【R18】清掃員加藤望、社長の弱みを握りに来ました!

Bu-cha

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「最後におばあちゃんに挨拶しないで良かったの?」 
 


駐車場にとめている車に寄りかかり、めちゃくちゃ不機嫌な顔で俯いている青さんに声を掛けた。



「またすぐに会いに行くからいい・・・。
俺は望の“ほぼ旦那”だからな、もういつでも亀さんに会える。
望の“ほぼ旦那”でいる間だけは、いつでも会いに行ける・・・。」



「そうだね、また会いに行ってあげて。
おばあちゃんがあんなに安心出来るのは青さんの前でだけなんだって。
もう徘徊する力も残ってないからおばあちゃんは晃孝堂の1号店には行けなくなったみたい。
おばあちゃんの記憶の中でだけでも照之に会いに行くことが出来なくなったから、青さんが会いに行ってあげて。」



「でも、俺の“ほぼ奥さん”がヤキモチを焼くからな・・・。」



めちゃくちゃ元気がない声でそんなことを言ってきた青さんの、死にそうになっている横顔に向かって笑いながら言った。



「そうだよ、めちゃくちゃヤキモチ焼いちゃったよ!!」



パッと私の顔を見てきた青さんに、普通に笑いながら本当のことを言う。



「私への可愛がり方と全然違うじゃん!!
めちゃくちゃ良い旦那でビックリしたからね!?
私にももっと優しくて良い旦那さんになってくれないとヤキモチばっかり焼いて、煩くて面倒な“ほぼ奥さん”になっちゃうよ!!」



私の言葉に青さんはパッと嬉しそうな笑顔になった。



「お前のヤキモチは分かりにくいんだよ!!
普通に言葉に出せよ、普通に!!」



「自分のあばあちゃんにヤキモチとかキモいじゃん。」



「いや、可愛いよ、もう何でも可愛い。
望のヤキモチなら演技だろうが何だろうがいくらでも付き合える。
でも・・・」



青さんが言葉を切って、また下を向いた。



「ノンノンのことを否定されるのはマジで辛いから・・・。
俺の弱みを頑張って握れよ・・・。 
俺の“ほぼ嫁さん”としてもっと頑張れよ・・・。」



「私ってほら、ダメ秘書だからさ。」



「マジでダメすぎるだろ・・・。
まあ、だからこんなに・・・」



また言葉を切った青さんが、ゆっくりと顔を上げて私のことを見てきた。



その瞬間、冬の冷たい風が吹いた。



「こんなに、望のことを離したくない気持ちになるのかもな。
望は他の女と違って俺に全然捕まえさせてくれない。
俺に懐いてるはずなのに、マジでネコみたいにフラッと俺の所から離れていく。
昔はそれも可愛いし面白いとも思っていたけど、今はそれがめちゃくちゃ怖い。
めちゃくちゃ怖すぎて、本当のところ俺の家に監禁してたい。」



「・・・・・・いや、最後。
最後マジの犯罪じゃん・・・・っ!!!」



それには大きく笑ってしまった。



「笑い事じゃないんだって。
“俺の家にずっといれば良いのに”って毎日、毎秒思ってるからな?
この“ずっと”はマジのずっとで、ずっっっっっっと俺の家から外の世界に行かない“イエヨメ“になれば良いのにって。」



「”イエヨメ“って何!?」



「”イエネコ“の嫁バージョン。」



「もう、青さんって本当にバカ・・・!!」



爆笑しながら青さんの車の助手席の扉を開けた。
冬の冷たい風にも負けないくらい大きく笑いながら。



そして、車に乗る前に青さんに向かってネコのポーズをした。



「早く青さんのお家でゴロゴロしたい!にゃんっ♪」



それには車の向こう側に青さんの姿がバッッッッと消えた。



「俺の”ほぼ嫁さん“が可愛すぎる・・・!!!
マジで監禁しておきたい・・・!!!
”イエヨメ“にしたい・・・!!!」



それにもやっぱり爆笑をしながら青さんの車に乗り込んだ。



「私だって本当のところは、青さんの家にずっっっっっっといたいよ。」



助手席の扉を閉めた後、青さんが車に入ってくる前にその望みが私の口から出てきた。



握り締めた一平さんの第2ボタンは、ちゃんと今までと同じようにとても温かく感じた。





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