劉備が勝つ三国志

みらいつりびと

文字の大きさ
6 / 61

三人の武器

しおりを挟む
「武器をつくろう」
 劉備が義弟たちを見つめて言った。
「よいですな。私もいい武器を所持したい」
 関羽は古い刀しか持っていなかった。
「お金はあるの?」
 張飛が義兄たちに問いかけた。
「問題はそれだ……」
 劉備は頭を抱えた。

 三人は馬商人の張世平に会いに行った。彼は巨大な馬牧場を有する豪商である。
「張世平殿、お願いがあります」
 劉備は頭を下げながら言った。
「黄巾の乱が起こりました。おれたちは戦おうと思っています。しかしろくな武器を持っていないし、それを買うお金もないのです」
「つまり金の無心ですな」
「はい……」
「劉備殿が挙兵なさるのなら、出資しましょう。私はあなたに期待している。よい武器を買うだけでなく、兵を揃えなさい」
 張世平は劉備に大金を渡した。
「こんなに?」
「兵を揃え、食わせるのは並大抵ではありませんぞ」
「確かに」
「蘇双殿にも頼んでみなさい」

 劉備は手広く飲食店を経営する蘇双のところにも行った。
 頼むと、大金をくれた。彼も劉備を見込んでいたのである。
 挙兵するのに十分な資金が集まった。

 義兄弟たちは、涿県で一番大きな鍛冶屋へ行った。
「青龍偃月刀をつくってもらいたい」と関羽は注文した。
「安物ではなく、重くてしっかりしたものを」
 青龍偃月刀とは、長い柄の先に湾曲した刃がついた武器である。刃の部分に青龍の装飾を施す。

「おれは蛇矛がいい」と張飛は言った。
 彼は成長し、自分のことをおいらとは言わなくなっていた。
「長めの矛をつくってくれ」
 蛇矛とは、刃の部分が蛇のようにくねくねと曲がっている槍のような武器。突き刺すと、くねっているがゆえに致命傷を与えやすい。

「おれは双股剣を」と劉備は頼んだ。
「剣を吊るための帯革も買う」 
 双股剣とは、雌雄一対の剣。短剣で、女性が護身用に使うことも多い。
 劉備は義弟たちに比べると非力で、戦闘はふたりに任せようと思っていた。

「あんたら、金は持っているのか?」
 鍛冶屋の主人がじろりと劉備を見た。
 彼は革袋から、じゃらじゃらと多くの金銭を出した。
「よい品をつくってくれ。黄巾賊と戦うから、急ぎで頼む」
 劉備は目に力を込めた。
 貧乏ななりをしているのに、大金を持っている。
 鍛冶屋は驚き、「わかりました」と答えた。

 鍛冶屋に武器をつくらせている間に、劉備は義勇兵を募った。
 金があり、飢えさせることはないと宣伝すると、二百人ほどの若い男たちが集まった。
 劉備は彼らを関羽隊と張飛隊に分けた。
 関羽と張飛は、すぐに練兵に取りかかった。ふたりは真っ当な軍事訓練を受けたことはないが、けんかは滅法強く、兵を使うコツのようなものを持っていた。
 雑務は簡雍に任せた。彼は嫌々ながらも、うまく兵隊を管理した。意外と実務能力が高い。
 
 しばらくして、義兄弟たちは再び鍛冶屋へ行き、できあがった武器を受け取った。
 関羽の青龍偃月刀の重さは、八十二斤。彼はふつうの兵士ではまとも扱えない重量の刀を、軽々と振るった。
 張飛の蛇矛の長さは、一丈八尺。長すぎる矛を、彼はくるくると簡単に振り回すことができた。
 劉備の双股剣は短いが、切れ味は抜群であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜

岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。 けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。 髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。 戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!??? そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。

武蔵要塞1945 ~ 戦艦武蔵あらため第34特別根拠地隊、沖縄の地で斯く戦えり

もろこし
歴史・時代
史実ではレイテ湾に向かう途上で沈んだ戦艦武蔵ですが、本作ではからくも生き残り、最終的に沖縄の海岸に座礁します。 海軍からは見捨てられた武蔵でしたが、戦力不足に悩む現地陸軍と手を握り沖縄防衛の中核となります。 無敵の要塞と化した武蔵は沖縄に来襲する連合軍を次々と撃破。その活躍は連合国の戦争計画を徐々に狂わせていきます。

戦国終わらず ~家康、夏の陣で討死~

川野遥
歴史・時代
長きに渡る戦国時代も大坂・夏の陣をもって終わりを告げる …はずだった。 まさかの大逆転、豊臣勢が真田の活躍もありまさかの逆襲で徳川家康と秀忠を討ち果たし、大坂の陣の勝者に。果たして彼らは新たな秩序を作ることができるのか? 敗北した徳川勢も何とか巻き返しを図ろうとするが、徳川に臣従したはずの大名達が新たな野心を抱き始める。 文治系藩主は頼りなし? 暴れん坊藩主がまさかの活躍? 参考情報一切なし、全てゼロから切り開く戦国ifストーリーが始まる。 更新は週5~6予定です。 ※ノベルアップ+とカクヨムにも掲載しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

改造空母機動艦隊

蒼 飛雲
歴史・時代
 兵棋演習の結果、洋上航空戦における空母の大量損耗は避け得ないと悟った帝国海軍は高価な正規空母の新造をあきらめ、旧式戦艦や特務艦を改造することで数を揃える方向に舵を切る。  そして、昭和一六年一二月。  日本の前途に暗雲が立ち込める中、祖国防衛のために改造空母艦隊は出撃する。  「瑞鳳」「祥鳳」「龍鳳」が、さらに「千歳」「千代田」「瑞穂」がその数を頼みに太平洋艦隊を迎え撃つ。

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~

bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。

処理中です...