。
鍵が回る音。そして扉がゆっくりと開く。
「はい。・・・どなたでしょう?」
現れたのは、控えめな花柄のエプロンを身につけた女性。日焼けした肌に刻まれた皺は柔らかく、それでもどこか遠くを見るような目をしていた。
理人さんは無言のまま、その女性をじっと見つめている。どこか似ている――彼の穏やかな表情の一部に、この人がいるのだと私は思った。
「僕は…藤原理人です」
理人さんの声が、張り詰めた空気を裂くように響いた。女性の目が一瞬大きく開き、次の瞬間には震える手で口元を覆った。
「・・・理人、なの?」
お母さんの声は細く、驚きと混乱が混じっている。理人さんが静かに頷くと、女性の目には大粒の涙が溢れ出し、足元がふらついた。
慌ててお母さんを支えようとする理人さんが手を差し伸べた時、震える声で言葉を紡いだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
その姿は痛々しいほどに弱々しく、それでも真剣だった。理人さんは小さく息を吐いてから、お母さんを座らせるため玄関の中へと促した。私も続いて家の中へ足を踏み入れる。
「落ち着いてください。今日は責めるために来たわけじゃありません。ただ・・・お母さんに会いたかったんです」
理人さんの口から出た「お母さん」というぎこちない言葉が、これまでの母親のいない人生を物語っている。しばらくの沈黙の後、女性は震えながら口を開いた。
「あなたを手放したことを、ずっと後悔しています。自分が弱かったせいで、あなたを守れなかった……」
お母さんの言葉は途切れがちで、それでも溢れる後悔が全ての語尾に乗っていた。理人さんは真っ直ぐにお母さんを見つめながら、ゆっくりと首を振る。
「僕にはお母さんの記憶がない。けれど、愛されずに育ったなんて思っていない。確かに孤独だと感じて生きてきたけれど、今はひとりじゃない」
お母さんは息を呑み、理人さんの顔を見上げる。その眼差しには、少しずつ感情が宿っていく。
「・・・お母さんは、僕にどうなってほしい?」
その問いは、静かな空間に響いた。理人さんの声には怒りも悲しみもなく、ただ真剣な思いだけが込められているように感じた。理人さんの優しさがお母さんだけではなく、私まで染み込んでくる。
「何も望まない。ただ、あなたが幸せに生きてくれるなら、それ以上は何も……」
お母さんの声は震えながらも真っ直ぐだった。言い終えると、堰を切ったように涙が溢れ、手で顔を覆った。
理人さんはじっと彼女の言葉を聞いていた。そして、小さく「わかりました」とだけ答えた。その横顔には、これまで見せたことのない大人びた表情があった。
家を後にするとき、彼は最後に一言「また来ます」と言った。お母さんの目には再び涙が溢れていたが、今度は少しだけ笑みが混ざっていた。
帰りの道すがら、理人さんは何も語らなかった。ただ、その背中には何か新しい決意が宿っているように見えた。
今、隣を歩いている理人さんが前へ進むのは嬉しい。それと同時に恐ろしくもあるの。大きな可能性を秘めている彼に、私のスピードでついていけるのか。そんな不安を感じながら、気付かないふりをした。気付かずにいたかったの。
「わっ」
初めての光景に昨夜の出来事が走馬灯のように脳内を駆け巡る。夏の痛いくらいに眩しい直射日光に照らされて、理人さんは普段の何十倍も美しい。
「おはよう」
「ぉ・・はようございます」
「身体は大丈夫?」
心配そうに頬を撫でられて、恥ずかしくて理人さんを直視なんて出来るわけがない。甘い空気、幸せな朝。胸がぎゅーっと締め付けられる。好きだ。この男がどうしようもなく、好きだ。直接は言えないけれど、優しいところも好意を隠さないところも紳士的なところも、昨夜の余裕のない顔もSっ気も全部が刺さって本当に苦しい。語彙力を失ってしまうくらいに、馬鹿みたいに好きでたまらない。
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「ふぁっ」
「お腹痛い?ちょっと無理させたかな・・・。次回はもっと丁寧に「いぁやぁ、っと・・・大丈夫ですんで。ちょっとぼうっとしていただけです」
「・・・そうか」
口では諦めた雰囲気を出しているけれど、未だにお腹を撫でてくる理人さんの手が納得はしていない様子。甘い雰囲気も最高にいいけれど、お花畑ではいられなくなったことに変わりはないのだ。見降ろしてくる理人さんのフェイスラインを撫でれば、猫のように顔をこすりつけてくる。
「これからどうしますか?」
「そうだな。・・・行きたい場所があるんだ」
「それは一体?」
「母親に会いたい」
そう言った理人さんの瞳には悲しみや憤りはない。自分を捨てた母親だと思っていたのか、亡くなったと思っていたのかは聞けない。これまでの人生で理人さんにとっての母親がどんな存在だったのかはわからないけれど、田村さんの話を聞いてご両親の愛がなく育ったわけではないと思いたい。色んなしがらみの中でしょうがなかった、という言い方が一番適当なのかも。
「私も一緒に行ってもいいですか?」
少し驚いてから降って来た柔らかな笑みと、頬を撫でる手が肯定を示してくれていた。
「本当に暑くなったな」
玄関を出た理人さんがそう言いたくなる気持ちもわかる。軽装のシャツとスラックス、私も風通しのいいワンピースを選んだけれど、朝から汗ばむほどの気温だ。夏独特の空気が皮膚にまとわりついている。
「新幹線は涼しいから、きっと快適ですよ」
私が明るく言うと、理人さんは少し笑って頷いた。荷物は小ぶりな鞄がひとつだけ。軽装で向かう旅には十分。
駅に向かう車の中で隣を覗き見れば、少し緊張した横顔が車窓を眺めている。彼の手の甲に触れてから、きゅっと包み込むように握る。
