【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました！

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「綺麗な夜空・・・。」



青い空ではない黒い空なだけなのに、夜の空まで綺麗に見えた。
あの水族館のように青い光りもないただの夜空なのに、私には綺麗な夜の黒い空に見えて・・・



「・・・・・・ゎっ」



急に、空を見上げていた私の顔の上に”何か“がﾌﾜｯ─────...とのった。



それには驚きその”何か“を手に取り見てみた。



そしたら・・・



「ハンカチ・・・？」



オフィス街の夜の明かりに照らされた、青いタオルハンカチが私の手の中にはあった。



真っ青なタオルハンカチが・・・。



「レジの所で売ってる雑貨。
1番下の妹の手作りだっていう雑貨が売ってるんだよ。」



お会計の時に視界には入っていたそれらは、1番下の妹さんによる手作りの雑貨だったらしい。



そして、青さんがそこで買ったこの青いタオルハンカチを私に渡そうとしているのだと分かる。



分かるけれど・・・



”貰えないよ・・・。“



私は誰かから”何か“を簡単に受け取れるような秘書には育てられていない。
私は”ダメ秘書”だから、お兄ちゃんからそこは徹底的に指導され続けてきた。



だから・・・



両手に持ったタオルハンカチをこの目にしっかりと焼き付けていく。



青さんの手から直接渡して貰ったタオルハンカチを呆けても忘れないよう、瞬きもしないで記憶していく。



青さんの気持ちと青さんからこのタオルハンカチを渡して貰ったという事実を何度も何度も私の心に刻んでいく。



そして、笑顔を作りながら青さんのことを見上げた。



“お礼のお礼は大丈夫です。”



そう言おうと口を開いた瞬間・・・



「社会人なんだからハンカチの1枚くらいちゃんと持っておけよ。」



青さんが、そう言った。



「ソっちゃんの影響を受けて、お前ハンカチを持ち歩くのやめたんだろ？
何処に行ってもハンカチがなくても困らないとかいう俺には理解出来ないことが日記に書いてあってマジで“はあ？”だったからな？
しかも、お前はたまにハンカチを持ってなくて困ったっていうやつが日記に書いてあっただろ。」



いつ青さんに送ったのか自分でも覚えていないくらい昔の日記の内容を、青さんが普通に話してきて・・・。



凄く意地悪な顔で笑った。



「今は家政婦でもただの清掃員でもなく、俺の会社、ワンスターエージェントの加藤望だろ？
うちの掃除屋として清掃までしようとしてるくらいなら、ハンカチを1枚くらいちゃんと持っておけよ。」



そう言われて・・・



そんな風に言ってくれて・・・



私は開いていた口を閉じ、深く頷いた。



「青さん、ありがとう・・・。」