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翌日
「加藤、クリスマス来ないんだって?」
学校が終わり鞄を持った時、隣の席の男子が話し掛けてきた。
「うん、ごめんね?」
「家の手伝い?」
「うん。」
下を向きながら答えた私に、その男子は言ってきた。
「ちょっとくらいサボって来いよ。
みんな待ってるから。」
「どうしても行けないんだよね、ごめんね?」
「そんなに家の手伝い忙しいの?」
「うん・・・。」
答えた私にその男子が言った。
言ってきた。
「可哀想に。」
それを聞いて・・・
そんな言葉を渡されて・・・
私は大きな大きな口を開いた。
「私は可哀想じゃないから!!!」
叫んだ私に男子は凄く驚いた顔をしている。
それは見えている。
それは分かっている。
でもこの口が止まらなくて。
このザワザワが止まらなくて。
このイライラもムシャクシャも止まらなくて・・・。
「私は戦後から日本の経済をリードし続けている財閥の1つ、増田財閥の分家の“家”に遣える秘書の“家”の生まれなの・・・!!!
みんなとは違うの・・・っっ!!!
みんなみたいな“普通”の家とは全然違うんだよ・・・っっ!!
放課後も休日もクリスマスも遊べるようなみんなとは違うの・・・っっ!!!
全然違うの・・・っっ!!!」
叫んでいる途中から見えていた。
この男子の向こう側から、“友達”が私と一緒に帰る為にこっちに向かってきていた姿が。
そして私の叫びを聞いてとても驚いている顔が。
そして・・・
そして、“友達”達がお互いに顔を見合せ、怒っているような悲しんでいるような複雑そうな顔で、私の所に向かっていた足を扉に向けしまった姿が。
“友達”達の後ろ姿が扉の向こう側に消えていったのを見て、私は大きく泣きながら床にしゃがんだ。
なんだかもう無理そうで。
なんだかもう頑張ることが出来なさそうで。
“苦しい”
“苦しい”
こんなに苦しみながらこんなに泣いているのに、手を差し伸べてくれる人は誰もいない。
「なんか、無理に誘ってごめんな・・・?
家の手伝い頑張れよ!」
そんな言葉が欲しいのではない。
私はそんな言葉を渡して欲しいのではない。
私はそんな言葉なんて受け取りたくない。
全然、全然受け取りたくない。
そう思いながら、長い長い時間泣き続けた。
“生きているのが苦しい”と思いながら。
“生きているのはこんなにも苦しい”
“早く死んでしまいたい”
“この世界なんて消えて無くなれば良いのに”
“一瞬で消えて無くなってしまえば良いのに”
私は病気なのだと思う。
“中二病”というヤバい病気なのだと思う。
「帰りたくない・・・。」
私はあの“家”に帰りたくない。
あんな所は“家”なんかじゃない。
私には帰る所なんてない。
そう思いながら・・・
そう思ってしまいながら、私は学校から家までの間をグルグルと歩き続けた。
月に千円のお小遣いしか貰えていない中学1年生の私は、グルグルと歩き続けるしかなかった。
「加藤、クリスマス来ないんだって?」
学校が終わり鞄を持った時、隣の席の男子が話し掛けてきた。
「うん、ごめんね?」
「家の手伝い?」
「うん。」
下を向きながら答えた私に、その男子は言ってきた。
「ちょっとくらいサボって来いよ。
みんな待ってるから。」
「どうしても行けないんだよね、ごめんね?」
「そんなに家の手伝い忙しいの?」
「うん・・・。」
答えた私にその男子が言った。
言ってきた。
「可哀想に。」
それを聞いて・・・
そんな言葉を渡されて・・・
私は大きな大きな口を開いた。
「私は可哀想じゃないから!!!」
叫んだ私に男子は凄く驚いた顔をしている。
それは見えている。
それは分かっている。
でもこの口が止まらなくて。
このザワザワが止まらなくて。
このイライラもムシャクシャも止まらなくて・・・。
「私は戦後から日本の経済をリードし続けている財閥の1つ、増田財閥の分家の“家”に遣える秘書の“家”の生まれなの・・・!!!
みんなとは違うの・・・っっ!!!
みんなみたいな“普通”の家とは全然違うんだよ・・・っっ!!
放課後も休日もクリスマスも遊べるようなみんなとは違うの・・・っっ!!!
全然違うの・・・っっ!!!」
叫んでいる途中から見えていた。
この男子の向こう側から、“友達”が私と一緒に帰る為にこっちに向かってきていた姿が。
そして私の叫びを聞いてとても驚いている顔が。
そして・・・
そして、“友達”達がお互いに顔を見合せ、怒っているような悲しんでいるような複雑そうな顔で、私の所に向かっていた足を扉に向けしまった姿が。
“友達”達の後ろ姿が扉の向こう側に消えていったのを見て、私は大きく泣きながら床にしゃがんだ。
なんだかもう無理そうで。
なんだかもう頑張ることが出来なさそうで。
“苦しい”
“苦しい”
こんなに苦しみながらこんなに泣いているのに、手を差し伸べてくれる人は誰もいない。
「なんか、無理に誘ってごめんな・・・?
家の手伝い頑張れよ!」
そんな言葉が欲しいのではない。
私はそんな言葉を渡して欲しいのではない。
私はそんな言葉なんて受け取りたくない。
全然、全然受け取りたくない。
そう思いながら、長い長い時間泣き続けた。
“生きているのが苦しい”と思いながら。
“生きているのはこんなにも苦しい”
“早く死んでしまいたい”
“この世界なんて消えて無くなれば良いのに”
“一瞬で消えて無くなってしまえば良いのに”
私は病気なのだと思う。
“中二病”というヤバい病気なのだと思う。
「帰りたくない・・・。」
私はあの“家”に帰りたくない。
あんな所は“家”なんかじゃない。
私には帰る所なんてない。
そう思いながら・・・
そう思ってしまいながら、私は学校から家までの間をグルグルと歩き続けた。
月に千円のお小遣いしか貰えていない中学1年生の私は、グルグルと歩き続けるしかなかった。
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