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44話 山脈の大石窟

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 初めて入ったダンジョン、山脈の大石窟を進む俺達。
 中は若干薄暗いが、壁の素材であろう鉱石が発光しており、意外と視界はクリアだ。

「ダンジョンって初めて入ったけど、こんな感じなんだな」
「ご主人様の想像してたダンジョンってどんなの??」
「例えば……真っ暗だからライトの魔法や松明が必須とか、何十階層もあって最下層にはまだ未到達、だとかそんなイメージがあったからさ」

 今の俺達がいるダンジョンのような、階層が浅くてボス討伐されてもすぐ再生するような仕組みの小説も確かにあったが、イメージとしてはさっき言った通りの方が多いような気がする。

「それって前にご主人が言ってた想像の物語のやつっすか?」
「そうだ。まぁ少数派だがこのダンジョンみたいな階層の浅いダンジョンを描く物語を書いてる人も居たから、変とは思わないがな……っと、敵が来たぞ」

 索敵に反応が1つ来てる……そこにある曲がり角からか。
 全員に止まってもらい、曲がり角からチラ見すると岩の塊が歩いてくる……初めて見たな、ゴーレムだ。

「そこに見える曲がり角からゴーレムが1体来るぞ、ゴーレムは硬そうなイメージがあるが……物理勢は叩けるのか?」
「普通のゴーレムなら問題ないっす!身体強化していれば、自分でもカエデでも砕けるはずっす」
「了解、ならカエデ頼めるか?このまま敵が進んできたら10秒後くらいにそこから出てくるから、叩いてくれ」
「うん、了解。身体強化」

 身体強化を掛けたカエデが、曲がり角の壁に背を向けて張り付く。

「5、4、3、2、1、今だ!」
「てりゃぁぁぁ!」

 不意打ちの一撃によりよろけるゴーレム。
 しかし流石ゴーレムだ、1撃じゃ倒れないか。

「まだまだいくよ!」

 カエデの連続パンチにより、ゴーレムの身体がどんどん砕けていき、魔石のある核が見えるようになってきた。
 不意打ちで混乱したゴーレムは、カエデの連撃により反撃が取れずにいた。

「これが核ね!一点突破で……叩く!」

 カエデの見事な連撃により、拳が遂に核へ到達、核が壊れると同時にゴーレムの身体はガラガラと音を立てて崩れ去った。

「ゴーレムは思った通り硬いね、少し手が痺れちゃった」

 カエデが手をブンブン振りながら帰ってきた。

「お疲れカエデ、手は大丈夫か?」
「うん大丈夫!刃物だとあれは刃こぼれしちゃいそうだから、魔法か打撃系の方が良さそうだね」
「なるほど、それなら変身せずにこのままがよさそうだな。さぁ進むぞー!」
「「「はーい」」っす」

 このダンジョンに出てくる1層の魔物は大体把握出来た。
 ゴーレムにアジットスライム、ロックアルマージにスパイダーと言った具合だ。
 薄暗い所を好みそうな敵と結構な割合で岩や石関連の魔物の数が多めだな、石窟と言われるだけあるかも。

 1階層をどんどん進む、そう言えば罠が見当たらない気がするが……この世界のダンジョンには罠がないのか?一応周囲に目を凝らして見ているが、ない気がする。

「コウガ様、そんなに周りをキョロキョロしてると変質者に見えるわよ?」
「え、そんな変に見える?」
「そうっすね、変質者は言い過ぎっすけど……怪しくは見えちゃうっす」
「いや、罠とか無いのかなって思ってさ」
「罠??誰かが仕掛けていくんすか?」
「えっ?」
「「えっ?」」

 ん?何だか会話が地味に噛み合ってない?

「もしかして、この世界のダンジョンには罠がないのか?」
「ダンジョンに罠……?罠ってどういう意味か分からないっすけど、モンスター部屋とか宝箱モンスターのミミック位しか怪しい物はないっすよ?基本魔物が現れるだけっすね」
「そ、そうなんだ」

 モンスター部屋にミミックくらいか、何だか前世のゲームみたいな世界観だな。
 例えば、某不〇〇のダ〇〇〇ンとかを連想させるね。

「モンスター部屋はご主人の索敵があれば、まず不意討ちされる事は無いと思っていいっすね。ミミックも宝箱つついたりすればすぐ分かるっす」
「なるほどな、勉強になる」

 魔物を倒しながら進み、2回程行き止まりルートを当ててしまいつつも進んでいくと、2階層へ上がる階段を発見。

「あっ、ご主人様!階段あったよ!」
「お、これで1階層は終わりか。みんな、疲れてないか?大丈夫か?」
「私は大丈夫だよ!」
「私も問題ないわね」
「自分も大丈夫っす!ただ、階段傍は魔物が極端に少ないエリアな事が多いっす。実際階段傍では魔物はあまり見ないっすし、少しだけ休憩するのも良いかもっす」
「そうだな、ダンジョン初挑戦で無理する事もないし、休憩にしよう」

 階段に全員腰掛ける、俺は水魔法で水を呼び出し全員に水分補給してもらう。

「んー!ご主人様の出す水冷たくて美味しいね!」
「飲み水にしてもよし、生活水にしてもよし、便利だよな水魔法」
「自分も魔法使えたら良いんすけどね、土属性の適正はあるのは分かってるんすけど、スキルが覚えないんすよ」
「俺もそうなんだよなぁ……ま、諦めず頑張ろう」
「っすね」

 20分程休憩してから、階段を上がって2階層へ進出する、するととんでもなくキラキラした物が横切って曲がり角を曲がっていくのが見えた。

「ん!?ちょい止まって」
「え、どうしたのごしゅっ」
「しっ!静かに」

 俺は咄嗟にカエデの口を手で塞ぎ、足音を立てずに曲がり角をしゃがみながらチラっと覗き込む、すると銀色でテカテカキラキラした丸い物が見えた。
 見覚えがある……あれってまさか!?

「アレってまさか……メ〇ル〇〇〇ム!?」
「もごもごごご!?」

 顔を赤くしたカエデが、俺に口を手で塞がれてもごもごしていた。

「あっ!?悪い……つい」
「んもービックリしたよ……で、ご主人様何を見つけたの?」
「あれを見ろ、あれ」
「……?」

 カエデはしゃがんでる俺の上から覆い被さるように覗き込む、頭にふにゃっとした感触があった。
 まぁ胸当てしてるから片胸だけだけど、柔こうごさいました。

「あっ!?あれってレアメタじゃない!?」
「「えっ!?」」

 ソルトとメイランもレアメタって言葉に反応して俺の背中から覗き込むように体重を掛けてきた。

「うっ!?流石に3人は支えられな……うおっ!」
「きゃっ!」
「あっ!」
「うわっ!」

 俺が1番下になって3人が重なるように倒れ込む、その音に驚いたのかレアメタは超スピードで逃げ出して行った。

「いったった……みんな大丈夫?」
「じ、自分は大丈夫っす……」
「私も大丈夫よ……コウガ様は……あっ」

 3人が下を見る、俺は3人にのしかかれて幸せを感じつつピクピクしていた。

「ご主人様ぁーー!」
「ご主人ーー!」
「コウガ様ーー!」

 3人は慌てて起き上がり、俺を起こしてくれた。

 3人の体重はなかなかに幸せだったぞ……Mではないぞ?本当だからな!?
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