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「あるね。」
大月旦が即答をし、でもすぐに顔をパッと上げ佐藤君のことを見た。
「”お母さん“との約束を守るという、大きくて大切な忘れ物をした。」
「お母さんとの約束、ですか・・・。」
「うん、俺ってマザコンなんだよね。」
「俺もめちゃくちゃマザコンっすよ!!
俺もお母さんのことがめちゃくちゃ大好きなんですよ!!
さっきもお母さんが作ってくれたお弁当を食べて、食べ終わってからは”今日もありがとう“の電話をしたくらいです!!」
「お母さんのお弁当か、いいね・・・。
俺も”お母さん“のお弁当がまた食べたいな・・・。」
大月旦は何処か遠くを見詰めながらそう言ったけれど、またすぐに視線を佐藤君に戻した。
「”お母さん“のことが好きな気持ちは”先輩“にも負けてないよ。」
「過去に戻れるならその忘れ物を取りに戻りたいですか?」
「いや、過去に戻ったとしても俺は絶対に同じ選択をする。
俺には”お母さん“との約束を守ること以上に大きくて大切なモノがあったからね。」
大月旦のその言葉に佐藤君はニコッと笑い、何度も頷いた。
「”こんなはずじゃなかった“と思うことも忘れ物も沢山あるのかもしれませんが、それは誰もが思う普通のことだと思いますよ。
それに大きくて大切な忘れ物について後悔していないのなら、その時のその瞬間に出来るベストなプレーをしてきたという結果なはずです。」
「キミは・・・本当に”先輩“だね。」
「いや・・・っ、僕は全然ベストなプレーが出来ない男でしたよ・・・っ。
大きくて大切な忘れ物をしようともしていましたし!!
あの時にバスケ部の顧問が俺の気持ちに気付いてくれていなかったら、僕は・・・」
佐藤君が言葉を切り、大月旦のことをジッと見詰めた。
「僕は・・・」
もう1度そう言った後、優しい優しい顔で大月旦に向かって笑い掛けた。
そして・・・
「“俺も“、妹と結ばれる未来なんてなかったはずです。」
大月旦から聞いていた”本当のところ“を佐藤君には何1つ説明していないのに、佐藤君がそう言った。
「違っていたらすみません。
さっきまでうちの女性社員達の噂話が沢山聞こえてきていたので。
それらと此処に入ってからの会話だけですが、大月さんって妹さんと結婚したい人なのかなって。」
「うん、その通りだよ、”先輩“。
でも僕の妹は絶対に僕と結婚することを選んでくれない妹なんだよ。
”先輩“、どうすれば良いと思う?
冗談でも何でも良いから何かアドバイスが欲しい。」
「いや、本当に申し訳ないんですが・・・。
出産して目を覚ました”妹“に何度もプロポーズをしましたが、俺も全て断られた男でして・・・。
俺のバスケの夢についても自分の夢と同じくらい大切に思ってくれていた子だったので、俺にバスケを辞めさせて夢を諦めさせることは絶対にしたくないと言われて・・・。
お腹には8ヶ月いましたがたった800グラムの子どもも誕生し、必死に生きようとしているその子どもの父親になることも許して貰えず俺は途方に暮れていた男なんです。
そんな俺からは冗談でも何のアドバイスも出来ません。」
「そこからどうやって結婚出来たの?」
「え・・・。」
佐藤君が何でかめちゃくちゃ困った顔で笑った。
「えぇぇぇ~・・・、そこ、聞きます?」
「そこが1番聞きたいところだよね。」
「俺は知ってるから俺から言ってやるよ。」
「いや・・・えぇぇぇ・・・・めっちゃ恥ずかしいからな~・・・。」
「私も聞きたい!!何したの!?」
「えぇぇぇ・・・・・・」
「俺から言うぞ?」
「・・・・・・・はい。」
両手で自分の顔を覆った佐藤君のことを青さんが大きく笑い、組んでいた腕を離し・・・
「お母さんに号泣しながら”助けて“って言ったんだよな?」
そう、言った。
大月旦が即答をし、でもすぐに顔をパッと上げ佐藤君のことを見た。
「”お母さん“との約束を守るという、大きくて大切な忘れ物をした。」
「お母さんとの約束、ですか・・・。」
「うん、俺ってマザコンなんだよね。」
「俺もめちゃくちゃマザコンっすよ!!
