【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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翌日



「加藤、クリスマス来ないんだって?」



学校が終わり鞄を持った時、隣の席の男子が話し掛けてきた。



「うん、ごめんね?」



「家の手伝い?」



「うん。」



下を向きながら答えた私に、その男子は言ってきた。



「ちょっとくらいサボって来いよ。
みんな待ってるから。」



「どうしても行けないんだよね、ごめんね?」



「そんなに家の手伝い忙しいの?」



「うん・・・。」



答えた私にその男子が言った。



言ってきた。



「可哀想に。」



それを聞いて・・・



そんな言葉を渡されて・・・



私は大きな大きな口を開いた。



「私は可哀想じゃないから!!!」



叫んだ私に男子は凄く驚いた顔をしている。
それは見えている。
それは分かっている。
でもこの口が止まらなくて。
このザワザワが止まらなくて。
このイライラもムシャクシャも止まらなくて・・・。



「私は戦後から日本の経済をリードし続けている財閥の1つ、増田財閥の分家の“家”に遣える秘書の“家”の生まれなの・・・!!!
みんなとは違うの・・・っっ!!!
みんなみたいな“普通”の家とは全然違うんだよ・・・っっ!!
放課後も休日もクリスマスも遊べるようなみんなとは違うの・・・っっ!!!
全然違うの・・・っっ!!!」



叫んでいる途中から見えていた。



この男子の向こう側から、“友達”が私と一緒に帰る為にこっちに向かってきていた姿が。



そして私の叫びを聞いてとても驚いている顔が。



そして・・・



そして、“友達”達がお互いに顔を見合せ、怒っているような悲しんでいるような複雑そうな顔で、私の所に向かっていた足を扉に向けしまった姿が。



“友達”達の後ろ姿が扉の向こう側に消えていったのを見て、私は大きく泣きながら床にしゃがんだ。



なんだかもう無理そうで。



なんだかもう頑張ることが出来なさそうで。



“苦しい”



“苦しい”



こんなに苦しみながらこんなに泣いているのに、手を差し伸べてくれる人は誰もいない。



「なんか、無理に誘ってごめんな・・・?
家の手伝い頑張れよ!」



そんな言葉が欲しいのではない。



私はそんな言葉を渡して欲しいのではない。



私はそんな言葉なんて受け取りたくない。



全然、全然受け取りたくない。



そう思いながら、長い長い時間泣き続けた。



“生きているのが苦しい”と思いながら。



“生きているのはこんなにも苦しい”



“早く死んでしまいたい”



“この世界なんて消えて無くなれば良いのに”



“一瞬で消えて無くなってしまえば良いのに”



私は病気なのだと思う。



“中二病”というヤバい病気なのだと思う。



「帰りたくない・・・。」



私はあの“家”に帰りたくない。



あんな所は“家”なんかじゃない。



私には帰る所なんてない。



そう思いながら・・・



そう思ってしまいながら、私は学校から家までの間をグルグルと歩き続けた。



月に千円のお小遣いしか貰えていない中学1年生の私は、グルグルと歩き続けるしかなかった。
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