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それには私は何も言えなくて・・・。
泣くことしか出来なくて・・・。
「綺麗で正しいお嬢様にもなり切れていない中途半端なお嬢様だよ、あの女は。
確かに見た目は引くほど綺麗だし、あの財閥のお嬢様として必死に生きようとしてるのは認める。
でも、お前をあそこで離した。
離したらダメだろ、あそこで離したらあの財閥のお嬢様としては絶対にダメだった。
お前のことを愛し抜き、お前のことを守り抜けるよう育てられてきたなら、俺にどんな力を使ってでも手を離させなくてはいけなかった。
そういう意味でもあのお嬢様は"いけないコト"をした。
でも、だからこそ一平よりも少しは優秀な女であることの証明にもなった。」
青さんから冷静な顔で、冷静な声で、その通りなことを言われる。
こんなの言い返せない・・・。
その通り過ぎて言い返す言葉なんてなくて・・・。
そんな私に青さんは"社長”の顔ではなく"青さん”の顔になり、意地悪な顔で笑った。
「俺に全力で立ち向かえるようになったら、あの女は俺が思う優秀な良い女になるだろうけどな。
あの女が今のままなら、"ピーコートが欲しい!”って泣いてきた子猫の方が俺には断然魅力がある。
今のままならどんなに見た目が綺麗だとしても、勃つもんも勃たね・・・」
「社長。」
"社長”ではなく"青さん”が最後まで言い切る前に、人事部の男の子が青さんのことを呼んだ。
守君の友達だという、私のお兄ちゃんに何となく顔が似ている男の子。
掃除屋の人事担当をしているので私もたまに話したことがある佐藤君が青さんの前まで歩いていき、「お話中すみません、急ぎのお話がありまして。」と青さんに言った。
"青さん”の顔をしていた青さんは、フッと"社長”の顔に戻り・・・
「うちで預かった猫を野良猫にするわけにはいかないから、ちゃんとこっちのうちに帰るんだよ。」
そう言って、佐藤君と一緒に社長室へと入って行ってしまった。
そしたらすぐに、呆然と立ち尽くしている私の所へ酒井さんがやってきて「大丈夫?」と声を掛けてくれた。
酒井さんが渡してくれたポケットティッシュを受け取りそれで涙と鼻水を何度も拭い、1枚だけ残ったポケットティッシュを酒井さんに返したら「あげるよ」と言われたので貰うことにした。
そんな私に酒井さんはクスッと笑い、それから心配そうな顔をして社長室へと視線を移した。
「社長が怒ってる所なんて初めて見た。
怒ることなんてない穏やかな人なのかと思ってた。」
それには思わず大きく笑ってしまった。
「あんなの全然怒ってないよ、めちゃくちゃ冷静だった。
めちゃくちゃ冷静にうちのお嬢様を観察して、それで・・・文句を言いながらもちゃんと強くなるキッカケをお嬢様に与えようとしてくれてたらしい。
マジで有り得ないやり方でそれにはマジでムカつくけど、あれは青さんにしか出来ないやり方で、青さんにしか渡せない優しさだった・・・。」
"お兄ちゃんや私の優しさは甘やかすことしか出来ない優しさだから・・・。”
心の中で反省をした時、「加藤さん!」と声を掛けられた。
見てみると加治さんと最上さんが2人とも優しい顔で私のことを見ている。
「帰れそう?」
「家まで送っていくよ。」
「・・・・・絶対に青さんから頼まれたやつじゃん。」
「過保護な飼い主さんなようで。」
「猫好きな人って猫のことになると人が変わるよね~。」
「社長の猫がちゃんと家に帰らないとうちらもこれから彼氏と会えないから、絶対にちゃんと帰るんだよぉ?」
加治さんと最上さんに連行されるように、私は青さんの家まで帰ることになってしまった。
"ダメ秘書”の私には居る場所なんてないから、青さんが"居て良い”と言うなら此処に帰るしかなかった・・・。
