Sランクの男は如何でしょうか?【R18】※番外編更新中

キミノ

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第5章

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「どうかしましたか?」

「いえ__、司くんはお仕事の電話ですか?」

「・・・そうです。さぁ、明日は移動時間が長いので今日は早めに休みましょう」

 かまをかけるつもりではなかった。しかし、知らねばいけない事があると思った。何かの渦に巻き込まれているのだと。









 「さあ、行きましょうか。二人でいられなくなるのは残念ですが、安心してくださいね」

「安心・・・ですか?」

「はい。兄さんの元ではなく、また俺たちの家に戻ります。沙也加さんは傷つかずにすみますよ」


 帰るまでの時間はとても長い道のりだったが、考え事をしていたおかげであっという間だった。司が藤本と話していた事がどうにも引っかかっていた。映画で見る悪人の会話に感じて仕方がない。心のもやもやは考える程大きくなり、何を考えるにも疑心暗鬼になってしまっていた。

 何を信じるべきなのか、答えは出なかった。



 島からはヘリコプターで移動し、そこからは車や新幹線に乗り継ぎながら言われるがまま付いて行くしかなかった。いつの間にか眠っていて、司の優しい声で起こされた。

「降りますよ。俺がそちら側に回るまで座っていてくださいね」

 先に司が長い脚を伸ばして車から降りて行った。寝起きのぼうっとした頭のまま、おとなしく車内で待つことにした。


 ニ分経った。回り込むのにそんなに時間が掛かるだろうか。荷物でも先に降ろしているのだろうか。

 五分経った。___待つべきなのか、もう一人でも降りれるのだけれど。



「××××××」

「××××!」

 外が騒がしい。口論しているみたいに。




「ちょっと待っ(がちゃ)

 突然開いた扉から風が入り、小さく髪が揺れた。車内だった為コートは着ておらず、冷たい空気が肌寒い。ほのかに香る煙草の匂いは相変わらず良い気分はしない。見開いた目は瞬きを忘れ、乾燥で痛んだ。

 黒い本革の手袋に導かれて車を降りた。グレーのズボンは足先に向かってタイトになっていて、茶色の靴がより引き立っている。黒いチェスターコートの襟元にはモスグリーンのマフラーが巻かれていて、英国紳士の雰囲気が漂っていた。真っ黒な髪はセンター分けで風になびき、不快そうに眉が寄っている。




 一番会いたくなくて、一番恋しかった人。




「家出は楽しかったか?」

 猫の様な瞳は、獲物を捕らえて不敵に笑っていた。


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