俺もお母さんのことがめちゃくちゃ大好きなんですよ!!
さっきもお母さんが作ってくれたお弁当を食べて、食べ終わってからは”今日もありがとう“の電話をしたくらいです!!」
「お母さんのお弁当か、いいね・・・。
俺も”お母さん“のお弁当がまた食べたいな・・・。」
大月旦は何処か遠くを見詰めながらそう言ったけれど、またすぐに視線を佐藤君に戻した。
「”お母さん“のことが好きな気持ちは”先輩“にも負けてないよ。」
「過去に戻れるならその忘れ物を取りに戻りたいですか?」
「いや、過去に戻ったとしても俺は絶対に同じ選択をする。
俺には”お母さん“との約束を守ること以上に大きくて大切なモノがあったからね。」
大月旦のその言葉に佐藤君はニコッと笑い、何度も頷いた。
「”こんなはずじゃなかった“と思うことも忘れ物も沢山あるのかもしれませんが、それは誰もが思う普通のことだと思いますよ。
それに大きくて大切な忘れ物について後悔していないのなら、その時のその瞬間に出来るベストなプレーをしてきたという結果なはずです。」
「キミは・・・本当に”先輩“だね。」
「いや・・・っ、僕は全然ベストなプレーが出来ない男でしたよ・・・っ。
大きくて大切な忘れ物をしようともしていましたし!!
あの時にバスケ部の顧問が俺の気持ちに気付いてくれていなかったら、僕は・・・」
佐藤君が言葉を切り、大月旦のことをジッと見詰めた。
「僕は・・・」
もう1度そう言った後、優しい優しい顔で大月旦に向かって笑い掛けた。
そして・・・
「“俺も“、妹と結ばれる未来なんてなかったはずです。」
大月旦から聞いていた”本当のところ“を佐藤君には何1つ説明していないのに、佐藤君がそう言った。
「違っていたらすみません。
さっきまでうちの女性社員達の噂話が沢山聞こえてきていたので。
それらと此処に入ってからの会話だけですが、大月さんって妹さんと結婚したい人なのかなって。」
「うん、その通りだよ、”先輩“。
でも僕の妹は絶対に僕と結婚することを選んでくれない妹なんだよ。
”先輩“、どうすれば良いと思う?
冗談でも何でも良いから何かアドバイスが欲しい。」
「いや、本当に申し訳ないんですが・・・。
出産して目を覚ました”妹“に何度もプロポーズをしましたが、俺も全て断られた男でして・・・。
俺のバスケの夢についても自分の夢と同じくらい大切に思ってくれていた子だったので、俺にバスケを辞めさせて夢を諦めさせることは絶対にしたくないと言われて・・・。
お腹には8ヶ月いましたがたった800グラムの子どもも誕生し、必死に生きようとしているその子どもの父親になることも許して貰えず俺は途方に暮れていた男なんです。
そんな俺からは冗談でも何のアドバイスも出来ません。」
「そこからどうやって結婚出来たの?」
「え・・・。」
佐藤君が何でかめちゃくちゃ困った顔で笑った。
「えぇぇぇ~・・・、そこ、聞きます?」
「そこが1番聞きたいところだよね。」
「俺は知ってるから俺から言ってやるよ。」
「いや・・・えぇぇぇ・・・・めっちゃ恥ずかしいからな~・・・。」
「私も聞きたい!!何したの!?」
「えぇぇぇ・・・・・・」
「俺から言うぞ?」
「・・・・・・・はい。」
両手で自分の顔を覆った佐藤君のことを青さんが大きく笑い、組んでいた腕を離し・・・
「お母さんに号泣しながら”助けて“って言ったんだよな?」
そう、言った。
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