泣くことしか出来なくて・・・。
「綺麗で正しいお嬢様にもなり切れていない中途半端なお嬢様だよ、あの女は。
確かに見た目は引くほど綺麗だし、あの財閥のお嬢様として必死に生きようとしてるのは認める。
でも、お前をあそこで離した。
離したらダメだろ、あそこで離したらあの財閥のお嬢様としては絶対にダメだった。
お前のことを愛し抜き、お前のことを守り抜けるよう育てられてきたなら、俺にどんな力を使ってでも手を離させなくてはいけなかった。
そういう意味でもあのお嬢様は"いけないコト"をした。
でも、だからこそ一平よりも少しは優秀な女であることの証明にもなった。」
青さんから冷静な顔で、冷静な声で、その通りなことを言われる。
こんなの言い返せない・・・。
その通り過ぎて言い返す言葉なんてなくて・・・。
そんな私に青さんは"社長”の顔ではなく"青さん”の顔になり、意地悪な顔で笑った。
「俺に全力で立ち向かえるようになったら、あの女は俺が思う優秀な良い女になるだろうけどな。
あの女が今のままなら、"ピーコートが欲しい!”って泣いてきた子猫の方が俺には断然魅力がある。
今のままならどんなに見た目が綺麗だとしても、勃つもんも勃たね・・・」
「社長。」
"社長”ではなく"青さん”が最後まで言い切る前に、人事部の男の子が青さんのことを呼んだ。
守君の友達だという、私のお兄ちゃんに何となく顔が似ている男の子。
掃除屋の人事担当をしているので私もたまに話したことがある佐藤君が青さんの前まで歩いていき、「お話中すみません、急ぎのお話がありまして。」と青さんに言った。
"青さん”の顔をしていた青さんは、フッと"社長”の顔に戻り・・・
「うちで預かった猫を野良猫にするわけにはいかないから、ちゃんとこっちのうちに帰るんだよ。」
そう言って、佐藤君と一緒に社長室へと入って行ってしまった。
そしたらすぐに、呆然と立ち尽くしている私の所へ酒井さんがやってきて「大丈夫?」と声を掛けてくれた。
酒井さんが渡してくれたポケットティッシュを受け取りそれで涙と鼻水を何度も拭い、1枚だけ残ったポケットティッシュを酒井さんに返したら「あげるよ」と言われたので貰うことにした。
そんな私に酒井さんはクスッと笑い、それから心配そうな顔をして社長室へと視線を移した。
「社長が怒ってる所なんて初めて見た。
怒ることなんてない穏やかな人なのかと思ってた。」
それには思わず大きく笑ってしまった。
「あんなの全然怒ってないよ、めちゃくちゃ冷静だった。
めちゃくちゃ冷静にうちのお嬢様を観察して、それで・・・文句を言いながらもちゃんと強くなるキッカケをお嬢様に与えようとしてくれてたらしい。
マジで有り得ないやり方でそれにはマジでムカつくけど、あれは青さんにしか出来ないやり方で、青さんにしか渡せない優しさだった・・・。」
"お兄ちゃんや私の優しさは甘やかすことしか出来ない優しさだから・・・。”
心の中で反省をした時、「加藤さん!」と声を掛けられた。
見てみると加治さんと最上さんが2人とも優しい顔で私のことを見ている。
「帰れそう?」
「家まで送っていくよ。」
「・・・・・絶対に青さんから頼まれたやつじゃん。」
「過保護な飼い主さんなようで。」
「猫好きな人って猫のことになると人が変わるよね~。」
「社長の猫がちゃんと家に帰らないとうちらもこれから彼氏と会えないから、絶対にちゃんと帰るんだよぉ?」
加治さんと最上さんに連行されるように、私は青さんの家まで帰ることになってしまった。
"ダメ秘書”の私には居る場所なんてないから、青さんが"居て良い”と言うなら此処に帰るしかなかった・・・。
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