「大丈夫ですよ。私も一緒にいます」
「……ありがとう」
声は静かだったけれど、確かに彼の表情が少し柔らかくなったのがわかった。
駅の改札を抜け、新幹線のホームに到着した。構内に漂う独特な匂いと、アナウンスの声が混ざり合い、どこか旅の始まりを感じさせている。
指定席に腰を落ち着けると、冷房の涼しさにほっと息が漏れた。窓からは次第に都会の景色が流れ、やがて緑が濃くなっていく。
理人さんは外をじっと見つめたままで、その瞳には何が映っているのかわからない。
「緊張してますか?」
そっと聞いてみると、理人さんは小さく息を吐いてから頷く。
「記憶にもない母親だ。僕の家族はずっと田村さんと恵美子さんだけだった。うまく話せるかわからない」
「うまく話せなくてもいいんです。理人さんの想いが伝われば、それで」
窓の外には青い空と、遠くに広がる海の気配が見えるようになってきた。列車は間もなく目的地に到着する。心なしか理人さんの表情も少し引き締まっているように見えた。
駅からタクシーに乗り、車が静かな田舎道を進む。窓を開けると潮風がほんのり香り、セミの鳴き声が耳に響く。両側にはのどかな田園風景が広がり、都会の喧騒とは全く異なる時間が流れていた。
理人さんがただお母さんに会いに来たわけではないと思う。多分、彼なりの何か理由が。なんで手放したんだとか、会いに来てくれなかったんだとかそういうマイナスな感情ではない気がする。それは田村さんと恵美子さんが大事に愛情を持って理人さんに接してくれていた結果であり、それは私からこっそり伝えておきたい。
色んな事を考えている間にタクシーが静かに止まり、運転手が「到着しました」と告げる。目の前には、小さな一軒家があった。庭にはよく手入れされた花が咲き誇り、木製の門が温かみを感じさせる。
理人さんは深呼吸をして、家の方をじっと見つめている。その瞳には、緊張と覚悟が見えた。
「行きましょう」
私がそう言うと、理人さんは静かに頷き、門を押し開けた。
玄関をノックする音が、心臓の鼓動と同じリズムで響いている気がした。扉の向こうにいるのは、理人さんの母親。
控えめなノック音に、家の奥からスリッパの擦れる音が聞こえてきた。扉の曇りガラス越しに人影が近づいてくる。理人さんの指先が、微かに震えているのを私は見逃さなかった。
鍵が回る音。そして扉がゆっくりと開く。
「はい。・・・どなたでしょう?」
現れたのは、控えめな花柄のエプロンを身につけた女性。日焼けした肌に刻まれた皺は柔らかく、それでもどこか遠くを見るような目をしていた。
理人さんは無言のまま、その女性をじっと見つめている。どこか似ている――彼の穏やかな表情の一部に、この人がいるのだと私は思った。
「僕は…藤原理人です」
理人さんの声が、張り詰めた空気を裂くように響いた。女性の目が一瞬大きく開き、次の瞬間には震える手で口元を覆った。
「・・・理人、なの?」
お母さんの声は細く、驚きと混乱が混じっている。理人さんが静かに頷くと、女性の目には大粒の涙が溢れ出し、足元がふらついた。
慌ててお母さんを支えようとする理人さんが手を差し伸べた時、震える声で言葉を紡いだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
その姿は痛々しいほどに弱々しく、それでも真剣だった。理人さんは小さく息を吐いてから、お母さんを座らせるため玄関の中へと促した。私も続いて家の中へ足を踏み入れる。
「落ち着いてください。今日は責めるために来たわけじゃありません。ただ・・・お母さんに会いたかったんです」
理人さんの口から出た「お母さん」というぎこちない言葉が、これまでの母親のいない人生を物語っている。しばらくの沈黙の後、女性は震えながら口を開いた。
「あなたを手放したことを、ずっと後悔しています。自分が弱かったせいで、あなたを守れなかった……」
お母さんの言葉は途切れがちで、それでも溢れる後悔が全ての語尾に乗っていた。理人さんは真っ直ぐにお母さんを見つめながら、ゆっくりと首を振る。
「僕にはお母さんの記憶がない。けれど、愛されずに育ったなんて思っていない。確かに孤独だと感じて生きてきたけれど、今はひとりじゃない」
お母さんは息を呑み、理人さんの顔を見上げる。その眼差しには、少しずつ感情が宿っていく。
「・・・お母さんは、僕にどうなってほしい?」
その問いは、静かな空間に響いた。理人さんの声には怒りも悲しみもなく、ただ真剣な思いだけが込められているように感じた。理人さんの優しさがお母さんだけではなく、私まで染み込んでくる。
「何も望まない。ただ、あなたが幸せに生きてくれるなら、それ以上は何も……」
お母さんの声は震えながらも真っ直ぐだった。言い終えると、堰を切ったように涙が溢れ、手で顔を覆った。
理人さんはじっと彼女の言葉を聞いていた。そして、小さく「わかりました」とだけ答えた。その横顔には、これまで見せたことのない大人びた表情があった。
家を後にするとき、彼は最後に一言「また来ます」と言った。お母さんの目には再び涙が溢れていたが、今度は少しだけ笑みが混ざっていた。
帰りの道すがら、理人さんは何も語らなかった。ただ、その背中には何か新しい決意が宿っているように見えた。
今、隣を歩いている理人さんが前へ進むのは嬉しい。それと同時に恐ろしくもあるの。大きな可能性を秘めている彼に、私のスピードでついていけるのか。そんな不安を感じながら、気付かないふりをした。気付かずにいたかったの。
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